生産したいっ!でもでも、でも。
《試しの森-深部-》を抜けると、《アーチ草原》とMAP名が変更された。
「お!《試しの森》までと違っていろんなモンスターがいるんだな。」
「みたいだね。緑色のスライムにゴブリン、あれはウルフ?ちょっと大きいみたい。それにあれはコボルトかな?」
「ぎょーさんおるんやなあ。ちょい狩るか?先進むか?」
多種多様でいままでのフィールドよりも多いモンスター達。狩りたい気持ちもあるけど、ポーション類も少ないし今はちょっと辛いと思う。
「ポーションも減ってるし、この辺のモンスターの強さもわかんねえからとりあえず次の街行こうぜ。序盤だしそんな遠くねえだろ。」
「それもせやな。ほな先進もか。」
2人の話に頷くわたし。戦闘狂がいなくてよかった。
森から続く一本道を歩き続けるとモンスターから守るためであろう外壁が見えた。
ちなみに、一本道はセーフエリアになってるみたいでモンスターから襲われることはなかったよ。ただこの辺のモンスターがノンアクティブなだけかもしれないけど。
「見えたな。間違いなくあれやろ。」
「そうだな!アーチエリアの街だからさしずめアーチタウンってとこか?」
大地がそんな予想をするけど、そんな"まんま"じゃないと思うなあ。
「こんにちは!君たちは冒険者かな?この街に入るには通行料が必要だ。ただギルドに登録しているならギルドカードを見せてくれれば通行料は不要だ。」
わたしたちは今、外壁の前にいるんだけど。
なんとも王道な門と門番がいたんだよね。こういうの好きなんです。
「はい、冒険者です。私たち3人ともギルドに登録してます。」
そう言ってギルドカードを見せると
「よし。確認した。開門!」
門番が叫ぶと4mほどある大きな門が開き始める。
「ようこそ、アーチタウンへ。君たちに幸多からんことを。」
「ありがとうございます、また会いましょう。」
厳しそうだったけど、すごくいい人だった。NPCだけどいい"人"だった。
っていうか、"まんま"《アーチタウン》なのね…。
門を潜るとそこは異世界だった。
ってちがーう!いや、違わないけど。中世ファンタジーって感じ?石を積んだ建物に石の道。プレイヤーがいなくとも賑わっている街。あぁ、ワクワクしてきた!
「ここすげえな。異世界みたいだ。」
「異世界っちゅーか、ゲームっぽいってワイは思うわ。まぁゲームやけども。」
大地は幼馴染なだけあって同じ考え。朝陽のも間違ってないけどね。
門から続く大通りの先には大きな建物。そして〈ギルド〉の看板。
「まずギルドに行こうぜ。ウルフの核と毛皮を売って、金策だ。俺金ねえし。」
「大賛成やわ。ワイも武器と盾の購入ですっからかんやし。」
…この2人には計画性ってものがないみたい。ってちょっと!
「毛皮は残してよね!?大切な素材なんだから!」
忘れられちゃ困る!わたしは生産するためにDEX極振りなんてことをしてるんだから。
「おっと、そうだったな。なら毛皮は一部残して売ろうぜ。」
「ならいいけどっ。大地頼むよー?」
"うっかりしてた"と表すように後頭部を掻く大地。朝陽も忘れてたみたいで苦笑いしてる。もー!
ギルドに入ると正面に受付カウンターがあり、これまた美人なお姉さんがいた。となると…
「ようこ「そんな前口上いらんでワイらの仲には!それよりも今からお茶でも行かへんか?ええ店教えてーな!」…ようこそいらっしゃいました。アーチタウンギルドへ。ギルドカードはお持ちでしょうか?」
食いつく朝陽。そしてスルーするお姉さん。なんて構図だろう。
「ぐぬぬ…。手強いけどワイは諦めんで!NPフィールドの転職の姉ちゃんの時は諦めてもうたからからなぁぁああっ!」
「そんなことしに来たんじゃねえだろ。ほら邪魔だしさっさとギルドカード出せよ。」
…不思議だ。大地は乗りそうなのに。ごにょごにょ言ってた朝陽の首根っこを掴んで下がらせた。大地も成長してるのかな?
「まったく。NPフィールドの受付お姉さんが一番だろ。また会いに行こう。」
ーーそんなことなかったみたい。全く。
「しょうもないこと言ってないで!ほら!」
朝陽と大地を一喝しちゃった。2人とも本当美人さんには目がなくて困る。
「お姉さん、ごめんなさい。連れがこんなので。わたしのギルドカードです。」
ギルドカードを差し出すとお姉さんは苦笑いしながら受け取り端末に差し込む。
「はい、Miyavi様ですね。レベルが21、弓師レベル14でお間違いないでしょうか?」
確認してなかったけどロトーウルフ討伐でレベルが上がってたようね。
「はい、間違いありません。」
「ありがとうございます。改めまして、アーチタウンギルドへようこそ!」
今度はしっかりした笑顔でカードを返してくれた。
その後、ちゃんとカードを渡した大地と朝陽はわたしと同じ言葉を受け、買取カウンターを案内してもらった。
買取カウンターもNPフィールドと同じドワーフ。この辺は統一されてるのかな?
「よう、らっしゃい。素材の売却かい?」
「せやねん、頼んますわ!ウルフの核と毛皮!」
「なら核はこっちの籠に、毛皮はそのままカウンターに乗せてくんな。」
言われた通り素材を出す。長い時間居ただけあって、かなりの量だね。
「なかなか頑張ったんだな。核が…368個。毛皮が156枚か。核は15G、毛皮は40Gだ。合計11,760Gだがかまわねえか?」
やっふい!いい稼ぎー!大地の高い攻撃力のおかげでもあるけど、嬉しいね!
「高う買うてくれんねんなあ。おおきに!それでかまへんで!」
「稼げたなあ!この金で新しい防具買うか。いや両手剣を新調するのも。」
「大地は防具買いなさい!わたしよりもマシだけど紙装甲なんだから。」
やっぱり大地は計画性ってものがない。
1人3920Gの収入を得たわたしたちはホクホク顔でギルドを後にし、教えてもらった武具屋・道具屋が一緒になったお店に向かった。
本日2話目の投稿です。
明日は2話投稿できるか怪しいですが、1話は更新します!2話投稿できなかった場合明後日に3話投稿させていだだきます。
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