生産したいっ!でもでも、でも。
もうウルフを狩り始めてからFWO時間で7時間が経った。ゲームの中って疲れないし、なにより楽しいから時間を忘れちゃうね。
「ええ感じにレベルも上がってきたしウルフにも飽きたさかい、次いかへんか?」
いいタイミングでの朝陽の提案。ちょうどわたしもそろそろ次に進みたいところだったんだよね。
「いいね。この先のエリアまで覚えてなかったから行き当たりばったりになるけど大丈夫かな?」
「大丈夫だろ。俺ら3人で進めば余裕だろうしな!」
自信満々だね、大地は。
「ほな、奥に進んでみよか。」
次のエリアまで進む道中にもウルフは現れるけど、レベルが上がってきたわたしたちの敵ではなくなってしまっていた。
「まだ深部から抜けれねえのか?いい加減この森の風景にも飽きたぜ。」
「ホンマやで。そろそろ次のエリア行けてもええんちゃう?」
愚痴りながらもウルフを倒す2人。後ろからついていくわたしの出番が無くなっちゃってるよ。と、レベル上がった。これでレベル20。ステ振りして…っと。
Miyavi/弓師Lv11/無所属
Lv:20/STP:0
HP:520/520 MP240/240
STR:0
VIT:0
INT:0
AGI:0+35
DEX:240+90
LUK:0
かなりDEXも上がってきて、Job補正でAGIも35。体感だけど動きが早くなってきた。
【パーティー3名全員のLv20を確認。エリアバリアを解除します。】
え?エリアバリア?
「お?エリアバリアが解除されたって出たぜ。2人もか?」
「ワイも出たで。」
「わたしも。レベル20まではここまでしか進めない仕様だったってことかな?」
「おそらく、せやろな。こっからが本番ってワケや。」
朝陽の言葉に大地も頷く。と、振り返ってる2人の後ろが光り始めた。
【エリアバリア解除に伴い、Bossフィールドの侵入を確認。ロトーウルフ出現。プレイヤーは注意してください。】
光り始めた瞬間に声が響く。そして光りは狼の形に集まった。ウルフとは比べ物にならない大きさ…!おっきな車ぐらいある!
「やっとBossか!燃えてきたぜ!」
「よっしゃ!やったるで!Boss倒して次のエリア行こうやんか!」
朝陽も大地もテンション最高潮って感じ。そう言うわたしだって!
「気合いれてこ!朝陽が前に出てタンク!ヒーラーいないからポーションで凌いで!大地はヘイト稼ぎすぎないように攻撃!まだFWOが攻撃回数によるヘイトなのかDPSによるヘイトなのかわかってないから注意してね!」
ゲーマーの見せ所だ!
「GawoooOOOO!!!!!」
ロトーウルフの咆哮から戦闘開始!
朝陽が前に出てまずターゲットを取り
「『ディフィカン』!『ピアシング』!喰らえやワンコロ!」
5分間DEF10%上昇の『ディフィカン』を掛け、アタックスキルの『ピアシング』で右足を穿つ。
攻撃をを受けたロトーウルフだがダメージはHP総量に対して微々たるもの。まずHPゲージが2本ある。
「やっぱBossだけあるやん、こいつ。大地!そこそこ硬いで!」
「おう!俺に任せとけ!『スラッシュ』!」
朝陽の声に大地が応え、同じ右足をスラッシュで斬る。だけど大地の攻撃力でも1本のHPゲージの1割ほどしか削れない。
ヘイトはまだ朝陽が上。『ディフィカン』でヘイト上昇してる?
「朝陽もヘイト稼いでね!『スマッシュアロー』!」
気絶効果のあるアタックスキルを発動し"風の矢"をロトーウルフに放つ。頭を狙ったけど、動き始めたせいで肩に当たってしまった。これじゃ気絶はさせられないよ!
「Garrr…Gaw!!」
わたしの攻撃では大地の半分ほどしか削れてない。そんなロトーウルフがついに攻撃に移った!狙いはヘイトが高い朝陽。飛びかかるようにして右足を叩きつける!
しかし朝陽も負けずに盾を掲げ、ロトーウルフの攻撃を堪える。
「ぐっ!やっぱBossだけあってその辺の雑魚とはちゃうな。盾の上からでも衝撃ダメージ入ったわ!」
VITにかなりのSTPを割いてる朝陽の防御の上からダメージを通すなんて…!わたしが食らったら一撃だね。
「朝陽!大地!ちょっと下がって!『矢嵐』!」
矢嵐は残ったMP分、嵐のような矢を射るアタックスキル。これをするとMPが全部なくなるけど、今のわたしの最大火力!でも狙いは火力よりも…あそこだっ!
「大地!脇腹がWPだよ!」
わたしは他のゲームであった、〈Bossには部位判定があってダメージの通り方が違う〉ことを確かめたかった。そのために圧倒的な手数を持つ『矢嵐』を発動させ至る部位に打ち込みHPバーを凝視したんだ。
わかったことは、脇腹>頭>背中>後ろ足>前足とダメージが通りやすいこと。おまけにHPも1本目の半分以上削れた。
「了解っ!任せろ!」
と叫び走り出す大地。だけどその瞬間わたしに電気が走ったようだった。
「あかん!いまので都姫にターゲット移ってしもた!手数でヘイト稼いでしもたんや!」
わたしを睨むロトーウルフ。Bossのヘイトが全てわたしに向いてる。リアルでは体験したことのない恐怖。
走り寄る大地を無視し、ロトーウルフはわたしに飛びかかってきた!だめっ!
ガン!ギャリギャリッ!
「間一髪やでお姫様!ほんま怖いわあ!」
ゴブリンの時と同じように、また朝陽が助けてくれた。ロトーウルフの爪を出した叩きつけを盾で防いでる。だけど無理な形で防御したんだろう、体勢が崩れてしまってた。
「Won!」
ロトーウルフは攻撃を防がれたのが悔しかったのか、その場で体を反転させっ…!
「きゃあっ!」「いっつ!」
ロトーウルフの尻尾による薙ぎ払いだった。朝陽とわたしは吹き飛ばされる。
「都姫!朝陽!ってめえ!」
追いついた大地が反転し反動を抑え込むロトーウルフの脇腹を『スラッシュ』で斬りつける。WPをアタックスキルで攻撃され大きくHPを減らすロトーウルフ。それでもようやく2本目に突入し、残り8割といったところ。
ロトーウルフは大地の一撃により距離を取った。HPが危ないわたしには助かる。
「あんな攻撃でHP8割持ってかれちゃった。朝陽が助けてくれなかったらやられてたよ。ありがと。」
「かまへん。むしろ、ターゲット移してすまんな。堪忍やで。」
朝陽は2割ほどしか減っていないけど、むしろVITに振っている朝陽に2割もダメージを与えたというべきかも。ポーションを急ぎで飲み干し、HPを回復させる。
今の大地の一撃でヘイトは大地が一番稼いでる。大地とロトーウルフが睨み合い膠着した戦場。
「朝陽、回復したな?前を任せるぜ。ちょっと調子乗ってたけどよ、都姫がやられそうになって目ぇ覚めたぜ。」
「それはワイも一緒やで。タンクが2回もツレをやらせてたまるかいな。任せんかい。」
大地と朝陽は気合いを入れ直したみたい。
よし!わたしだって!
「わたしも矢で牽制するから!MPは残ってないけどロトーウルフの気を逸らすくらいはできるはず!」
「よし!いくぜ!」
再び朝陽が『ディフィカン』をかけ、ロトーウルフに突きかかる。ロトーウルフも躱そうとはするが、横に入り込もうとする大地を目で追う隙に長槍を突き入れられ、一周するように朝陽にターゲットが移った。
「よっしゃ!お前の相手はこのワイやで!かかってこんかい!」
朝陽の挑発に乗るようにロトーウルフが右足を振り上げるが、がら空きになった右脇腹を大地が斬りつける。攻撃モーションをキャンセルされたロトーウルフの顔ににわたしの矢が降りかかる。
いい流れになってきた。
ロトーウルフが繰り出す攻撃は朝陽が受け止め、隙を大地が突く。大地にターゲットが向く前にわたしが矢で牽制し、朝陽が攻撃してまたヘイトを稼ぐ。
残り8割あった2本目のHPも、流れをつかんだわたしたちの前に全損させた。
「Guuu…」
悔しげな唸り声をあげ、霧散したロトーウルフ。
苦戦したけど無事に倒せてよかったー!やったね!
「よっしゃー!Boss初討伐や!」
「やったな!これで次のエリアだ!」
「決まったわけじゃないけどね。でも、大方そうじゃないかな?」
【ロトーウルフ初討伐おめでとうございます!初討伐の証として《巨狼のブーツ》を進呈致します。ロトーウルフを討伐されたため、《アーチエリア》への道が開かれました。】
声が響き、次のエリア《アーチ》に進めるようになった。そして初討伐アイテム、《巨狼のブーツ》!ステータスは…
【巨狼のブーツ DEF+16 SPEED+20】
おおー!SPEEDアップのアイテム!これはみんな嬉しいはず!
「初討伐だぜ!すげえ嬉しい!《巨狼のブーツ》も最高だし!」
「最高の瞬間やな!ワイら、トップランナーやで!このまま頑張ろな!」
2人ともテンションMAXだね。
「だよねー!もっともっと上を目指して頑張ろー!」
次のエリアからが本番って感じなのかな?ワクワク!
ところで、生産マダー?
驚きました。昨日は早くに寝てしまったのですが、わたしが寝てしまってからPVが過去最高に伸びました。日に日にPV増加中でとても嬉しい。またブックマークして頂いている方、本当にありがとうございます。今後も書き続けていきますのでよろしくお願いします。




