2.気付いてしまった、友達の恋心
・・・今日もキャーキャーと、女の子の黄色い声が絶えない教室。彼が転校してくる前も煩かったけど、彼が転校してきて一層煩くなった。
そう・・・一週間前に転校して来た、二ノ宮雅明君のせいで。
私の隣の席になった彼に教科書を見せてあげたりしたのは、最初の数日だけ。その間は少しは会話を交わしたし、笑顔も見せた・・・と、思う。
自分でも珍しいと思う。でもその理由はきっと・・・彼が私と似た、何かを持っているからだろう。
「さ〜く!」
「・・・ん?」
二ノ宮君の隣の席は煩いから、私は最近休み時間の度に、自分の席から遠く離れた友達の席に入り浸っていた。そんな私に、今も友達の綾香は不満そうに頬を膨らませている。
なぜなら・・・、
「ね〜二ノ宮君のとこにいてよぉ〜!咲夜がいてくれたら二ノ宮君の側にいれるじゃん〜」
彼女は二ノ宮君の事が好きだから。
「ん〜・・・そうねぇ〜」
「ね!お願いぃ〜さくぅ〜」
ミーハーな彼女はコロコロと好きな人が変わる。
・・・友達にこんな事言いたくないけど・・・彼氏がいても続かないのは、彼女の飽きっぽい性格のせいだと思う。
だからこそ・・・二宮君の事を本当に好きなのか・・・はっきりしない。だから、協力してあげたいと・・・思えない。ごめんね、綾香!
でも・・・、
「ねぇ〜さくぅ〜お願い!」
女の子には弱いのよ!!ちくしょぉ〜!なんてフェミニストな私っ!今は憎いこの性分!!
腕を引っ張られ、私は渋々と立ち上がり、自分の席に着いた。
二ノ宮君の隣には大島君がいて、私が席につくとにこっと笑ってきた。・・・あぁ、爽やかな笑顔です事・・・私には寒気しか与えないけど。
「ね、倉本さん」
「・・・何?」
少しぶっきらぼうに答えすぎたかな?そう思い大島君に視線を向けるが、気にした様子もなくニコニコと笑っている。そんな彼の口から驚くべき言葉が発せられるのは・・・あと少し。
「俺たち土曜日に遊ぶ事になったんだけど・・・倉本さんたちも来ない?」
「・・・は?!」
・・・え?!は?!何それ?!・・・ってか、二ノ宮君聞いてなかったんじゃないの?めっちゃビックリした顔してますけど・・・。
「あ、いいね〜!あたし達も土曜日遊ぶつもりだったんだ〜!」
「え?!」
そして何を言ってるんだ!マイフレンド!!そんなの聞いてないよ!?あ、ほら。二ノ宮君も驚いてるじゃん!!って勝手に話を進めるなぁぁああぁぁあああ!!
表面には出さずに私が心の中で葛藤を繰り返している内に・・・土曜日に私・綾香・大島君・二ノ宮君で遊ぶ事は決定していた・・・。
「・・・・・・・・・マジでか・・・」
「楽しみね!咲夜vV」
・・・友達がこれほどまでに憎いと思った事は・・・あ、以前にもあったか。・・・まぁいいけど・・・それよりそれほどまでに二ノ宮君に近付きたいの?!
あ〜もぉ本当に、土曜日を思うと気が重いよぉおぉぉぉおお!!そして私こんなキャラだっけ!?最近可笑しいよ、自分!
「アハハ〜咲夜変な顔〜」
「誰のせいよ!」
気付いてしまった、友人の想い人。
これが後々・・・私を苦しめると、今の私は夢にも思っていなかった。
今回も長々と読んでいただき、ありがとうございました。
前回同様、感想・意見・アドバイス等々・・・ありましたら是非とも仰って下さい。
これからもよろしくお願い致します。