魔女
私には好きな人がいます。
が、その人には美しい妻がいました。
いつもその家からは楽しそうな声が聞こえてきます。
私はそれが腹立たしくて仕方がありませんでした。
そこで私は友人から森の魔女の家までの道を聞き出し、惚れ薬を作ってもらうことにしました。
暗い光の届かない森の深く。その家は外がボロボロに朽ちていて、とても人が住んでいるとは思えませんでした。
ノックをすると、中から皺くちゃの野菜の干物のような顔のお婆さんが出てきました。
私を事情を全て話し、薬の作ってくれるようにいいました。
魔女は不気味にかすれた声でヒッ、と笑うと、嫉妬深いねぇ、と言って中に入って行ってしまいました。
翌日、私がもう一度訪ねると、もってお行き、と小さな小瓶を手渡し、中に戻って行きました。
早速私は、彼を大事な話があると言って呼び出しました。
そして簡単なクッキーを作り、それにもらった薬を混ぜておきました。
時間になり彼が来て、私はその瞬間がまだかまだかと待っていました。
そしてついに彼はクッキーに手を伸ばしました。
そして口に持って行き、中に入れました。
途端に彼はバタリと床に倒れ、動かなくなってしまいました。
彼は死んでしまったのです。
私がそのことに気づいた時にはもう遅く、私は彼の後を追いました。
おしまい。
彼の妻は暗い光の届かない森の中かを歩いていました。
肩には大きな袋が担がれていました。
夫の私物を袋に詰め、妻は歩いていました。
と、前にボロボロの家が見えてきました。
彼女はドアを開けると、中に入っていき、
「騙される方がわるいのさ」
ドアを閉めました。