勇者になります!?
名前 《ハル》
年齢 23歳。
職業 勇者
ハルと名乗る男は俺にこんな自己紹介をした。
まあ、あれだよね…
「おかしいだろ。」
心のなかに留めておくはずだったんだが口から漏れ出してしまったようだ。
だってさ、ほら。
なんで親父倒した?
とか、
自分は何者なんだー
とか、
もっと言うべきことあんだろ。
まあ、言いたいことはいっぱいあったよ?
一応親父ころされたわけだし、
許すとか許さないとか、よくわかんなかったけど。
なんか、知らないことが多すぎて混乱してた。
でも、とりあえずこっちからも自己紹介してみたんだわ。
ほら、礼儀?ってやつかな。
13歳にもなれば、それくらいわかるようになる。
そしたらさ、変なところで
…あれ?
ってなった。
本当、何でこんなとこで?って感じだけど。
…あれ?俺、名前なんだ?
ってね。
まあ、焦ってさキョドりまくり。
息のしかたすら変になって、過呼吸起こしそうになった。
でも、そういや名前なんか使ったことないなあ
なんて。
アホすぎること考えて、変な呼吸がよけい速くなって。
そしたらハルが背中さすりながら、言ってきた。
「まあ、こいつ見てみろよ」
って。
それ見たら変な石で、『ナニコレ』って思ってるうちに石に何か浮かび上がってきた。
光ってて綺麗だなぁって。
一瞬、親父のこと思い出して、
浮かび上がってきた文字読んでみたら、
《魔王 level.1》
魔王はまあ、わかるけど、レベルってなに?
なんて考えてたら覗き込むように入ってきて、
石見たハルが大爆笑。
「魔王のくせにlevel.1とかww」
“イラッ”
何か知んないけどムカついたね。
で、とりあえずぶん殴った。
でもハル、全然痛がんないわけ…
それどころかヘラヘラしてる。
なんで?え?へ?
って挙動不審。
それを見据えてか、見据えずかハルが教えてくれた。
「ここ、街んなかだからダメージ無効化エリアだぞ。」
…?
「ムコ…ウ?何それ。」
聞き慣れない言葉が連発されて、なんかすげぇ焦って。
でさ、とりあえず素直に聞いてみたわけなんだわ。
そしたら、
「ああ、お前一応NPC扱いなんだ。」
って。
NPC?レベル?ダメージ?
頭の中には疑問符ばっかり。
ニコニコしてるハルとは逆に焦りまくってる俺。
で、
「まあ、最初っから説明してやるからココ座れ。」
素直に頷いた俺にたいして、
「犬みてぇ。」
…殴りました。
まあ効かないってわかってたけどねっ!
かなしくなんかっ…
爆笑するハルと不機嫌な俺。
わちゃわちゃして、
なんか落ち着いた。
それから、俺はハルから色々聞かされた。
まず、俺が何なのか。
俺の父親がどんなヤツだったのか。
ハルは、誰なのか。
そりゃあもう分かりやすく。
教えてくれた。
そんな話の中で俺は
強くなんなきゃなあ。
ハルみたいになれるかなあ…
なんて、思って。
なんか、知らない間に泣いてて、
背中さすってくれるハルの手が暖かくて。
顔なんかグシャグシャなのに無理にこらえようとしたり。
最後まで話聞いたら、ハルが
「で、お前どうするか?」
って。
そんなの聞かれなくても、もう決まっていた。
『ハルと一緒に行って強くなる。…勇者になる』