出会い
幼い時の記憶。
うっすらとしか残っていないまだ、家族がいたときに言い聞かされていたこと…
『強くなりなさい。』
父も母もまわりの知り合い全員から言われていた。
『強くなれ』と、
何故強くならなければいけないのか。
わからなかった…
でも強くなればみんなが誉めてくれる。
幼いながらそんな風に思っていた。
でも、ちがかった。
幼かった俺の考えを見事に打ち切ったのは、勇者とか言うすげぇ強いやつだった。
何かジメジメしてる日だったけ?
たしか6月の終わりのほう。
親父が死んだ。
そん時の俺、12歳。
回りには母さんとみんなが真っ赤な液に浸かって動かない。
緑とか、紫とかもあったけど親父のは赤かった。
そんな液体の中に一人たっているやつがいた。
20代前半くらいかな?
顔はよく見えなかったけど、そんくらいだった。
何となくだけどヤな感じがして、逃げ出そうとしたらそいつが俺に向かって、
「おい、ガキ。」
何て声かけてくるからさ、
「ああ゛?」
とか、かっこつけて答えたらソイツわらいやがった。
んで、俺に
「寂しくなったら一番でっかい街に降りてこい。」
って言って帰ったわけ。
何のことかワケわかんなかったけど、
とりあえず俺さ、泣いたわけ。
そりゃあもうでっかい声でワンワン泣いた。
何か知んないけど、親父とかみんなが光るのみて、綺麗だなぁとか思ってたら急に割れて、
そんで初めて、
『ああ、みんな死んだんだ。』
って。
ぼんやりしてたら、いつの間にか朝になってて。
あれだけ濡れてた床なんか、もうピカピカでさ、
何か一人になったな~。
とか、
これからどーしよぉ。
とか。
だらだら考えて。
結局、久々に外に出ることにした。
だってほら、することないし。
アイツも街に降りてこいって言ってたし…
まあ気楽な感じで、外に出た訳よ。
そしたらさ、まあビックリってゆーか何てゆーか。
俺の家にいたみんなみたいな感じの奴等が剣もった奴等にバッシュバッシュ斬られてるわけ。
でさ、まあヒクよね。
そりゃあ親父だってほら、蹴ったりはしてたけど。
剣で切るなんてさ、ビックリだわな。
でコイツらヤバいなって逃げ出そうとしたら、剣もった奴等の一人が、
「坊主、こんなところでなにしてんだ!!」
って。
そのままお返ししたかったけどとりあえず逃げたね。
だって俺殺されたくなかったし?
まあ、人切りつけてる酷い奴等と話すことじたいちょっと抵抗あったわけ。
んでまあ街に降りたらちょっと驚いたわけ。
だってさおんなじ顔の奴等がいっちょまえに服きて、気取って歩いてるわけ。
まあビックリだよね。
てゆうか圧倒されたんだわ。
だって俺んち基本的に親父と母さん意外真っ裸だったんだもん。
みんな違う色してたし、ゴツいやつとかヌメヌメしてるやつとかいっぱいいたし。
おんなじ奴等がいっぱいいるとこ何て初めて見たわけ。
でも俺とか親父とか母さんみたいな見た目だったから安心は出来たんだわ。
初めて街に入ったはいいとしてそっからどーすりゃ良いのかわかんなくてさ、
とりあえず街のやつにきいたわけ。
『一番でっかい街ってどこですか?』
って。
そしたらめっちゃ笑われたんだわ、
そんで笑いながら
『ここだよ。』
だってさ。
なんで笑ったかは知らないけど、とりあえずお礼言って、そっからどうしようって。
だって俺に『来い』って言ってたけど、どこにいるかわかんなきゃ行けねーし。
だいたい名前知らねーし。
で、また笑われたらヤだなー…とか思いながら街のやつにきいた。
名前もいる場所も知らねぇけど、年と身長とかどんなナリだったかとかさ、ありったけの身振り手振りで。
そしたら何人かが
《ハル》
って名前出してきた。
まあ結構有名なヤツらしくて、なんでも『ユウシャ』って言うらしい。
よくわかんなくて、『ソイツは強いのか?』って頭悪いの丸出しな質問までして…
結局その《ハル》ってヤツに会いに行った。
で、着いたとこは何か真っ白い建物。
『ここ何だ?』とか思いながら入ってみると見覚えのあるヤツが突っ立ってて、ちょっと怖いけどちかずいてったら、
「もう来たか。」
とか言うわけ。
そっちから来いって言ったくせに何だそれ。
なんて思ってると、
「案外、寂しがりなのかぁ?」
ってバカにしてきた。
そん時の俺、13歳になりかけ。
『今日誕生日だな~。』
とか思いながら、生まれて初めて他人に殺意を抱いた。