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~異世界16日目~

 長い間更新できずに済みません。ようやく次話更新できました。それではお楽しみください。

      ~異世界16日目~

 光輝が目を覚ますと。

「なっ!?エ、エレキ!?」

 まさに光輝の目と鼻の先で眠っていた。

 全力で距離を取りつつ、ベッドの上でなぜか正座をする光輝。

 と、エレキが目を覚ました。

「ん、ん~。おはよ、コウキ。朝から騒がしいわね」

「お、おはよう、エレキ。じゃなくて!何で俺の方のベッドで寝てるんだよ!?」

「だって、あっちだと眠れないのよ。2人が占領してるもの」

 見ると、アクアとアイスが安らかな寝息を立てている。

「で、コウキはあの寝姿を見て襲おうとかは思わないの?」

「言ってることがソラと同じだ!だからお前たちは俺をどんな奴だと思ってるんだよ!?」

「ま、冗談はこれくらいにしておくとして。コウキ、今日はちょっと付き合ってもらうわよ?」


 アクアとアイスを起こし、外の店で朝食を食べた後、光輝たち4人は宿屋の部屋に戻って来た。

「で、何の用なんだ、エレキ?」

「コウキとアクア、アイスには私の一時帰宅に付き合ってほしいの」

「ん?もしかしてエレキは勝手に出てきたのか?」

 光輝が純粋な疑問を口にすると、エレキの顔が少し曇った。

「まぁ、ちょっとばかり周りが煩わしくてね。それはいいんだけど、家の方が厄介なことになったのよ」

「厄介?どういうこと?」

 アクアが尋ねる。

「ちょっとおばあちゃんが死んじゃって、後継がどうのとか、その次がどうのとか騒がしいのよ」

「……サラッとヘビーなことを」

「でも、どうして私たちも行く必要があるのですか?」

「ん~、まぁ、味方を増やしておきたいからね。アイスは神獣で、アクアはエルフ族。それにコウキはソラ様とダークを連れてるし」

「戦い?好きではない」

「違うわよ。説得するってこと。まぁ、一応言っておくけどこれから私が行きたいのはフェアリー族の女王が住む妖精の森よ」

「で、何の説得なんだ?」

「女王はお母さんが継ぐことになったんだけど、その次をどうするかで揉めているらしいのよ」

 やれやれ、と首を振るエレキ。

「エレキさんって、実はフェアリー族の中でも偉かったりするんですか?」

「一応だけどね。お母さんのお母さんが今までの女王で、お母さんが新しい女王。私はその娘の一人よ」

「ってことは、次期女王候補っていうことか」

「そうよ。だから、後継ぎとか婿とかお見合いとかが嫌になって、手紙を残して家出して来たのよ」

「ちなみに、どんな手紙なんだ?」

「『女王になんか絶対ならないわよ!』って書いたわね」

「……まぁ、内容はこの際置いておくか。要請の森はどこにあるんだ?」

「ハイノの街から西に馬車で6日くらい行って、そこから北に少ししたところに結界を貼って暮らしているわ」

「なら、カズマトンへの途中だな。アクア、アイス。いいか?」

「いい。問題ない」

「はい。大丈夫です」

 光輝の問いかけに頷く2人。

 と、光輝が何かを思い出したような顔をする。

「そういえば。エレキ、今日は何をするんだ?」

「少し腕が鈍ってきてるから、魔物狩を手伝ってほしいのよ。腕が落ちたまま戻ったらそっちで連れ戻されちゃうのよ」

「なるほど。まぁ、俺がどれくらい役に立つか分からないけど、とにかく協力するか」

「お兄ちゃんがするのなら、私も」

「お手伝いします、エレキさん」

「ありがと、3人とも」


 ハイノの街の外に出てしばらく歩くと、青色の粘塊が現れた。

「スライムか」

「あら、よく知ってるわね」

「ま、一応な。でも、普通に魔物を見るのは初めてだな」

「あの、コウキさん。私も魔物の一種なんですよ?」

「お兄ちゃん、ダークは魔物の最高位の存在」

「あ~、そうだったな。なんか、アイスは人の姿でいることが多いし、ダークだって6対の翼があるけどそれ以外は人間そのものだし」

「ま、それは置いておいて、コウキにアレの特徴を教えるわ。スライムは見ての通り遅いけど、ただの物理攻撃は衝撃を吸収されて効かないの。けど、魔法なら簡単に倒せるのよ」

「と、なると……」

 光輝はアクア、エレキ、アイス、左腕にあるダークの紋章、そして魔喰いの順に見る。

「ここにいる全員はスライムを倒せるということか」

「そうね。ま、見てなさい」

 そう言うと、エレキは空中に魔法陣を描く。

 そこから一筋の雷がスライムを目指して飛んでいく。

 雷に当たったスライムは、ジュッ、という音とともに蒸発した。

「今のが普通に魔法陣を描いて発動させるタイプ。こういうのは私よりアクアの方が得意でしょ?」

「そうなのか?」

「魔法に関してエルフ族に敵う種族はない」

 そう言って、アクアは空中に腕を走らせる。

 アクアの指は踊るような滑らかさで空中を走り、瞬く間に数え切れないほどの魔法陣を描いた。

「さすがエルフ族。すごいわね~」

「しかも、一つひとつが違う種類の魔法陣です。アクアさん、相当優秀なんですね」

「そうなのか?俺には見分けられないんだけど……」

 やがて手を止めたアクアは、いつのまにか現れていたスライムに向けて全ての魔法陣を解き放った。

「……過剰攻撃過ぎないか、アクア?」

「威力は最小にまで弱めてある。お兄ちゃんに迷惑がかかる事はしない」

「そうか。なら大丈夫だな」

アクアの頭を撫でる光輝。

「次は私ですね。元の姿の方が力を出しやすいんですけど、こっちでも十分なので」

「あ、なら結界でも張る?そう言うのは得意なのよ」

「それでは、お願いします、エレキさん」

 アイスが頼むと、エレキは4つの魔法陣を描き、3つは周囲に、1つは空に放った。

「それでは元の姿に戻りますね」

 そう言うと、アクアの体が光って九尾の狐の姿になった。

『私が得意な、神獣、九尾の狐としての魔法を使います』

「固有魔法ね」

「そういえば、固有魔法ってなんだ?」

「魔物の中でも高位の存在や神獣など力ある種類が生まれながらにして持つ魔法。お兄ちゃんと契約を結んだダークの固有魔法の1つがいわゆる『黒雷』」

「なるほどな。それじゃあアイス、見せてくれ」

『はい、コウキさん』

 と、アイスの周りにかなりの量の魔力が集まる。

「ダークの時もそうだったけど、固有魔法を使うときってこんなに魔力が分かりやすい程集めるのか?」

『いえ。今回はちょっと多めに使うので。こんな風に』

 その瞬間、光輝たちの周り、さらには)上空までもが氷の刃で幾重にも囲まれる。

「寒っ!」

「さすが『氷牢』ね。これは力を抑えてあるんだろうけど、本来はこの中に閉じ込めて相手をすぐに凍死させるのよ」

「怖っ!」

「お兄、ちゃん。眠い……」

「寝るな、アクア!寝たら死ぬぞ!」

 アクアが光輝の肩にもたれかかり、そのアクアの頬を光輝がペチペチと叩く。

『あの、この寒さだと死ぬことはないですよ?』

「や、まぁ、ノリで」

 魔喰いを抜き、地面に突き立てる光輝。

 その途端、氷の刃が一瞬で消え去り、寒さも嘘のように無くなった。

「改めてすごいですね、魔喰いは」

 人の姿になったアイスが言う。

「魔法を主に使うエルフ族やフェアリー族、魔術師などにとって天敵」

「遠距離なら敵なしね」

「コレ頼みってところも多いけどな。俺だって元が強いわけじゃないからな」

 光輝が苦笑して魔喰いを見る。

「そんなことはないと思うけど。あ、そうだ。せっかくだからダークの魔法も見てみたいわね」

 エレキがさもいいことを思いついたとばかりに言う。

「ダークをここで呼び出しても大丈夫なのか?」

「結界があるから大丈夫よ」

「そうか。それならいいか。ダーク、出てきてくれ」

 光輝が言うと、左腕の紋章が光り、ダークが隣に現れた。

「何の用じゃ、我が主よ。呼んでくれるのはありがたいのじゃが、戦かの?」

「いやいや、違うから。ところで、ダークはどれくらい魔法を使えるんだ?」

「ぬ?なんじゃ、唐突に。そうじゃの……。まぁ、ただ使うだけとなれば、妾はすべて使えるの。闇の系統が1番得意じゃが」

「それじゃあ、ひとつなにか見せてくれないか?もしかしたら役に立つかもしれないからさ」

「まぁ、たかがそれくらい、どうということは無いのじゃが。これではどうかの」

 そう言ったダークの手には、いつの間にか漆黒の剣が握られていた。

「それは、『黒夢』?」

「ん?アクア、それってなんだ?」

「『黒夢』はダークの固有魔法の1つ。武器としての威力だけでなく、かするだけでも10日間、ただひたすら黒いだけの夢を見続けたまま目を覚まさない」

「ま、物騒な武器の魔法よ」

「でも、かするだけでも威力が大きいので、そのまま死んでしまうんですけれど」

「危険だな、それ……」

「なに、心配することはなかろう。上位契約を結んでおる以上、妾が我が主を傷つけることはせぬわ」

「ならいいんだけどさ。それより、『黒夢』を魔喰いに吸収させてもいいか?」

「うむ。ほれ、喰わせるがよい」

 ダークが『黒夢』を差し出す。

 光輝がそれに魔喰いを触れさせると、剣の形が跡形もなく消え去った。

「さ、それじゃあ狩を続けましょ」

「そうだな」


 午前中を魔物を狩ることに当てた5人は、かなりの数の魔物を狩った。

「ようやく前の感覚が戻ってきたわ。これで連れ戻されずに済むわね」

「エレキさんがいると楽しいですから私も嬉しいです」

「妾は我が主に使える身じゃからの、我が主の寂しがる姿など見たくないわ」

 ダークも久しぶりに、文字通り羽根、というより翼を伸ばすことができて上機嫌だ。

 そんな3人とは少し離れた場所で、光輝とアクアが会話をしている。

「なぁ、アクア。魔物を倒すと落とすこの水晶みたいなものは何だ?」

「これは魔晶石。魔物の心臓。倒した魔物の強さによってその質が変化する。魔晶石は魔力を流すことで複数を融合させ、より質の高いものにする事ができる。ある程度大きな街ならば魔晶石を取り扱う店があり、そこに売ることもできる」

「となると、いくら弱いスライムとかそういうのでも、結構集まったから融合すればそれなりにはなるな」

 奇跡の袋を見る光輝。

 魔物を倒した後に残った魔晶石は、すべてこの中に入れられている。

「じゃ、これくらいにして昼飯でも食べに行くとするか。エレキ、アイス、ダーク。行くぞ」

 光輝がそう言うと、他のメンバーが同意した。


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