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~異世界15日目~

 学校のテスト地獄がようやく終わり、パソコンに触れるようになりました。

~異世界15日目~

 翌日、ハイノに戻った光輝は役場に行き報酬を受け取った。

「こちらが今回の報酬の中銀貨3枚になります」

「ありがとうございます」

 お礼を言い、役場を出る光輝たち。

「あ~、本当に色々あったな」

「確かに。前魔王が出てくるとは思わなかった」

「しかもそのダークと上位契約しちゃうなんて……」

「さすがコウキさんです」

 3人がそれぞれ述べる。

「さてと、宿は今日も含めて3日分残ってるけど、これからどうする?」

「それじゃあ、魔喰いをうまく使うために訓練でもすれば?うまく使えて損はないんだから」

 エレキが提案する。

「訓練か……。あ、でも、どこでするんだ?」

「こういう大きい街では、たいてい訓練場がある。そこを利用すればよい」

「街の外に出ると魔物とかが出てきて危ないですからね。コウキさんならば大丈夫だとは思いますけど……」

「そうか。それなら案内してくれ」

「分かった」


 ハイノの街の訓練場に来た光輝はさっそく利用許可を得て訓練を始めた。

「さてと。まずは魔法だな。今までに魔喰いが吸収した魔法は……」

 考え込む光輝。

「エレキの不可視の魔法と、ダークの黒い雷魔法だけだな。ま、とりあえずは自分で魔法をやるか」

 そう言って、剣を構える光輝。

「……で、どうやるんだ?」

「どうとは、どういうこと?」

「ほら、俺って異世界出身だろ?魔法のまの字も無かったからやり方が分からないんだよ」

「ああ、そういうことね。ん~、とりあえず、光輝は魔力Lv.が測定不能なんだから使えるはずなのよね。どう教えたらいいのかしら……。アイス、パス」

「えっと、コウキさん。自分の中にある魔力を感じることはできますか?」

「ん、このなんかよく分からないものなら分かるけど」

「それです。それを自分が行いたい魔法をイメージして放出するんです」

「やりたい魔法、ねぇ……」

「基本的に魔法は個人の意思によって発動する。お兄ちゃんがうまくイメージすれば必ず発動する」

「ん~、それじゃあ……」

 そう言って光輝は自分の中でイメージを膨らませる。

 と、剣の周りに黒い電流が帯び始めた。

「お、できたな」

「……お兄ちゃん、これはダークの魔法?」

「ああ。魔喰いが吸収したやつだから使えると思ってな」

「コウキ、それって闇魔法よ?1番難しい種類の魔法の1つじゃないの」

「私でも聖魔法は少ししか使えませんよ?」

「え、でも簡単だったけど」

「……お兄ちゃんにはソラ様が宿っているからかもしれない」

「ああ、なるほど。そういうことなら納得ね」

「そうですね。ソラ様の影響かもしれませんね」

 3人が納得したように頷く。

 と、光輝の内からソラの声が響いた。

『違うわよ。これは純粋にコウキの力よ。私が降りたり宿ったりしてはいるけどそれで魔法の制御がうまくなるなんてことはないわ』

「ソラか。それで、俺はどれくらい魔法の制御がうまいんだ?」

『そうねぇ……。Lv.71ってところかしら』

「Lv.71!?ソラ様、それは本当ですか!?」

「本当ならとてもすごいことですよ!?」

『嘘をつく必要なんてないじゃない。コウキの能力で私の影響を受けてるのは魔力だけよ。他は全く影響を受けてないわ』

「そうなると、お兄ちゃんの器用さLv.78や精神力Lv.測定不能は元からということに?」

『そういうことね。ま、それくらい無いと私を降ろせないしね』

「おいおい、俺ってそんなに規格外なのか?」

「コウキはもう少し自覚を持った方がいいわね」

「そうでないと大変なことになるかもしれませんよ?」

「そ、そうか。分かった」

『ふふっ。すっかり女の子に丸めこまれちゃってるわね、コウキ』

 ソラがからかうように言う。

「ま、まぁ、そういうことはいいんだよ。今は魔法についてだな」

 焦りながら全力で話題転換する光輝。

「それじゃあ、私たちが魔喰いに魔法をぶつければいいんじゃない?そうすれば吸収できるし、コウキもイメージしやすくなるから」

「そうだな。それじゃあ、そうしてくれ」

 そして、光輝の魔法訓練が始まった。


 昼まで訓練を続けた光輝たちは、ハイノのある飯屋で昼食を食べることにした。

「ん、どうだ、おいしいか?」

「おいしい」

「コウキにしてはいいお店を選んだじゃない」

「おいしいですよ、コウキさん」

「よかった。よく分からないからさ、こっちのことは。アクアたちに頼んだ方がいいとは思うんだけど」

「お兄ちゃんが選んだものなら何でも大丈夫」

「今のところは大丈夫だし、いいんじゃない?」

「そうですね。そのうち覚えますよ」

「そうか。ありがとな」

 つつがなく昼食は進み、飯屋を出る4人。

 そのまま宿屋に戻り、自室に入る。

 と、アクアとアイスが小さなあくびをした。

「ん、ねむいのか、2人とも?」

「少しだけ」

「朝も早かったですし」

「そうか。なら、ちょっと眠ってもいいぞ」

光輝が言うと、アクアとアイスが光輝をベッドに引っ張る。

「お、おい、どうしたんだ?」

「一緒に寝て、お兄ちゃん」

「お願いします、コウキさん」

「あ~あ~。人気者ねぇ、コウキは」

 結局、光輝がベッドに座り、アクアは光輝の隣に座って頭を光輝の肩に乗せつつ腕を胴に回して眠り、アイスは人の姿のまま、光輝の膝を枕にする事になった。

 光輝はアクアとアイスの頭を交互に撫でる。2人は満足そうな顔で眠っている。

「でも、コウキって本当に何でもありよね」

 エレキがもう一つのベッドでゴロゴロしながら言う。

「ん?何でだ?」

「だって、魔喰いの所有者だったり神獣を随獣にしたり、神様を宿したり魔物最強の魔王、あ、前魔王ね。前魔王と上位契約をしたり。普通なら考えられないわよ」

「まぁ、ほとんどが成り行きで、だけどな。後悔はしてないけど」

「ちゃんと面倒を見てあげないとだめよ、コウキ?」

「分かってるって、エレキ」


 やがて、夕食の時間になると、光輝はアクアとアイスを起こした。

「アクア、アイス。起きろ~。夕飯だぞ」

「ん、んぅ……。起きた、お兄ちゃん」

「ふわぁ……。起きました、コウキさん」

「2人ともずいぶん幸せそうに寝てたわねぇ」

「じゃ、食べに行くか」


 適当な店に入った4人は、隅の方にあるテーブルに席を席に決めた。

「失敗したか、これは?どっちかって言うと居酒屋っぽいな」

「時間帯で客層が変わる。今は依頼から帰って来た客が多い」

「でも、むっさいわね、ここ。男がほとんどじゃない」

「あまり女性がいませんね」

 適当に会話をしつつ、料理を頼む。

 と、1人の男が光輝たちのテーブルに近寄って来た。

「よぉ。エルフにフェアリー、獣人連れなんて良い御身分だなぁ」

「……何か」

「別に難しいことを言おうってんじゃあねぇんだよ。ただな、俺にちぃっとばかし、貸してくれねぇかってことだよ」

 男の目を見て、何をさせたいのか分かった光輝は、3人を庇うような位置に移動する。

「お断りします。彼女たちは俺の大切な仲間ですので」

「そう言うなよ。いくら欲しいんだ?ん?」

 下卑た笑みを浮かべる男。

「どちらも必要ありません。お引き取り下さい」

「……ちっ。こっちが平和的に頼んでりゃあいい気になりやがって。おい、お前たち!」

 男が呼ぶと、数人の取り巻きと思われる男たちが集まって来た。

「この人数差でも断るってのか?言っておくが、融合職の1つである魔闘士職持ちのこのおれ、リーベル・デリナぐほぁ!」

 言いながら殴りかかって来た男に向かって、立ち上がりながら魔喰いを使って風魔法を放つ光輝。

「……そっちから仕掛けてきたんだから、正当防衛だ」

 冷たい目で男を見る光輝。

 魔喰いを完全に抜き払うと、男とその取り巻きに向ける。

 店内は水を打ったように静まり返っている。

「お、俺は魔闘士職Lv.51だぞ!?それを剣士職ごときの魔法でダメージを受けるなんて……!?」

「誰が剣士職だなんて言った?まぁ、あえて職は言わないがな。それより、さっさと俺の目の前から消え失せろ。2度と現れるな。でないと……」

「ひ、ひぃ!」

 光輝の殺気に当てられ、男は店の外へ転がるように逃げていき、取り巻きたちも後に続いて逃げていく。

 やがて、店内には喧騒が戻ってくる。

「……っはぁ。疲れた。無駄にあんなことをするもんじゃないな」

 席に座りこむ光輝。

「お兄ちゃん、大丈夫?」

「だいぶ無理してたみたいだけど……」

「あまり無理はしないで下さい、コウキさん」

「まぁ、アクアとエレキ、アイスを守るためだしな。これくらいは当然だ」

 心配する3人に、苦笑いする光輝。

 その後、夕食を終え、宿屋に戻った光輝たち。

 ちなみに、この一件から、『降神使いの女に手をつけようとすると殺される』という噂がまことしやかに流されるのだが、それは光輝たちの預かり知らぬことである。


 宿屋に戻ると、光輝はソラからもらった奇跡の袋を取り出した。

 特に物を分類する必要もなく、すぐに取り出したいものが取り出せるので、光輝はかなり重宝していたりする。

「けどさ、俺はこれをただの物入れくらいにしか使えてないんだよな……。ソラ、普通はどんなことに使うもんなんだ?」

『そうね……。私はコウキに渡したのが初めてだからよく分からないけれど、他の神から聞いてることだと、食料を入れて飢えた村に配って回ったりだとか、そういうことが多いかしら』

「俺じゃあとてもできそうにないな。というか、どうして俺にこれをくれたんだ?」

『まぁ、コウキが興味深かったのと、なにより、色々と何かやってくれると思ったからよ』

「いや、俺じゃあアクアたちと旅をすることぐらいしかできないんだけど」

 頬を掻きながらベッドの方を見る光輝。

 そこにはアクアとエレキ、アイスが1つのベッドで眠っていた。

『それがあの娘たちを救ってくれると思うわ。……ところで、いつあの娘たちを襲うのかしら?今なら眠ってて大丈夫よ?』

 ソラが悪戯っぽく言う。

「……おい、俺をどんな奴だと思ってるんだ。俺は鬼か。鬼畜か」

『男なんだから、それ位はしないの?』

「相手の了承もなしにそんなことできるか。アクアたちの気持ちはどうなるんだよ」

『……問題ないとは思うけれど』

 最後の言葉は聞こえないように発された。

 やがて光輝はもう1つのベッドに入って眠る。

 そして夜は更けていく。


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