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~異世界14日目~

 すいません。更新遅れちゃいました。楽しんで読んでください。

      ~異世界14日目~

 翌日、光輝たちはラカイオの村に来ていた。調査依頼で来たことを告げると、4人は村長の家に招かれた。

「いや、わざわざ来ていただいて申し訳ない。坑道の調査は本来ならば私たちがやるべきことなのですが、魔物が現れるようになりまして、手に負えないのです」

「そうですか。まぁ、とりあえず俺たちは坑道の奥を調べてきますよ」

「頼みます、コウキ殿」

 そして、村長や村人たちに見送られ、村はずれにある坑道に入っていく光輝たち。

 しばらく進んでいると、光輝の精神から天空神、ソラが光輝に話しかけてきた。

『コウキ、この奥に何かいるわよ』

「ソラか。何がいるんだ?」

『今の私じゃちょっと調べることができないけど、頭の上にいるエレキに訊いてみなさい』

 そう言ってソラの声が途切れた。

「お、おい!ソラ!」

「どうしたの、コウキ?」

 エレキが光輝に問いかける。

 アクアとアイスも、周囲に気を配りながらも光輝の方を向く。

「いや、ソラがさ、奥に何かいるって言うんだよ」

「天く……ソラ様がそう言うのなら何かいるはずね。ちょっと待ってて。すぐに探るから」

 そう言うと、エレキは目を閉じてブツブツと何かを唱え始めた。

「……コウキ、奥にとてつもなく大きい反応が1つあるわ。でも、何ていうか、私たち、というよりコウキのことを誘ってるみたい」

「そうか。それなら招待されてみるか」

「お兄ちゃん、襲われたら危ない」

「そうですよ。大変ですよ」

「いや、でもさ、誘ってるんだろ?うまくいけば魔物の発生原因も調べられるかもしれないし」

「あ~、コウキって結構固いタイプなのね。わかったわ。私は行ってももいいわよ」

 エレキが妥協する。

「それなら私も行く」

「私も賛成します」

 と、エレキに続きアクアとアイスも賛意を示す。

「よし、それじゃあ行くか」


 歩き続けること数分。光輝たちは広い空間の中にいた。

「ここか、俺を誘ってる何かがいるの。エレキ、何か感じるか?」

「待って……。コ、コウキ、上っ!」

 エレキが叫ぶ。

 光輝が上を見るとそこには何かがいた。

「な、何だよ、あいつ!?」

「分からないわ。魔物、それもかなり上位だってことしか分からないわ」

「コウキさん、たぶん、純粋な強さなら私よりもかなり強いです」

「アイスって、神獣なんだろ?そのアイスよりも強いとなるとかなりのもんだな」

「……あの魔力の形。お兄ちゃん、おそらくあれは魔物たちの長、魔界の主である魔王」

「魔王!?」

「それにはわずかに間違いがあるの。妾は魔王ではなく前魔王じゃ。それと、妾は数百年前にこの世界の勇者に討たれた魔王とは全く別の存在じゃ。妾はただの魔物の長で魔界の主じゃが、あっちの魔王は国の王、闇に堕ちたヒト種の王で、それが魔物化したものじゃよ」

 前魔王が光輝たちの前に降り立った。背中には6対の翼が生えている。

「前魔王って、どういうことだ?」

 光輝が警戒して魔喰いを構え、3人を後ろに回して言う。

「若者どもを抑えきれなくての。新魔王を擁立されて追い出されてしまったのじゃ。まったく何が戦争じゃ」

「せ、戦争!?どういうことだ前魔王?」

「その前に、前魔王と呼ぶのはよしてくれないかの?妾にはダークという名前がある。こっちの名で呼ぶがよい。それと、戦争じゃったな。うむ。どうやら、若い世代の者たちは魔界だけで暮らすには足らぬと思ったらしいの。それで、親他種族の妾を廃して戦争派の者を新魔王に据えて領土を広げようということじゃ」

「そういえば、ここ最近、低ランクの魔物が増えてきてたわね。それってそういうことだったのね」

 エレキが得心したように呟いた。

「坑道にも魔物が出るからその原因を調べる依頼を受けた。それも関係が?」

 アクアがダークに訊く。

「ここに来るまで、魔物を1匹も見てませんね、コウキさん」

「そういえば見てないな。どういうことだ?」

「まぁ両方に答えるとしたら、この辺りにいるのは妾の方がいいと思った魔物が勝手に集まったということじゃな。客人を招くために魔物たちには退いてもらったがの」

「客人?誰か来るのか?」

「お主のことじゃよ、異世界人」

「なっ!?」

 光輝が驚いたように魔喰いの剣先をダークからずらす。

「妾にかかればそれくらい見抜けるのじゃ。妾は魔物の最上位じゃからの」

 と、唐突にダークが光輝に向かって黒い雷を飛ばした。

 光輝はかろうじて反応し、魔喰いでそれを吸収する。

「ほう。中々の反応速度じゃの。それに、その剣もただの剣ではあるまい」

「てめ、危ないだろ!アクアたちに当たったらどうするんだ!」

 感心したように言うダークに対し、光輝は抗議をする。

「ぬ?ならばお主になら当たってもよいのか?」

「あ、そう言えばそれもだめだな」

「お兄ちゃん……」

「コウキ……」

「コウキさん……」

 自分の身を省みない光輝に、名前を出された1名は嬉しげに頬を赤らめ、頭の上の1名は呆れたような声を出し、耳と尻尾をピコピコさせている1名は心配そうな声を上げる。

「何というか、愛されておるの……」

「な、何のことだ?」

 そして、鈍い男が1名。

「じゃなくてだ!どうしていきなり攻撃してきたんだよ!?」

「それはの、この坑道に入ってきたお主から、とてつもない力の波動を感じたからの。妾と契約するのにふさわしいか試すためじゃ。それで、その剣は魔喰いじゃろ?魔法を吸収する剣の類ならいくらでも見てきたが、その魔力までも吸収するのは、噂に聞いた魔喰いだけじゃからの、すぐ分かったのじゃ」

「契約?つまり随獣ということか?」

 光輝が聴く。

「いや。妾はお主より弱いからの。封印・使役する上位契約じゃ」

「上位契約?」

「上位契約とは、弱者が強者に庇護をしてもらう代償に、その身を庇護する者の体に封印。また、呼び出して使役することもできる。お兄ちゃんとアイスの関係とは少し違う」

「そうなのか。ありがとな、アクア」

 アクアの説明を聞き、納得する光輝。そのままアクアの頭を撫でる。

「ふぁ……」

「それじゃあダーク。上位契約するんだろ?」

「うむ。腕に紋章を印すから、片方の腕を出すのじゃ」

「わかった」

 アクアの頭を撫でていない、つまり左の腕を出す光輝。

 ダークは光輝の腕に自分の手を乗せ、何やらブツブツと唱える。

 と、突然光輝の腕に紋章が現れた。

「これで成功じゃの。妾はお主から庇護を受け、その代償としてお主に仕えることになった」

「そうか……。って、アクア、大丈夫か!?」

 光輝がふとアクアを見ると、顔を真っ赤にしていた。

「だ、大丈夫。問題ない」

「いや、大丈夫じゃないだろ。どうしたんだ?」

「コウキ……。大丈夫よ。アクアは病気でも何でもないから」

 強いて言うなら恋の病?と聞こえないように呟くエレキ。

「大丈夫ならいいけど、無理するなよ、アクア?」

「わかった」

「のう、我が主よ。妾は紋章の中に入って休むとするから必要となったら呼び出してくれ」

「そうか。それじゃあ」

 と、紋章が光り、ダークの姿が消えた。

「これが上位契約か。で、まぁ、調査依頼はこれで終了なのか?」

「そうなる。村長に報告すれば依頼が完了。ハイノに戻って報酬を受け取ることができる」

「あ~あ。できれば魔物と戦いたかったな~。ここ最近はまともに戦ってないし」

「エレキさん、私と戦ってみます?」

「まさか!神獣相手でまともに戦えるわけないじゃない!」

 こうして光輝たちの依頼が終了した。

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