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竹取らない物語

作者: 来也亜男
掲載日:2026/03/20

 むかしむかし、人里離れた土地に、竹林がありました。

 その中に一本、黄金色に輝く竹がありました。太くて堂々とした竹でした。竹林の奥から外にまで光があふれ出していました。

 しかし、なにしろ人里離れた土地なので、それを見る人はいませんでした。雀や野ねずみだけが、少しのあいだ目を止め、やがて去って行きました。

 その竹は、昼も晩も、黄金色に光っていました。

 そうして数年がたちました。

 竹はあいかわらず光っていましたが、その光は、最初よりわずかに暗くなりました。

 数年、さらに数年たつと、竹の光はずいぶん弱くなりました。以前ははっきりと光り輝いていましたが、いまは薄暗い竹林の中でも、昼の間は目立たないくらいでした。

 そしてまた数年がたちました。

 あるとき、その竹から、輝きが消えました。

 何日かあと、竹はまた光りました。しかし以前のようにずっと光るのではなく、ふと光って、しばらく消えるようになりました。

 その後も竹は、ときどき光りましたが、その間隔は伸びていきました。

 何年か経つと、めったに光らないようになりました。

 小鳥が近くを飛んだり、獣の足音がしたとき、竹は光りました。しかしその光は淡く、獣も気付かないで立ち去ることもありました。気付いたとしても、小鳥も獣も、竹をどうするわけでもありませんでした。

 その光も、何年か経つと、非常に弱いものになってきました。

 いつしか竹は光らないようになりました。

 光らないまま、しばらくの時間が流れました。

 ある夜のことです。

 曇りで星明かりもない、真の闇でした。

 とつぜん竹が輝き出しました。

 最初の頃のように、とても明るい輝きでした。近くに人がいたら、必ず気付いたことでしょう。

 だけど、人里離れた土地です。目にする人はいませんでした。

 竹はしばらく光りました。そのうち光が弱くなりだしました。

 それでも、思い出したようにまた強く光りました。

 竹の光は、徐々に弱くなって、また強くなることをくりかえしました。くりかえすうちにも、光が弱くなってきました。

 朝日が昇る前に、竹の輝きは消えました。

 また竹は光らなくなりました。

 その竹が光ることは、もう二度とありませんでした。枯れ落ちて朽ちる時までも。



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― 新着の感想 ―
このメタ感、めっちゃ好きです!余韻も面白かったです!
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