竹取らない物語
むかしむかし、人里離れた土地に、竹林がありました。
その中に一本、黄金色に輝く竹がありました。太くて堂々とした竹でした。竹林の奥から外にまで光があふれ出していました。
しかし、なにしろ人里離れた土地なので、それを見る人はいませんでした。雀や野ねずみだけが、少しのあいだ目を止め、やがて去って行きました。
その竹は、昼も晩も、黄金色に光っていました。
そうして数年がたちました。
竹はあいかわらず光っていましたが、その光は、最初よりわずかに暗くなりました。
数年、さらに数年たつと、竹の光はずいぶん弱くなりました。以前ははっきりと光り輝いていましたが、いまは薄暗い竹林の中でも、昼の間は目立たないくらいでした。
そしてまた数年がたちました。
あるとき、その竹から、輝きが消えました。
何日かあと、竹はまた光りました。しかし以前のようにずっと光るのではなく、ふと光って、しばらく消えるようになりました。
その後も竹は、ときどき光りましたが、その間隔は伸びていきました。
何年か経つと、めったに光らないようになりました。
小鳥が近くを飛んだり、獣の足音がしたとき、竹は光りました。しかしその光は淡く、獣も気付かないで立ち去ることもありました。気付いたとしても、小鳥も獣も、竹をどうするわけでもありませんでした。
その光も、何年か経つと、非常に弱いものになってきました。
いつしか竹は光らないようになりました。
光らないまま、しばらくの時間が流れました。
ある夜のことです。
曇りで星明かりもない、真の闇でした。
とつぜん竹が輝き出しました。
最初の頃のように、とても明るい輝きでした。近くに人がいたら、必ず気付いたことでしょう。
だけど、人里離れた土地です。目にする人はいませんでした。
竹はしばらく光りました。そのうち光が弱くなりだしました。
それでも、思い出したようにまた強く光りました。
竹の光は、徐々に弱くなって、また強くなることをくりかえしました。くりかえすうちにも、光が弱くなってきました。
朝日が昇る前に、竹の輝きは消えました。
また竹は光らなくなりました。
その竹が光ることは、もう二度とありませんでした。枯れ落ちて朽ちる時までも。




