拷問器具の素晴らしさを伝えたい!! 納得感
説得力
昼のあいだ、私はいつものように動けないまま、来館者の会話を聞いていた。
「昔って、猫を飼ってるだけで魔女って疑われたこともあったらしいよ」
その言葉に、私は少し考え込んだ。
猫を飼っているだけで?
それだけで疑われるの?
夜になり、体が動けるようになると、私はすぐに魔女に関する展示の前へ行った。プレートには、分かりやすい説明が書かれている。
魔女判定の歴史(やさしく解説)
昔は、科学が今ほど発達していませんでした。
そのため、偶然や思い込みで「理由」を作ってしまうことがありました。
黒猫などは神秘的なイメージがあったため、誤解されることもありました。
現在では、もちろんそのような考え方は否定されています。
私は腕を組んだ。
「いや、判定ゆるすぎない?」
猫を飼っているだけで疑われるなんて、今なら完全に意味が分からない。
そのとき、後ろから受付の人の声がした。
「当時は“理由”より“納得感”が重視されることもあったんです」
「納得感?」
「みんなが不安になると、“分かりやすい原因”を探したくなるんですよ」
なるほど。
でも、やっぱり不思議だ。
私はさらにプレートを読むと、小さく追記があった。
豆知識 ・当時は天気や病気など、説明が難しい出来事が多くありました。
・そのため、偶然が重なると誤解が生まれやすかったのです。
・つまり「たまたま」が重なると疑われやすい時代でした。
私は思った。
――もしこの資料館が昔にあったら、私は確実に怪しまれている。
夜に動いてるし。
その瞬間、受付の人が小さくメモを書いて、私の展示プレートに貼った。
「夜行性(展示仕様)」
やめてほしい。
私はため息をついた。
でも同時に、少しだけ分かった気がした。
昔の人たちは、分からないことが多すぎて、不安だったのかもしれない。
そして、その不安をどうにかしたくて、“理由っぽいもの”を作ってしまった。
私は展示室を見渡した。
ここは、怖い道具の場所というより――
考え方の歴史を学ぶ場所なのかもしれない。
そのとき、ケースの星が小さく光った。
納得力?




