拷問器具の素晴らしさを伝えたい!! 魔女展④
魔女と私が受付やっています
魔女展は予想以上に盛り上がっていた。
入口には列ができ、体験コーナーでは拍手が起き、鎧さんは写真撮影で忙しそうだった。
――しかし。
イベントには、必ず“受付トラブル”が発生する。
「すみません」
受付に最初に来たのは、メモ帳を持った来場者だった。
やたら真剣な顔だ。
「展示の設定について質問があります」
「はい」
「この魔女の世界観は、ゲーム版準拠ですか?それとも独自解釈ですか?」
私は止まった。
完全に想定していない質問だった。
「……雰囲気準拠です」
「なるほど」
来場者はメモを取った。
納得したらしい。
次の来場者。
「ポップコーン能力って、クールタイムあります?」
ゲーム寄りすぎる。
「ありません」
「強いですね」
どこを評価しているのか分からない。
さらに次。
帽子をかぶった来場者が、かなり真剣に言った。
「魔女展なのに、魔法の演出が少ない気がします」
たしかに。
冷静に考えると、
・ポップコーン
・雰囲気の瓶
・鎧さん
魔法感は弱い。
「演出、追加します」
私はとりあえず言った。
そのとき。
トラブルウィッチが後ろから出てきた。
「煙出せます!」
ぽん。
白い煙が出た。
「おお!」
思ったより盛り上がった。
しかし問題はここからだった。
次に来た来場者は、かなりテンションが高かった。
「全部の設定、知ってます!」
嫌な予感。
「初期の世界観と、途中からのメタ路線、混ざってますよね!」
私は固まった。
図星だった。
「あと、鎧さんのポジションが途中から人気枠になってますよね!」
さらに図星だった。
後ろで鎧さんが少しだけ姿勢を正した。
ガシャ。
来場者は満足そうにうなずいた。
「最高です」
怒ってはいなかった。
むしろ楽しんでいる。
私は小さく安心した。
しかし最後に、ひとつだけ言われた。
「ところで」
「はい」
「このイベント、どこまでが本気設定ですか?」
私は少し考えた。
そして答えた。
「……半分くらいです」
来場者は笑った。
「ちょうどいいですね」
そう言って去っていった。
私は椅子に座り直した。
「受付、むずかしい」
トラブルウィッチが小声で言った。
「でも、楽しそうでした」
「たしかに」
イベントは順調だった。
少し変わった質問もあったが、
それも含めて――
ちゃんとイベントらしくなってきている。
ただし。
私はまだ気づいていなかった。
このあと、
もっと濃い来場者が来ることを。
悪鬼来たる




