恋・物語は突然に
第1部 第2章 第9話 『恋・物語は突然に』
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僕は人生初の彼女が出来た。正にラブ・ストーリーは突然に(蹴)。
お相手は佐藤さんと言いたいところだが、意外にもエリーさんの方だった。
エリーさんは外見は可愛い系というより、綺麗系で普通に美人である。
性格は、物語の『ガハラさん』と、ヨルムンガンドの『ココ』を足して2で割った様な人物だ。
(ちなみに今さら感があるが、佐藤さんをアニメキャラで例えると、『高木さん』と『長瀞さん』を足して2で割った様な感じである。)
更に意外なことに、付き合ってほしいと言ったのは、僕ではなくエリーさんの方からであった。
美人&金持ち&天才なのだから、いくらでも寄ってくる男はいそうなものであるが・・・。
実際寄ってくるのだが、どうにも質が悪いらしい。
美人ゆえに変に緊張されたり、お近づきになるために変に気を遣われたり。自分でも『顔面で勝手に釣れてるだけ』としらけてしまうらしい。
それと同じように、家の経済力や、頭の良さ。そういったステータス的なところばかり目当てで寄ってくる男ばかりらしい。
挙句、下心丸出しで告白してきた男を振ったら、その男が好きだった女にヒスられるという・・・。
持つ者にも持つ者の悩みはちゃんとあるということだ。
ただ、顔の好みはB専・・・もとい。アジア人的な塩顔がお好みらしく。
他の白人三銃士は恋愛対象外らしい。
そこにきて、僕の態度は良くも悪くも平々凡々。
ある意味僕に対して変に警戒する必要はなかったんだと思う。
確かにエリーさんは綺麗だけど、他の男3人もかなりかっこいいので、そういう意味では4人とも対等に緊張していた。
そして慣れるのも同じくらいで、エリーは綺麗すぎるので、外見・内面・経済・地頭。全てにおいて何一つ取り柄の無い僕がエリーさんの恋愛対象になるはずがないので、僕の方からも最初から完全に恋愛対象外。だった。
――ちなみに私のような人は日本人に割と多い。
世界では『日本人は白人の外見が一番好き』みたいな話を聞くが案外そうでもない。
『綺麗だな』と思う人は確かに多いが、恋人にしたい。結婚したい。と思う人は案外かなりの少数派である。
だから、エリーの場合も薄っぺらい人間は近づいてきても、普通の人間にはあまり求めてもらえなかったのだ。――
「私も年相応の青春がしてみたいわ。」
という、どちらかというと論理調で、「恋人になって欲しい。」と、告白された。
「え?なんで僕みたいな頭の悪いジャガイモと?」というのが僕の最初の返答だった。
「ふふっ。」と、漫画の様に笑った後長々と説明されたが、要約すると『顔面偏差値は日中韓くらいにしかない』ということだった。
――ということで喜べ!日本の同志諸君!ただ、清潔感は必要である。清潔感を持って、必要最低限体を鍛え、心に紳士を一人飼い、鼻の下を伸ばさなければ、特亜以外では割と希望はある。――
「正直過去にいろんなことがあったし、恋とか愛とかよくわからないし、僕女の人まだ若干怖いんだけど、それでもいいなら。」
「私はそういうユキ君の、人に対して異常に警戒心が強い所も好きよ。私もこういうのは初めてだからちゃんとはわかっていないんだけれど、改めてよろしくお願いするわねっ。」
そんなこんなで晴れて飛び切り美人の恋人ができた。
やったねユキk...おいやめろ。
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そんな幸せのさなか「待ってました!」と言わんばかりに、ちょっとしたトラブルが訪れる。
アルバイト先のコンビニで横領があったのだ。
それも1カ月くらいのスパンで3回ほどあった。
厳密には僕のシフトの入った日に3回。関係ない日にも1回か2回あったらしい。
当時僕はあくまで学校から「社会勉強してみたら?」という提案でバイトを始めたのであって、収入が目的というわけではなく、お小遣いも別に貰っていたので、動機が無かった。
土曜日に働いて、日曜日に休む。という具合だったのだが、横領の発生が土曜日に多く。三回目に至っては友達とカラオケに行ってる最中に何度も鬼電され「遊びを切り上げてコンビニにまで来い。」と強い口調で言われたりもして、母親に制服をアイロンがけしてもらい、父親と一緒にコンビニに行き、「こんな場所で働かせられない」と言ってもらい、辞めた。
自分の名誉のために勿論横領などしていないし、ちゃんと防犯カメラも経営者側が確認しており、それでも友人との遊びを中断して店に来いと言うのは、いささか強引である。
僕が何か不審な行動をしていたのなら、それもわかる。だが、そういうわけではないと電話で言われ、あまつさえ次の日にシフトが入っているのにそれではダメだという。
そこまでしてそこで働く理由など僕には何もなかった。
とはいえ別に僕が本気で疑われていた訳ではないので、それで精神的にどうのこうの。ということはなかった。
ただ嫌な辞め方になったな。というだけである。
何より今回は僕もさっさと両親に全て話したし、両親も早々にフォローしてくれたし、エリーさんも精神面をフォローしてくれた。
一方学校の方は疲弊しつつも、11月頃まではなんとか、二週間に一回休む程度で登校していた。
高校でも理不尽なことが無かったわけではない。
ある日僕は帰ろうとした時に、何故か自分の鞄が無くて焦っていた。
財布とスマホはポケットに入れて持っていたのだが、定期券はカバンにくっついていた。更に運悪くほとんどあまり現金を持っていなかったので、自力で帰ることができなかった。
どうしようもないので職員室へ行って、残っていた教師に説明して鞄を間違えた人を放送で探してもらうことになった。
そして「取り敢えず教室で待っていろ」と言うので、教室で待つことに・・・。間も無く放送はしてくれたが、中々見つかったと伝えにこない。
疲れていたこともあって机に突っ伏しているうちに普通に寝てしまった。
気づいて目が覚めるとなんと20時半。
伝えた教師は結局僕を忘れ去って帰ったようで、更に戸締りのための見回りがあったはずなのだが、こちらも適当な教師達で僕を見落としていたのだ。
結局自分は教師の連絡先を持っていなかったが、不登校だったので母親が教師の連絡先を持っていたので、母親に連絡して、担任に伝えてもらった。
ただ、そうは言ってもどうしようも無いので、窓の一つを開けて学校から出るしかなかった。
合わせ鏡の不気味な学校を4階から1階まで、青緑色の非常灯の灯りだけを頼りに降りていくのだ。
しかもこの学校は数年前に飛び降りがあったばかり。
心霊番組が嫌いな割には、中学生の頃といい、割とホラーチックな体験をしている。
まあ、結局これは女の子が間違えて持って帰ったようで、どういう連絡の仕方をしたのか、まさかの女の子が校門の外で鞄を持って待っていた。
女の子からは普通に謝られ、伝えた教師や、見回りを怠った教師からはなにも無く終わった。
やっぱり教師は信用ならない。
そんなこんなで12月に入り限界を迎えたのか一気に失速してしまった。
――当時のことはしっかりとは覚えていないが、とにかく疲れており、とにかく学校が厭で厭で仕方がなかった。
やや疎遠になったとはいえ、それでも佐藤さんはこんな私を度々引っ張ってくれていた。
いい娘じゃないか・・・(血涙)
タイムマシンがあったら、この頃の自分をぼっこぼこに殴って、今からでも遅くないから佐藤さんのケツだけ追っかけてろ。と説教することだろう。
エリーのことを無下にしたい訳ではないし、彼女は彼女でとてもいい人だったのは間違いないが、やはり本分を頑張る。という基本的な部分では、明らかにそっちの方が正しい。
この当時の私は完全に本分を見失っている。というか、本末転倒なのだ。
当時のヘタレな私なら無理に佐藤さんに告白して玉砕。見事精神崩壊\(^o^)/。なんてこともなかっただろう。
まあ、不純な動機でも構わないから、これ以上人生の正攻法のレールから外れるな。という話である。
冬休みの補修は全て出席して、何とか踏ん張ろうとしたが、結局3学期はずるずるとした。
当時のことで一番記憶に残っているのは、校長が直接家に迎えに来た時のことだ。
『ユキ君。君は礼儀正しい。でも、頑張り過ぎだ。素直で頑張るのはいいことだけど。君の場合は空回りをしている。人間休む時は休んで、手を抜くときは手を抜かないといけないんだ。』
正直今の私にもやや重なることである。振り返ってみれば馬鹿な選択をしていると思うが、今この瞬間では自分の選択に疑問を持ちつつも、私は全力で頑張ってしまうのだ。
そして空回る。
まあ、結論から言えば。
留年が決定し、退学した。
私の努力不足と、体力不足と、選択ミスだ。
言い訳のしようもない。当時の私は自分なりに頑張っていたし、方向性は間違っていたが頑張ってはいた。ただ『至らなかった』だけだ。
1つも後悔していないと言えば嘘になる。
既に何度も吐露している様に、佐藤さんだ。あのような相性の人は本当に滅多にいない。
佐藤さんとなにがなんでも恋人になりたかったわけではないし、そうアプローチしていたとして、恋人になれたと。思い上がった思いはないが。
『本当にいい親友になれたと思う。』
なんでそれに気づけなかったんだろうか。
相手は退学が決定した後も連絡してくれていたのに、何故ここまで無下にしてしまったんだ。という後悔である。
だが、学校生活において精一杯やり切った。という意味では微塵も後悔はしていない。
休みは多かったが、検定資格はほぼほぼ取っており、Office系はこの時得意になった。
アニメやゲームばかりしていた訳でも無ければ、女に現を抜かして単位が足りなかった。というわけでも無かった。――
取り敢えず、僕は『高卒認定試験』を受けることにした。
それなら誰かと足並みを揃える必要はない。
勉強範囲も中1~高1程度の基礎科目の問題でそこまで難しくないらしい。
主要科目を超真面目に勉強するのは軽く3年ぶりくらいだが、なんとか取り組まなければならない。
そしてその裏で、いろんな人と沢山チャットしていた。
エリーさんと何で『パンク』してしまったのか?それを改めて考えてみることにした。
――『無理にコミュニケーション能力を上げようと躍起になり、学生の本分を忘れたこと。』なのだが、この時それは出てこなかった。
まあ、所詮はどっちも子供なのだ。――
1.『どんな人でも自分が相手に合わせれば仲良くなれる。』と勘違いしてしまったこと。(嫌われることが怖い。というのもある程度あった。)
現実的に相手も一人の生き物。人間。なのだから『合う合わないが有って当然』なのだ。その『当然』を理解していなかった。
幻想的というか、理想的というか、非現実的な子供めいた妄想でしかないのだ。
現実問題相性の悪い人間に無理に合わせ続ければ、ただ疲れる。僕の場合は相手の価値観に引っ張られない様に本心的にはブレーキをかけていたので、それも余計に疲れさせていた。
2.『小さい出来事に対して全力になり過ぎること。』どういうことかというと、相手のちょっとした仕草や、行動や、言葉を、深読みし過ぎて気にしすぎる。ということだ。それによって更に精神的な疲労を増やしていた。
3.『中学時代の心の傷が半分くらいはまだまだ治っておらず、その辺りからも負担が増していた。』
大体この三つの問題が挙げられた。
そしてそれぞれに対するエリーさんなりの解決方法を教えてもらった。
まず、「1」に関しては認識を改め、嫌われることを恐れず、苦手な相手は『合わせるのではなく、受け流せ。』と教えてもらった。
合わせすぎると、今回の様にいつかパンクするし、正面からぶつかれば喧嘩になる。かと言って無視するのもコミュニケーション能力が高いとは言えない。
『適当に相槌を打って、聞いてる風を装って適当なタイミングで話を終わらせろ。』ということだ。
「そうはいっても、適当に相槌を打つのは何となくわかるけど、話を終わらせるタイミングがよくわからない。」
「そんなの、『飽きたら』でいいのよ。具体的に言うのならば『あー、めんどくせ。これ以上コイツに時間割いてらんねーわ』そう思えたら、『この後用があるからごめんねー。』とか。『僕それよく分からないんだよねーごめんねー』って、適当に終わらせればいいのよ。」
「なるほど・・・。」
「合わない相手と話したって、基本的には時間の無駄。って考えておいた方がいいわよ。根底にその思いがあればさっさと話を切り上げたくなるだろうし、合わないヤツをあしらうのは上手くなるわよ?」
「わかった。ありがとうエリーさん。」
続いて『2』だ。これに関しては対人に限った話ではない。
「そうね。ユキは『まあ、いっか。』これが口癖になるように頑張ったらいいのかもね?良くも悪くも細かい所を気にしすぎて効率が悪いのよ。ユキは確かに人よりも細かい所まで気づいて、それは良い所だと思うし、長所だと思う。でも、その分析力を常時発動させる必要はないのよ。」
「例えば。普段。日常生活的にお料理するとき。毎回毎回きっちり何gとか、何mlとか、寸分の狂いもなく量ってられないでしょ?でも、これがお菓子作りとかだと結構シビアにしないと失敗するのよ。」
「そうなの?お菓子ってそんなめんどくさいの?」
「そうよ。お菓子はめんどうくさいものなのよ。」
「なるほど・・・。」
「それで話を戻したいのだけれど。要するに状況に応じて使い分けなさい。臨機応変。適材適所。ってことよ。そして、現状ユキは普段常時分析力を高く発揮しているから、『まあ、いっか。』を口癖にして必要以上にそれらに執着するのをやめなさい。」
「うん。わかった。」
最後の「3」は、『自分がそれを変えたいと思うのであれば、場数を踏んで経験則的な自信をつけて克服。あるいは改善策を考えるしかない。』
当面は、『適当』を探すことが目標だ。
取り合えず、毎日6~8時間程度は勉強をし、それ以外はチャットしたり、偶にゲームをやったり。という感じだ。
ゲームはSkyrimや、World Of Tanks、WAR THUNDERなど。この時期はまだWTに陸軍がようやく来た。という時期でまだWoTの方が楽しかった。
そんなこんなで2014年の夏になる・・・。
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次回!第1部 第2章 第10話
『コミュニケーションの理解』 DON'T MISS IT!!!




