息抜きエピソード
第1部 第2章 第8話 『息抜きエピソード』
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――駆け足の説明が続いているので、脳みそを休める為にここで面白いエピソードを紹介しよう!
外人連中とある程度仲良くなったとある日。
マクドナルドに行った。
個別&母国語注文という非常に迷惑極まりない遊びをしたのだ。(笑)
まずトップバッターを飾るのは『紳士の国イギリスから舞い降りた貴公子アーティ』。
鎖骨くらいまである綺麗な金髪。青い瞳。やせ型ですらっとした、絵本の中から飛び出してきたような風貌。
彼は上流階級の英語が話せるそうで、エレガントに紳士的なフレーズで若い女性店員に≪ハンバーガーを注文した≫。(失笑)
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店員A:いっ、いらっしゃいませ。ご注文をどうぞ・・・♡
(俺:おいっ!!目がハートになってるぞ!!くそが!!!)
アーティ:Good day, miss. I should like to have a Big Mac meal, if I may. Could you be so kind as to replace the fries with chicken nuggets, and make the drink a ginger ale—that would be most agreeable.
(こんにちはお嬢さん。ビッグマックのセットを一ついただきたいのですが、ポテトをチキンナゲットに替えていただけますか?そして飲み物はジンジャーエールでお願いできれば、幸いでございます。)
店員A:・・・・えっ?・・・・・え??(ポカーン)
アーティ:A Big Mac meal, if you please—nuggets in place of fries, and a ginger ale to accompany it.
(ビッグマックのセットを一つお願いします。ポテトの代わりにナゲットを、そして飲み物はジンジャーエールでお願いいたします。)
店員A:しょ、少々・・・P.. Please wait!!
カタカナ発音で、急いで英語が分かりそうな別の店員を探しに行った。
店員B:Sorry to keep you waiting. What would you like?
(お待たせしました。ご注文は何ですか?)
アーティ:Good afternoon, young lady. I should very much like to partake of a Big Mac meal, if you please. Might I trouble you to substitute the customary fries with a portion of chicken nuggets, and accompany it with a ginger ale, most delightful indeed?
(こんにちは、お嬢さん。ビッグマックのセットを一ついただきたいのですが、もしよろしければ通常のフライドポテトをチキンナゲットに替えていただき、飲み物はジンジャーエールにしていただけますか?よろしくお願いいたします。)
店員B:ビッグマックのセットで、サイドがナゲットで、ジンジャーエール・・・?Could you say slowly, easy English, please?
(ゆっくり簡単な英語で言ってもらえますか?)
アーティ:Big Mac set, nuggets instead of fries, and ginger ale, please.
(ビッグマックセット。ポテトの代わりにナゲットで、飲み物はジンジャーエールでお願いします。)
店員B:Okay. Big Mac set, side nuggets, drink ginger ale. Anything else?
(ビッグマックのセットで、サイドがナゲット、ドリンクはジンジャーエールですね。他に何かございますか?)
アーティ:Indeed—may I also procure a Filet-O-Fish, a la carte, if you’d be so good?
(はい、それと、もし差し支えなければフィレオフィッシュを単品でお願いできますか?)
店員B:Okay. One Filet-O-Fish. Anything else?
(フィレオフィッシュを一つですね。他にありますか?)
アーティ:That will be all.
(以上です。)
店員B:For here or to go?
(店内でお召し上がりですか?お持ち帰りですか?)
アーティ:To go.
(持ち帰りです。)
店員B:Okay. Total is 1,010 yen.
(かしこまりました。お会計は1,010円になります。)
アーティ:Splendid. I’ll pay by card, if I may. And a receipt as well, if it’s no inconvenience.
(素晴らしい。カードで支払わせていただきますね。それと、差し支えなければレシートもいただけますか?)
店員B:Of course. Here is your receipt. Your number is 173.
(もちろんです。こちらがレシートです。番号は173番です。)
アーティ:Capital. Many thanks, and a very good day to you.
(結構。どうもありがとうございます。どうぞ良い一日を。)
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2番手は、この男!『鍛えられたボディーに知的な面構え。凍てつく美青年ルーク』!
短い金髪に、青の瞳。堀が深く、店の照明で目元に影ができる・・・。イケメン過ぎる。
彼はバイエルン訛りのドイツ語で注文をします!
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店員:いっ、いらっしゃいませ。ご注文をどうぞ・・・♡
(俺:おいっ!!お前もか!!くそが!!!)
ルーク:Grüß Gott! I hätt gern a Big-Mac-Menü mit Pommes und a Fanta Traube. Und dazu no an Doppel-Cheeseburger und a Teriyaki MacChicken, bittschön.≪グリュース・ゴット! アイ ヘット ゲルン ア ビッグマックメニュー ミット ポメス ウント ア ファンタ トラウベ。ウント ダーツー ノー アン ドッペルチーズバーガー ウント ア テリヤキ マックチキン、ビッシューン≫
(こんにちは!ビッグマックのセットでポテトとファンタグレープをください。それにダブルチーズバーガーと照り焼きマックチキンを単品でお願いします。)
店員:!!?え???
ルーク:Big-Mac-Menü, Pommes, Fanta Traube. Dazu Doppel-Cheeseburger, Teriyaki MacChicken.
(ビッグマックセット、ポテト、ファンタグレープ。それとダブルチーズバーガー、照り焼きマックチキン。)
店員:……ビッグマック?ポメス?ファンタトラウベ・・・?ダブルチーズバーガー?テリヤキ?……あっ、はい。……えっと……ポメスってなに・・・?
ルーク:Ja, Pommes!≪ヤー、ポメス!≫
(そう、ポテト!)
店員:……pardon?
(……もう一度言っていただけますか?)
ルーク:Hä? Was hom S’ gsagt?≪ヘェ? ヴァス ホムス ゲザクト?≫
(え?今なんて言った?)
店員:え、えっと……What is ポメス・・・?
ルーク:Pommes! Die Kartoffelstäbchen!≪ポメス! ディー カルトッフェル シュテープヒェン!≫
(ポテトだよ!ジャガイモの棒のやつ!)
店員:Sorry, I don't understand...
その後、ハーフっぽい別の店員を呼ぶも、『ポメス地獄』にケリはつかず。
これ以上はどうにもならないので、ルークはポテトの絵と、ファンタグレープのマークを指さし注文した。
店員:お会計は1,310円になります。(レジの金額表示を指さしながら)
ルーク:はい。1,310円ちょうどね。(散々ポメス地獄を展開しながら、しれっと完璧な日本語で返答する超ドSルーク君)
店員:!!!!?
店員:握手してもらってもいいですか・・・!?
(俺:WTF!?いやいや、なんかいろいろおかしいだろ!!イケメンだったら何でも許さr・・・・(以下略))
ルークは「ごめんね(苦笑)」って言いながら、握手してあげてました。
※ちなみにファンタは、ナチス時代にドイツでコーラが入手できなくなり、作られた飲料です。
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そしてラストを飾るのはこの男!!『シベリアの奥地からやってきた屈強にして強靭な身体を持つ巨神パーシャ』
※彼はサンクトペテルブルク出身です。
偶々黒スーツを着ていた彼は、サングラスをかけ、立派なあごひげがあり、どっからどう見ても完全にSP。とても同じ17歳には見えない!!
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店員:いっ、いらっしゃいませ。ご注文をどうぞ・・・(恐怖)
(俺:その日俺は思い知った。人は本当に心の底から恐怖したとき・・・今流行っている巨人漫画の登場人物のようになるのだと・・・)
パーシャ:Здравствуйте! Мне, пожалуйста, два Биг Мака, одни наггетсы, пятнадцать штук. Соус — два барбекю и один горчичный. И одну большую колу.≪ズドラーストヴィチェ!ムニェ、パジャールスタ、ドヴァ ビッグ マーカ、アジーニ ナゲッツィ、ピェトナーッツァチ シトゥーク。ソース — ドヴァ バルベキュー イ アジーン ガルチーツヌィ。イ アドヌ バルショーユ コールゥ。≫
(こんにちは!ビッグマックを二つ、ナゲットを15ピースください。ソースはバーベキューを2つ、マスタードを1つ。それからコーラのLサイズを1つお願いします。)
店員A:……え?……え、えっと……コーラ・・・?
店員さんは顔に恐怖と困惑と焦りの表情を浮かべつつも、手のひらをパーシャに向け『待って』のハンドサインをし、慌てて奥に行き英語ができるバイトを呼びにいった。
店員B:Hello! Could you say it again in English, please?
(もう一度英語で言っていただけますか?)
パーシャ:Два Биг Мака! Наггетсы пятнадцать! Кола большая! ≪ドヴァ ビグ マーカ! ナーゲッツィ ピトナーッツァチ! コーラ バリシャーヤ!≫
(ビッグマック2つ!ナゲット15!大きいコーラ!)
店員B:……これ英語じゃないな。Just a moment, please.
さらに、ペルー人とブラジル人のハーフっぽいバイトが同時に呼ばれる。
店員C:¿Español? ¿Português?
(スペイン語?ポルトガル語?)
パーシャ:Русский.≪ルースキー≫
(ロシア語。)
店員C:……。
駅前のマクドナルドで4人の従業員は見事にフリーズした。
予め、最初の注文を聞いて僕がビッグマック、バーベキュー、コーラくらいしか聞き取れていない事がわかっていたので、ここで終わりにして、以降は指差し注文で終わった。
パーシャ:Спасибо. ≪パシーバ≫
(ありがとう)
店員:あっ!スパシーバ!
と最後の最後でスパシーバだけは知っていたらしいことが判明し、自分より70cm近く背の低い女の子相手にニヤニヤするパーシャの上がった口角を僕は見逃さなかった。
※手のひらを相手に向けて待ってのハンドサインは、欧米でも基本通じるのだけれど、ギリシャ人にそれをやると欧米の中指を立てるのと同じ意味になるので気をつけた方がいいわよ。日本人が「はい」と挙手をするときのような動作が待っての意味になるわ。この馬鹿なお遊びをしたのが私じゃなくてよかったわね。By エリー。だそうです。
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これらを『無粋な遊び』と評したエリーさんは結局やってくれなかった。
まあ、やったところでロシア語と似たような対応になるだろう。極平凡な日本人の耳を持つ私ではロシア語と同じ注文で、同じ単語しか聞き取れなかった。
こんなバカな事をしていたことからも分かるように、彼らは金持ちだから、頭が良いからと、お高くとまった振る舞いは一切しなかった。
エリーにしても、空いてる時間帯とタイミングを見計らっているとはいえ、これは店に迷惑だ。というだけで、プライドゆえにおふざけそのものが嫌い、というわけではなかった。(三回とも店舗も日付も別である。)
私の人生相談の相手は彼らに変わった。
だいぶ面白話に花を咲かせてしまったが。これが、17歳の年。2013年8~10月頃の話だ。――
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次回!第1部 第2章 第9話
『恋・物語は突然に』 DON'T MISS IT!!!




