ある口喧嘩
「ああもうウゼえな! 死ねよこのノータリン!」
「言ったなこの野郎! お前こそさっさと死ねよ、この骨無しが!」
そんな口喧嘩の声が辺りに響き渡っていた。子ども同士のやり取りのようにも聞こえるが雰囲気は一触即発寸前と言ったほどに険悪そのものである。しかし周りにいる人たちは気に留める様子も、ましてや止めようとする様子もなくそれぞれ自分たちの作業に集中していた。
悪口はどんどん酷くなり、いまにも本当に殺し合いが始まりそうなほどに二人の機嫌は悪くなってくる。そしてどちらともなく叫んだ。
「殺してやる!」
「殺せるならやってくれよ!」
未知の要因によって不死になってしまい、脳がなくても生きている男と骨が全て消えても生きている二人の男は今日もこうして声限りに悪口を叫び合い暇を潰していた。
そんな彼らの周囲では二人の言葉など聞こえないように今日も研究員たちが不死の秘密を解き明かそうと研究に勤しんでいた。
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