15番のサッカー選手最期
あれから、癌治療とも戦って、1ヶ月に1、2回グラウンドに立てるようになった。
無論、プレーはほとんどできないが、座学を教えている。
サッカーは大きく分けて、3種類。
①空間把握能力
②スピード+ボールキープ力
③ドリブル+シュート力
である。
①は昔コーチに言われた事だが、周りをよく見なさいと。
自分の仲間の立ち位置、相手チームの立ち位置がどこにいて、どう動くか。そして、自分はその位置からどう動くか。
②スピードと書くと、短距離走が早い人をイメージされがちだが、ボールをキープしながら走るという意味でのスピードである。
③ドリブルとシュート力だが、ドリブルが上手ければ、自分にとってシュートしやすい立ち位置に、自分を持って行ける。そして、ボールをドリブルする事が上手い人は、シュート力、蹴る時の力の加減や、蹴り方が上手い。
この3つを基礎に、自分がどれが得意なのか、仲間が誰が得意なのか、敵チームがどれを得意として、チーム編成してきているのか、自分なりに考える事を教えてきた。
今の勉強では、苦手な分野。国語、数学、英語があって、国語が100点中20点だったら、50点にあげて30点プラスにすればいい。全体の総得点が変わると考えがちだが、サッカーや、その他の球技では数学が90点なら、そちらを100点にした方がいいと考える。
たった10点しか総合力が上がっていないように見えるが、スポーツの世界では国語50点の選手なんてザラにいる。言い方は悪いが、一般人である。
数学が90点から100点に上がるなら、その人は紛れもなく天才的な個性を持った、望まれる選手である。
今苦手なプレーがあるなら、最低限の基礎さえあれば、残りを全力で、得意なプレーに全力を持っていくように、指導している。
世界で戦っている、選手や監督達は、どの選手の①②③の能力を、得意な組み合わせに応じて、どの選手とマッチングして、どんな相手と相性がいいのかなど、複雑な思考をまとめて、確信が持てない中、チャレンジし、汗を流し、失敗し、掴んで行く。その掴んだ先がプロという世界であり、国という威神であり、世界一という称号なのだと思う。
今いる子供達にはいずれどこかの分野で、自分の苦手ではなく、得意な事を伸ばして、社会でプレーして欲しいと節に願っている。
もう、私も歳だ。癌も患って、長くない。
最後まで走れるように、私の死に場所は、気持ちだけでもピッチに置いて置きたいものだ。
15番のユニフォーム。
悔しくて、いつかこの数字の意味を変えてやると誓った日。
思いは届いたかな!?