1/49
プロローグ
疲れた。あ〜疲れた。ものすごく疲れた。
足が痛い。手も痛い。というか全身が痛い。
語彙力が3歳児並みだが、何かを考えようとすると頭が割れそうに痛むので仕方がない。
だらりと全身を投げ出したまま、浮かぶ先から消えていく泡沫のような思考に身をひたし続ける。
休みたいなあ。
そうだ、思い切り休みたい。
脳みそが溶けるほど休みたい。
目標も計画も評価も存在しない安全な場所で、好きなだけ。
ほんの少しの退屈以外文句のつけようのない、完璧な休みを心ゆくまで満喫するのだ。
目を閉じる。
開ける。
視界は霞んでよく見えない。
あるいは私は既に眠りに落ちていて、これは夢の中なのかもしれない。
私はしばしばこういう夢を見るのだ。
どんなに目を凝らしても、いつまでも焦点が合わず、ぼんやりとした色のかたまりばかりが過ぎてゆく夢。
浅葱色と鴇色のかたまりが、ゆらゆら揺れて私を呼んだ。
よく晴れた日の夕暮れみたいだなあ、などと思いながら、私は落ちていったのだ。
ぷつん。
「あっ、」
——あっ?