【一週間前2】男女で友情は成立するが男漢で愛情も成立するかもしれない
俺、真田雄二には大事な親友がいる。
名前は神楽坂颯士。
レスリング部の主将である俺と、美術部のヒョロガリの颯士とでは一見誰が見ても正反対の人種だ。
だが、中学の頃より体の大きな俺に物怖じもせずに、言いたいことははっきりと言ってくる颯士とは妙に気が合った。
よく『男女の友情は成り立つのか?』なんて議論が起こったりするが、俺は男女でも友情は成り立つと思う。
強い信念、魂を持った者同士の絆なら友情だって深まるし、愛情だって友情の反対言葉ではない。
そう、友情も成り立つし、愛情も成り立つのだ。
それは男女だけではなく、同性で起こっても不思議ではない。
しかしその辺りは、個人の好みと言うか、性癖と言うか、性癖はちょっと違うか?とにかく俺は同性には興味がなかった。
だが、どことなく颯士は俺に対してそんな視線を向けてくることが度々あるように感じる。
疑うとか疑わないとか、そんな表現は使いたくはないが、颯士がそんな気になってもおかしくはないと思う。
俺たちはいつの間にか一緒にいて当たり前の関係になっていたが、そんな関係だからこそ、あんな気持ちになってもおかしくないとも言える。
以前、颯士が妙に熱っぽい、さながら恋する乙女のような紅潮した顔で俺の名前や願望を書き綴っていたことがあった。
後に勘違いと言うことに気付いた…と言うよりは自分をそう納得させていたが、本当に勘違いだったのだろうか。
後々、半分はけん制も兼ねて女の子と海に行く交流会を開いてくれるように颯士にお願いしたが、本人は不参加だった。
きっと、俺が他の女と仲良くなるところを見たくなかった、といったところだろうか。
だが仕方がない。いつまでも叶わぬ恋心を抱いていても颯士自身にもよくないのだ。
「〇×※Δ$ってわけでお前の固いのが欲しいんだよ。」
頭の中で考え事をしていたせいか、前半が良く聞こえなかったが、何やら俺の固いものが欲しいらしい。
「え、お、俺の?」
この真田雄二、ここまで戸惑いを持たされたことは人生においてもほとんどない。
「どうやったら出来るのか知りたくてさ。」
ひぃっ…
男同士ではデキるものはないぞ。何を言っているんだこいつは。
「だから、お前のちょっと触ってみていいか…?」
一歩…部室の壁に後ずさりすると、颯士は俺の横に手をついて逃がさないようにしてくる。
「いいだろう?減るものでもないし。」
颯士の右手がユニフォームをまくり上げ、腹部へと侵入してくる。
「長く時間はかけられないから、抵抗するなよ。」
颯士の手が腹部から下腹部を撫でまわす。
強気な態度とは裏腹に、優しい触り方となかなか本陣まで攻め込まない焦らしっぷりが余計に俺の胸の鼓動を早くした。
焦らし…俺は、何かを期待してしまっているのか?
「雄二、俺のも触ってみてくれよ」
ま、まだお前は俺のを触ってないだろ!?俺の『も』っておかしいだろ!
颯士がシャツをまくり上げる。
上から手を突っ込めと言うのか…。いやしかしそれは、なかなか…
「早くしてくれって。谷川さんきちゃうだろ。」
谷川…彼女が俺にいることは承知の上での行為ってことなのか。
体だけの関係ってことか…?俺と魂の絆で結ばれた友はどこにいってしまったのだ!?
「駄目だ!こんなこと!!俺とお前はそんなんじゃあないだろう!!」
いたたまれなくなって俺は気が付いたら走りだしていた。
俺たちの友情は、体だけの関係に置き換わってしまっていたのか…
宙に輝く光の宝石が目から流れ出ていくのを、遠目で谷川が見ていたのが見えた。
…谷川の目は、何かを期待した目のように見えた。
~fin~
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