【魂なき世界11】実は細山さんは途中までずっと細川さんと書いていて修正が地味に面倒だったりする
「…今、何か能力を使ったにゃ?」
今までの挑発的な態度と打って変わって、綺羅々は慎重に情報収集を始めた。
曲がりなりにも、無能力者とは言え颯士はこれまで多くの戦いを戦い抜いてきた。
それこそ、能力者である綺羅々とて颯士を倒すことは容易ではないだろう。
それが一瞬、たったの一合のやり取りで颯士が気絶してしまった。
不気味な強さが綺羅々に恐怖を与えるには十分であった。
「能力は…使っていない。」
細山は静かに、聞かれたことにだけ答えた。
この細山と言う男は、能力を使えないわけではない。
少なくとも現状で使う必要がないくらい強いのだ。
「やるしかないかにゃ…」
剛との戦いで魂は多少消耗したが、戦うには十分な量が残っている。
折れたアバラは、痛みは感じない。危険ではあるかもしれないが。
「(痛みがないからどれくらいヤバいのかイマイチ分からないにゃ…)」
服の上からさすってみてもイマイチ分からない。
『いや、痛くなくてもさ、死にそうじゃん。早く病院いかないと。』
颯士の声が頭に響くが、首を振って思念を振り払う。
「まぁ、大丈夫と言うことで、にゃ。」
そう呟くや否や、黒い爪を両手から発現し、ナイフでも投げるかのように発射する。
飛ばした爪を追うように綺羅々自身も細山の方に走り始めた。
飛んできた爪を細山が両手の指の間でキャッチする。
「かかったにゃ!!」
綺羅々の算段では、両手を使わせることでガードが緩くなったところに一撃、と言うものだった。
「食らえ、綺羅々っ…!!」
綺羅々の右手が大きくなる…
と言うより、巨大な猫の手が具現化される。
「ぱぁぁんち!!!」
巨大な猫の手が細山へと襲い掛かる。
トンッ…
…が、炸裂する直前に細山が『綺羅々ぱぁぁんち!』の側面を手で軽く触れると『綺羅々ぱぁぁんち!』が爆散する。
「はへ?」
呆気にとられる綺羅々に、細山はそのまま手に持っていた爪を顔面目掛けて投げつけた。
咄嗟に手でガードするが、細山の狙いは
「…悪く思うな。」
鞭のようにしなる腕が綺羅々の右膝に打ち付けられた。
「!?」
急に周りの風景が斜めに傾いた。
そう思った時には右膝が体を支えることを放棄していた。
「!?」
理解が追い付かない綺羅々に、細山が静かに解説をした。
「膝を外した。これでまともに動けない。」
「なん…の…にゃ!!」
両手の指すべてから一気に爪を放出して地面へ突き立てる。
一気に伸びた爪は綺羅々の体を細山へと飛ばす。
綺羅々の体が十分に勢いがついたかと思うと、爪を一気に手から切り離して、吹っ飛ぶ勢いを利用した回転蹴りを放った。
「綺羅々ソバットにゃ!!」
細山の胸部に綺羅々ソバットがモロに入ったように感じたが、意にも介さず綺羅々の足首を掴んだ。
「今度は腕だな。」
バコンッ
またも蛇のようにしなる腕が綺羅々の上腕に打ち付けられる。
そのままの勢いで綺羅々の軽い体が吹っ飛ばされて壁へと打ち付けられた。
「腕だけで済まなかったな。さて、魂をいただくか。」
・
・
・
「しかしこのゾンビ達はいくら倒してもメリットがないわね!」
残り少なくなってきたゾンビに白鷺撃を数発放ち一気に破壊する。
「自我がないからな。仕方ない。」
そういうと谷崎は大あくびをする。
「こら、あくびするな」
灯里が谷崎に一発、白鷺撃を飛ばすと、これまたパシッと翼を掴まれて止められた。
「ほい、お手伝い」
そのまま掴んだ白鷺撃を適当なゾンビに当てるとゾンビが吹っ飛んでいった。
「…その手があったか。」
そう、灯里にはその手があったのだ。
ここまで読んでくださってありがとうございます。
面白かったら「いいね」「ブックマーク」などしていただけたらありがたいです!
今後ともよろしくお願いします!!