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【魂なき世界9】険悪なムードになるのは悪いことの前触れパターンが多い

そういえばすっかり忘れていたが、谷崎はチンピラ集団を纏めているような奴だった。


そもそも最初に私の前に現れた理由が、やられた子分(白チン撃に)の報復、という体だったのを何となく思い出す。


「(思えばあまりヤンキーなイメージはないよなぁ。子分は大事にしているみたいだけど)」


なんとなくそんなことを思っていると、谷崎が作戦概要を伝え始める。


「今、町中に俺のチームの連中を張らせている。異変を見つけたら連絡がくるので、そこへ出向いて叩く。簡単だろ?」


概要を説明する谷崎に、不機嫌そうに颯士が口を開く。


「敵を倒した後は?」


「手間はかかるが1人1人聞き込みを行って、本拠地を見つけ出す。」


「谷崎さんは知らないでしょうけど、あの狡猾な女性(ひと)が使い捨ての兵士に本拠地なんか教えますかね?」


谷崎は少しだけ悩んで、そして笑いながら言った。


「まぁ、本拠地が分からなくても街の平和が守れるならば良いだろう!」


「確かに犠牲者が減ることには賛成だけど…いや、もういいです。続きをどうぞ。」


不機嫌モードの颯士が黙ったところで、谷崎が続ける。


「じゃあ、連絡を待っているだけでなく俺たちも動こう。俺と灯里、颯士クンと綺羅々ちゃんでそれぞれ2手に分かれようか。」


ピクッ…


再び颯士が口を開く。


「いや、なんで谷崎さんと吉村のチームなんですか?俺の方が吉村と一緒に戦うのは慣れていると思うんですが。」


内心、機嫌が悪い颯士にはあまり関わりたくない&イケメン谷崎と仲良くなりたい綺羅々も「そうだそうだ」と言わんばかりの顔をしている。


「そいつは悪かった。だが戦力のバランスを考えてのことなんだ。俺と綺羅々ちゃんは初対面だし、相手のことを良く知らないから息を合わせるなんて出来ないが、灯里とは戦ったこともあるし呼吸のリズムもすぐ分かると思う。颯士クンも綺羅々ちゃんとは戦ったこともあるようだし、多少は戦い方も分かるだろう?」


「じゃあ、谷崎さんと俺、吉村と綺羅々で分けても良いじゃないですか?」


私と組みたいから文句を言った、と言う感じでもない。


颯士と谷崎の組み合わせは今はむしろ犬猿の仲にすらなりそうなのにあえてその選択肢を提示するのもよく分からない。


少し困ったように、谷崎は口を開く。


「そうしたいのは山々なんだが…」


山々ではあるのか。


「無能力者が2人チームでは最悪、敵を倒せない可能性があるからな。」


「…っ!」


これ以上颯士が反論しようにも、屁理屈にしかならない。


谷崎からしたら合理的判断なのだろうが、颯士からしたら認める気になりきれないところもあるのだろう。


「…分かりました。ではさっさと敵を探しましょう。」


颯士はグイッ、と綺羅々の腕を掴んでこちらとは反対方向に歩き出した。


綺羅々は少し泣きそうになりながらこちらに助けを求めていたが段々と距離が開いていくのを手を振って見守ってあげた。


「さて、こっちも行くか!」


谷崎は明るくそう言うが、なんとなく颯士に対して後ろめたい気持ちがあった。



~灯里&谷崎チーム~


明るい声で出発したものの、浮かない顔で歩く灯里に、谷崎は少しだけ話しかけづらかった。


谷崎とて颯士の機嫌が悪いことは分かっていたが、目の前の目的のために多少は割り切らないといけない場面でもある。


頬をポリポリと掻きながら谷崎が言葉を選びながら灯里に話しかけた。


「あー…。灯里は颯士クンとは昔から知り合いなの?」


当たり障りのない会話を投げてみる。


「え、あ、うん、そうそう、小学校が一緒で。」


話しかけられて、ハッとしたように灯里が反応する。


「じゃあ結構長い付き合いなんだ。幼馴染みたいな?」


「いやいや、それが中高は割と疎遠で。付き合いが復活したのもここ何か月かなのよね~。」


なんて、ゆる~い会話をピクニックのように進めながら敢えて人気のない路地裏に入ってみる。


「じゃあ、綺羅々ちゃんは?」


話題も他になく、交友関係を根掘り葉掘り聞く形になってしまうのは何とも興味津々っぽく映ってしまうが、実際はそこまで興味はない。


「あの子はさー、なんだか変な集団の教祖みたいなことやっててさ、そこを潰した時に戦ったのよ~」


路地裏に置いてあったビールケースに座り込みながら灯里が語ると、つられてそのまま隣のビールケースに谷崎も座る。


「あ、もしかして春葬会(しゅんそうかい)壊滅事件?」


「春葬会知ってるんだ!そうそう、それそれ!」


「綺羅々ちゃん、あそこの教祖だったのか!やっぱりちょっとサイコな子なの?」


「最近は普通になってきたけどねぇ、初めて会った頃は平然と人を殺しかねない勢いだったよ。」


「へぇ~、あんなににゃんにゃん言いながら殺しに来られたらちょっとした恐怖かもなぁ。」


「あの子、痛みを感じない体質だからこっちの攻撃が全然聞いている感じがしなくてさ、あの時は確かに恐怖を感じたね。」


本人のいないところでは結構好き放題言っている2人であったが、灯里は今頃になって大変なことを思い出した。


「あ、やばっ…あの子、アバラ折れているんだった…」


「…マジ?」


ここまで読んでくださってありがとうございます。


面白かったら「いいね」「ブックマーク」などしていただけたらありがたいです!


今後ともよろしくお願いします!!

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