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【テスト勉強編後編】暗記科目は覚えるまで繰り返せば覚えられます。出来ないのはやってないだけです。

ことごとく作戦が失敗し、颯士と灯里はかなり追い詰められていた。


二人とも気が動転しており、ついには禁断の手に乗り出す。


「そうだ、能力、能力使おう…」


目が据わった灯里が言う。


「カンペじゃないし、自分の体から出た分泌物にたまたま答えに似たような模様が浮き出てもカンニングじゃないしブツブツ…」


能力を使えない颯士も便乗する。


「それじゃあすぐに能力に写し出す練習しなきゃね…よぉく見てイメージできるようにしないと…」


万が一にも覚えるところを人に見られてはいけない。


「うちでやろうか…」


颯士はそう声をかけた。


テストまであと3日、颯士と灯里は学校が終わるや否や猛ダッシュで家へと向かった。



1日目


「おい!このあたりにツチノコがいたらしいぞ!捕まえれば100万円だぞ!」


そんな声が近くで聞こえてきた気がするが、それどころではない。一刻も早くカンペの具現化をマスターせねば。

何か変な蛇が飛びかかってきたけど構わず鷲で叩き落としといた。


颯士の家につくと二人はとにかくカンペ作成のための知識を詰め込んだ。


颯士は内容や公式の読み上げ係、灯里はそれを聞いてカンペを実体化するためにイメージを繰り返した。



2日目


「そこのお嬢ちゃん、凄い才能のエネルギーを感じるね。わしに習わんかね?」


中国人風おじいさんに話しかけられた。


「おい、あれは中国拳法の父、珍老師じゃないか!?」

「あのよっぽど才能を見込んだものしか弟子に取らない珍老師か!?」

「聞く話によると100億円積まれても教えるのを断ったらしい!」

周りのギャラリーが色々言っているが聞いている余裕はない。


「テスト勉強で忙しいので」


そう断って急いで颯士の家に向かった。


「メネラウスメネラウスメネラウス…」


颯士がブツブツ読み上げるのを聞き、具現化のイメージを高めた。カンペを完璧にイメージするためにひたすら繰り返した。



3日目


「魔道執事の声優で有名な山村祐一郎がいるぞ!」

「今ならなんでも好きな台詞を言ってくれるらしい!!」

「しかも録音可!」


ギャラリーが何か興奮しているようだが聞いている暇はない。


「この時ドップラー効果が云々…」




なんとか、なんとか詰め込んだ。


そうしてついに、テスト当日。



「能力を使って…あれ?」


何故だろう、能力使うまでもなく割と解けてしまう…


それは颯士も同様だったようで、


「あれ?これ知ってる…これも…」


と、結構解ける問題が多かったようである。



その時の様子を二人は語る。


Q.颯士さん・灯里さんはなんでもテスト勉強をロクにしなかったのに点数がとれたと聞きましたが?


「えぇ、そうなんです、天啓って言うんですかね?テストの問題を見たら知っていることが沢山あったんですよ。」


ハハッ、と小粋な感じで笑う颯士。



Q.テスト前はどんなことを?


「ひたすら技を磨いていましたね。いえいえ、格闘技とかではないですよ。あの時は如何にテストに能力を使うかばかり考えていましたね」


そう言いながら『やれやれ…』のジェスチャーをして会場にドッ、と笑いを巻き起こす。


Q.テスト勉強に大事なことは何だと思いますか?


「「早めの反復練習です」」





そもそも、少し冷静になればすぐ分かりそうなものだ。


能力は頭の中でイメージしたものしか出せない。


覚えていないものしか出せない。


覚えたならば、わざわざ具現化する必要もない。


気が動転して、ひたすら二人で暗記していたようなものである。


小学生でも分かる理屈を、とにかく能力に頼ろうとしすぎた結果、思い付きもしなかったのである。


運よくと言うか結果オーライと言うか、カンペをつくったら内容を覚えてしまったパターンのように、丸暗記が効をなしていたのである。


結果として二人とも、暗記系科目はほぼ満点、理数系は公式を丸暗記しても解けない応用問題で落としたものの総点では普段よりもむしろ、やや順位が上がるという結果に至った。


かくして、灯里はスマホを禁止されずに済み、ホッとする次第であった。



それにしても、能力がなくても灯里の成績を優先した颯士。


その意図は本人にしか分からないのであった。

ここまで読んでくださってありがとうございます。


面白かったら「いいね」「ブックマーク」などしていただけたらありがたいです!


今後ともよろしくお願いします!!

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