ヤンキー漫画の抗争で決着をつける時はいつもタイマン
巨大ロボ、アカリオン・テリオスが空中で霧散し、颯士と灯里は空中へ放りだされた。
灯里は咄嗟にスカートを抑えるが、空中では自由に動けない。
抗えないまま、一瞬先に地面に落ちていた颯士の上に内股の格好で落ちてしまった。
ドンッ!
颯士の後頭部に衝撃が走る。
その後、ふわりと視界が暗くなった。
颯士の後頭部に座る形で降りた灯里。
スカートがすっぽりと颯士の頭を包み込む。
「見えん…重い…」
颯士が太ももとお尻の重圧に苦しんでいる中、灯里は羞恥心で頭の中が真っ白になる。
颯士は起き上がろうとするが、起き上がられるとスカートがめくれそうになるので、灯里は咄嗟に上から押さえ付ける。
思わず太ももにも力が入り、ギュッと顔を挟み込んでしまう。
うらやま苦しい状態になった颯士が何とか太ももをこじ開ける。
が、今度は太ももを鷲掴みにされて灯里の心のリミットが振りきれた。
「スケベ!!死ね!!!」
ボコボコに颯士を殴りに殴った。
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律儀にこの騒動が落ち着くまで待っていてくれた堕悪帝国の方々は、言うほどダークではないのかもしれない、名前はすさまじくダサいけど。と錯覚してしまうほどには時間が経っていたが、いよいよ決着の時が近づく。
堕悪帝国の1人がヘルメットを外しながら近寄ってくる。
くすんだ金髪、いかにも悪そうだ。
「てめぇら、何モンだ?妙なトリック使いやがって。タダで済むと思うなよ?」
凄んでくる金髪。
「すでにそっちの方がタダで済んでないんだけど?」
灯里も煽り返す。
「ふぉーばふぉーば!(そーだそーだ)」
…
颯士も便乗して煽るが顔がパンパンに腫れてしっかり喋れない。
「そいつの方がタダで済んでないんだが…」
金髪がちょっと引きながら言う。
「くっ、喧嘩は弱い颯士になんて酷いことを…!」
灯里は責任を擦り付けた。
「にーちゃん、こんな扱いでいいの?」
金髪もさすがに同情する。
「いいんれふ、なれへまふかは(いいんです、なれてますから)」
健気な颯士に極悪非道な堕悪帝国もさすがにホロリとくる。
こうなると灯里もバツが悪い。
「と、とにかく決着つけるわよ!あんたがボス?特別にタイマンでやってやるわよ!」
金髪「(あ、誤魔化した)」
颯士「(あ、誤魔化した)」
雑兵「(あ、誤魔化した)」
綺羅々「(退屈だから帰ろうかニャ)」
「早くしなさいよ!」
灯里だけがやる気満々だ。
「小娘1人がイキがるなよ」
金髪は上着を脱ぎ、後ろの雑兵に渡す。
タンクトップ姿になった金髪の筋肉は思いの外鍛え上げられている。
「サトルくん、この女、妖術使いですよ!?大丈夫ですか!?」
妖術て。ここだけ江戸時代か。とツッコミたくなる灯里。
「負けねぇよ、あんなトリックに」
灯里は
(いや、いくらなんでもアカリオン・プレッシャーマグナムをまともに食らうと負けると思うけど…)
と内心思ったが
(もう打てないけどね)
と、自分で補足した。
アカリオン・テリオスで結構なエネルギーを使ったため、もう大技を打てるほどのエネルギーはない。
タイマンを誘ったのも、残り全員と戦うエネルギーがないが故のブラフであった。
「タイマンで大技使うほど野暮じゃないわよ」
灯里はニヤリと笑いハッタリを上乗せした。
「それじゃ、行くわよ」
灯里は金髪…サトルへと意識を集中し始めた。
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