制服狩り編5 有事の際にその人の内面が見えるのは世の理
綺羅々様の放ったトゲの花は確実に人を殺せるくらいの殺意がこもっていた。
生身だったら確実に死んでいただろう。
生身だったら。
大きく外してしまった白龍撃がドリルのようなトゲを削っていたこと。
そして、颯士に貰ったプロテクターが致命傷を防いでくれていたお陰で死なずに済んだ。
颯士に助けられたな…
ぼんやりと頭の中でそんなことを考えながらも、トゲがぶつかった衝撃自体は相当なものであったことと、エネルギーを使いきったことで立ち上がれずにいた。
「死んじゃったかにゃ~?」
綺羅々様は相変わらずニヤニヤしてこちらを眺めている。
今、追い討ちをかけられたら今度こそ死んでしまうかもしれない。
だが、動こうとする気配も、爪やトゲを出す気配もない。
わざと遊んでいるのか、死んだと勘違いしたのか。
いずれにしても助かる、と言うのが正直な気持ちだ。
ものを作り出すエネルギーは、出したエネルギーを回収するか、ぐっすり寝るか、このいずれかで回復する。
白龍は回収出来ず、こんなところで寝るなんてリスキーなこともできない。
これ以上の能力の使用は望めないだろう。
単純な体力はどうだろう。
先程の攻撃で胸に受けた衝撃は呼吸困難になるほどのものであったし、疲労もピークに達していたが、もう少し休めば動けるかもしれない。
少しずつ呼吸も回復してきている。
あとはどうやってこのピンチを切り抜けるか。
…切り抜けられるのかなぁ?
綺羅々様も倒す手もないし、信者たちも大勢いる。
私は能力がなければただの可愛い女の子だし、多勢に無勢と言うものだ。
うーん、詰んでるなぁ、悔しいなぁ。
ごめんなさいしたら許してくれるかなぁ、あっちに謝らせたかったのになぁ。
颯士ごめん、まだ犯人すら見つかっていないのに…
認めたくない。
認めたくないけれど…
どうしようもないよね…
だって綺羅々様、何故か不死身だしエネルギーも底が見えないんだもの。
逆に清々するよ、敵わない相手だったって。
清々してるんだって。
なんだか、視界が滲んできた。
仕方ないって思ってるはずなのに滲んで滲んで仕方がない。
多分、殺されちゃうんだろうなぁ。
最後に
颯士の顔見たかったな…
・
・
・
「吉村、大丈夫か?」
颯士の声が聞こえる。
ぼんやりと滲んだ視界にも颯士が写っている。
また具現化しちゃったかな。
声も具現化できるとは。
「何寝ぼけたこと言ってんだ」
うるさいなぁ、あんたのために戦ってこうなったんだから
「それは悪かった、とりあえずこの場をどうにかしよう」
「だから、お前が泣くな」
滲んでいた視界が指で拭き取られた。
本物の颯士がそこにはいた。
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