制服狩り編4 焦ってことを進めようとすると後でしっぺ返しがきてしまいがち
信者たちは大いに盛り上がっていた。
「綺羅々様の奇跡の力だ!」
「神の力を見せつけてください!」
調子に乗ったように綺羅々様も言う。
「謝ってももう遅いにゃぁ」
槍投げでもするかのように腕を振ると、具現化した巨大な爪が弧を描いて飛んでくる。
咄嗟に横へ跳び、避けたものの、爪はコンクリートの床に突き刺さっている。
躊躇なく殺しに来ている…!!!
「ほれほれ」
猫がじゃれるように両手を振り、巨大な爪を連発する。
躱せないスピードではないが、当たると致命傷となることが容易に想像でき、緊張感から必要以上に大きく避けてしまう。
それは体力の消耗を早めることに繋がった。
ここにくるまでに既に何戦か行ってしまっていたこと、尾行や移動にもエネルギーを使っていたこと、この戦いでも既に何回も能力を使っていたことから、残されたエネルギーも決して多くはない。
エネルギー切れは最悪、立つことすら儘ならなくなる。
そう考えている間にも絶え間なく爪は飛んでくる。
躱しながらジリジリと追い詰められていき、ついには壁に背がぶつかってしまうほど追い詰められた。
「もう逃げ場はないにゃぁ~」
ニタァ…と口角があがる綺羅々様の悪魔の笑みに呼応するかのように、今までで最大の大きさの爪が具現化されていく。
刺さらなくても下敷きになるだけで十分致命傷になる大きさ。
決心するしかない。もう後ろに下がれないのならば…
静かに集中する。
どうせ相手も能力を使いまくっているんだ。今さらこっちの能力を見られても大事にはなるまい。なってもいいや、今ヤバいし。
相手は痛みを感じていないのか、痛みが本当に好きなのか、攻撃が効いているのかいないのか全然分からない。
ならば、有無を言わさずダウンさせる威力を叩き込むしかない。
龍のイメージだ。あれから練習して絵を見なくてもイメージできるようになった。
だが一発で決めないと。
外したら後がない。
「いっくにゃぁ~」
極大の爪が放り投げられるが、それを加速してくぐり抜ける。
勝算はあった。
あれだけ巨大な爪を何本も出して、あっちもエネルギーが限界に近いのではないか。
相手は一度も回収していない。むしろ回収の存在を知らない可能性すらある。
ならばこの極大爪さえ凌げばしばらくは何も出せない…はず。
かわした爪が地面を破壊する音が背後でしたが、振り返る余裕もなく綺羅々様だけを見据えてダッシュをした。
「白龍…」
腰に構えた両手を前に突きだそうとした時であった。
「甘々だにゃぁ…」
綺羅々様の周り、全方位に向かって噴出するように巨大なトゲの花が咲いた。
「悪夢の花…にゃ」
出しかけていた龍は目標を大きく逸れて天井を貫き、トゲの花は容赦なく灯里を襲った。
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