家の中
ハンネが食器を洗ってる時、俺は部屋の掃除をした。窓の外を見ると、白い鳥と黒い鳥が一羽の鳥の周りをぐるぐる飛んでいた。囲まれている鳥はどこかに飛び立つと、残りの2羽は追いかけて行った。
妻と列車に乗り、トルコやアゼルバイジャン、ジョージアなどを旅行した。トルコやコーカサスの国々はまた東ヨーロッパと違う雰囲気だった。トビリシのレストランでワインを片手にハンネは話す。
「この国はワインも水も美味しいわね。」
「そうだろ。ジョージアワイン、俺の好みだな。」
「そう言えば、ホテルに戻ったらあの話の続き聞かせてくれる?」
「良いよ。」
ハンネは少し微笑みながら、ホテルに戻った。
「何だかんだ続きが楽しみなんだな。「ちょうど2年前、この惑星のほとんどの人は俺のいた惑星のようにほとんどの人が違う惑星に移動した。ある一人の女性の言った惑星が全部沈没すると言う予言を全員信じて、ほとんどの人が他の惑星に大移動した。中には陰謀論だと反対する人も多くいたが、彼らも強制的に宇宙船に押し込まれて、一緒に遠い星へ行ってしまった。結構の所、俺の惑星のように何も起こらなかった。
「エヴァは何で行かなかったんだ?」
「あんな予言、嘘に決まってるじゃないの。予言なんて誰かが適当に言ってるものよ。未来に何が起こってるなんて誰も分かりやしないの。」
横を向いて話していた。
「君の家族は?」
「私は旦那と小さな娘がいたわ。でも信者達に捕まって一緒に宇宙船に乗って、遠くに行ってしまったわ。」
「信者?」
「予言を信じ込んでる人達よ。予言なんてあったら、何でもかんでも人生上手くいってるわ。」
エヴァは歯を磨いてベッドに寝た。ちょうどドアが空いてたので彼女が寝ている姿が見えた。ベッドからはみ出す彼女の足がよく見えた。とても美しい足だ。俺はとっさに遠くから手をかざした。
「何してんの?ここは私の部屋よ。あんたの部屋はあっちよ。」
エヴァは俺のことを追い払って、ドアを閉めた。鍵がかかる音が響く。
俺はシュテファンと同じ部屋で寝た。
「カレルは本当のお兄ちゃんみたい。」
「お兄ちゃんいたのか?」
「いたけど、突然いなくなったの。きっとお兄ちゃんは遠くに行っちゃったんだ。」
「また会えると良いな。今日は遅いからもう寝ろよ。騒ぐとエヴァに怒られるからな。」
あの惑星に住み始めて1週間がたった。白い家に行っても中々イレナが出てくることは無かった。
ある日、シュテファンがご飯をイレナに持って行きに行ってるので、後ろについて行った。
「何でついてくるの?」
「俺もあの家にようがあるんだ。」
シュテファンがドアを開けた勢いで俺も一緒に白い家の中に入った。白い家は中の床、天井、壁も全て白く、彼女が使っているものも、着ている服も全て白かった。白い服は彼女の細くてしなやかな体によく合う。彼女の良さをより引き立てている。スカートから出る足も細くてきれい。彼女の足が目に入る。
「入ってこないで。今すぐ出ていってよ。あなたは呼んだつもりないのに。」
俺に向い物を投げた。
「心に鍵をかけないでくれ。俺がここに入るまで君に何かしたか?何もしてないだろ。」
「シュテファンもご飯もらったから出ていって。」
「3人で話そうよ。」
「自分でご飯は作ったことあるのか?」
「それは…」
「ないだろ?今までシュテファン達が用意してくれてたんだ。」
「あなた名前は?」
「俺はカレル。君が覚えてくれるまで、ずっと言い続けるよ。」
「私はイレナよ。外は危険だから私はずっと中にいるの。私は怖くて外に出れないの。話すならここで話しましょう。」
「こんな所にずっと引きこもっている方が危険だ。健康に良くない。」
彼女は相当なトラウマがあって外に出れないのだろうか?
「外に出てみたら、楽しいことばかりだ。」
「行かないと言ったら、行かない。」
「分かったよ。」
彼女の瞳はどこか悲しそうだった。彼女はご飯を食べ終わり、髪をとかす。
「一度、君が仮面を外した所を見たい。」
「それは出来ない。」
「君をもっと知りたいんだ。」
「出来ない。」
彼女は仮面を取るのを頑なに断った。仮面を取った時の顔を見たい。彼女の全てを知りたい。不思議と彼女を見ると、好奇心がわいてくる。
「もし恥ずかしいなら、俺といるときだけでも良い。いつか外した姿を見たいな。」
「私の仮面の下は誰にも見せられないの。これ以上干渉して来ないで。私と仮面は一心同体なの。」
彼女は奇妙なことを言う。
「シュテファンだけじゃ大変だから、今度からはあなたにもご飯を持ってきてもらうわ。」
「もちろん。」
彼女のお願いを快く受け入れた。彼女はまるでお姫様のようだ。
「一緒に外に出たいならいつでも言えよな。」
そんな一言を言って、家を出た。エヴァの所に戻ると、彼女はアクセサリーを作っていた。
「おかえり。遅いじゃない。どこに行ってたの?」
「近くのお城を探索してたら遅くなった。」
「外が暗いと危ないのよ。シュテファンに何かあったら遅いわ。」
「確かに電気とか無いところだけど、そもそも人自体がいないから、犯罪も何もないだろ。」
「そうだけど。狼とかが出ることだってあるのよ。」
今日のエヴァはいつもより心配性だった。
「分かったから、もう休んで。シュテファンと掃除とかしとくからさ。」
真夜中になるとエヴァの部屋に入り、街のことについて調べたり、勝手に日記を読んだ。文字が殴り書きで読みにくいところだらけだった。そして読むのをやめた。部屋に戻ると、シュテファンが寝ていた。寝てるシュテファンを彼の部屋まで運んで寝かした。机に粘土細工が置いてあった。人の形をした2つの粘土が並んでいた。顔を見ると笑っていた。白い家と黒い家のオブジェが横に並んでいた。その後、彼に布団をかけてそのまま眠りについた。」」
「カレルは好奇心旺盛な男の子ね。エヴァみたいな年上すぎる女性にも興味あるのね。」
「カレルがただそう言うふうに思っただけで、まだ何も始まってない。」
「部屋に入るというのは興味あるのよ。」
「とにかく、この作品の作者を探し出さないとな。」
「手がかりは見つかったの?」
「まだ何もない。」
外を見るとかすかな光が目に入った。




