再会
ハンガリーはブダペストやケストヘイに行った。チェコのように見応えあるエリアが多かった。数日後プラハの別荘に戻った。
「ああ、疲れたわ。色んな所まわったもんだから。」
「マッサージしてあげる。」
「ケヴィン、ありがとう。」
マッサージをしてるうちにハンネは寝てしまった。彼女にそっと布団をかけて、外に出た。外は暗かった。次書く小説を考えていた。アイデアはたくさんあるものの、書きたいと思えるものがない。
「ちょっと、そこの君。パスポートを見せてくれないか。」
一人の警官が声をかける。
「何もないです。話があるなら交番で話しませんか?」
そう言うと警官はすぐにいなくなった。
家に帰って、すぐに布団に入った。
朝起きるとハンネはいなかった。今度はチェスキークルムロフに行った。ハンガリー旅行したのに中々元気なやつだ。俺はまた小旅行しにトラムに乗った。奥の席に誰も座ってなかったので、空いてる席に座ろうとした。そしたらまた座席に数枚の紙が置かれていた。そこには前に拾った物語の続きが描かれていた。
「また何でこんなものが?」
そんなことを言いながら自分のカバンの中に入れた。
夜になって家に戻るとハンネがいた。
「おかえり。」
「ただいま。ハンガリー行った次の日に小旅行って元気だな。」
「あなたもね。」
「そう言えば、また拾ったんだよ。」
「何を?」
「小説の原稿を。」
「2回も大事な原稿をトラムに忘れるなんて、ドジな小説家ね。」
「これは偶然だと思う?」
「誰にでも忘れ物の一つくらいあるわ。やっぱりちゃんと届けてあげた方が良いよ。」
「見つけ出すって言ってるだろ。」
「そう。」
そう言って、彼女は部屋を掃除した。
「新しい小説は出来そうなの?」
「まだ構想段階だ。まだペンを動かすには早すぎる。」
また外に出て考え事をした。プラハを舞台に小説を書こうと思った。このヴァカンスでサスペンスやブラックコメディーなどアイデアは出て、全体的な構成はハッキリしてるが、何故か書こうとは思わなかった。理由がないが今書くものではない。そんなことを考えているうちに車にひかれそうになった。
「おい、どこ見てんだ!死にてーのか、このクズ!」
車から罵声が聞こえた。
「そっちも飛ばしすぎなんだよ。」
「何だと?もういっぺん言ってみろ!」
そんな車を無視して別荘に帰った。気がついたらカバンから小説の一節の紙を持っていた。
「続き読むか。「起き上がるとシュテファンと30代くらいの女性が視界に入る。
「やっと起きたわ。私の家でご飯を食べて。」
そう言われながら、家について行った。そしてテーブルで向き合いながら、朝食を食べた。
「私、エヴァって言うの。君、ここじゃ見ない顔ね。何ていうの?」
「カレルだ。信じてもらえないけど、他の惑星から来たんだ。」
エヴァの足が俺の足にぶつかる。
「宇宙人なのね。君、高校生?」
「ちょっと前までそうだった。こっちの惑星でも高校あるんだね。」
「今はもうないわ。」
「シュテファンは君の息子?」
「違うわ。彼は生まれてからすぐに両親が離婚して、母親は不慮の事故で水没して亡くなったの。私が代わりに面倒見てるわ。この話はシュテファンの前では内緒よ。あとよく白い家と私の所を行き来してるわ。」
「白い家の仮面つけた女の子は誰なの?」
エヴァは真顔で何も答えない。
「もう食べ終わったなら、洗い物手伝って。それが終ったら、すぐ出ていって。」
「あの女の子は誰なんだ?」
「あの子のことは興味ないわ。無駄話は終わりよ。早く洗い物して。」
エヴァは不機嫌な感じだった。
「聞いてるだけだ。怒らないで。」
洗い物を洗い終わるとすぐに彼女の家を出た。その後、街の色んな所をシュテファンに案内してもらった。
「シュテファン、今何歳だ?」
「9歳。」
「そうか。まだ子供だな。」
「子供扱いしないで、カレル。」
彼は早く大人になりたがっている感じだった。
「俺は18歳なんだ。最近、大人になったばかり。」
そんなこと言って笑いながら、彼の頭を撫でた。
「ここの湖とてもキレイなんだ。水がキレイだから魚もたくさんいるんだ。」
シュテファンは適当な釣り竿を持ってきた。
「お兄ちゃん、全然釣れてないね。」
「うるさい。久しぶりだからしょうがないだろ。」
「本当は出来ないんでしょ。」
シュテファンは俺と違いたくさん魚を釣った。悔しいが、釣りが上手な奴だ。
「何か重い。」
彼はどんどん湖の方に引き込まれる。
「釣り竿を離せ。危ないぞ。」
言うことを聞かない彼はすごい勢いで引っ張られて溺れていた。そんな彼を引っ張って陸に救い出した。
「お前、死にたいのか!!」
彼の両肩に手を置いた。
「だってすごい大きな魚釣れそうだったんだもん。僕は釣りが上手いから。」
「油断するな。ここで死んだ人だっているんだからな。」
「お兄ちゃん、ここに住んだことないのに何で知ってるの?」
「何でもない。それよりもう別の所案内してくれ。」
今度は誰もいない倉庫や美術館に行った。その後一緒に野菜とさっき釣った魚を焼いて食べた。余った魚や野菜を皿に持ってシュテファンはどこかに行こうとした。
「どこ行くんだ?」
「カレル、ここで待ってて。すぐ戻るから。」
そのまま行ってしまった。
ご飯を食べ終わり、森にある白い家に行った。窓が閉まっていたのでノックをした。あの同年代くらいの女の子は椅子に座っていた。
「ここを開けて。」
彼女は少しにらんでこっちを見て、開けた。
「今度は何?」
「君の名前を聞きに来たんだ。」
彼女はすぐに窓を閉めた。しばらくするとシュテファンが来て、白い家の鍵を開けて入った。
「シュテファン閉めて!」
「シュテファン開けろ!」
俺と彼女の声が重なり合う。家の中で、彼女の声とシュテファンの声が聞こえる。
「カレルは悪いやつじゃないんだ?お兄ちゃんをここに入れて。」
「無理だわ。」
しょうがなくシュテファンは窓を開けた。
「彼女の名前は?」
「イレナ。」
白い家から出ない彼女に毎回シュテファンはご飯を持ってきている。
「俺はカレルだ。今度一緒にお出かけしようよ。こんな所にずっといると体壊すよ。じゃあな。」
俺はそのまま去っていく。エヴァの家に行くとシュテファンはご飯を食べてすぐ眠りについた。
「どこに行ってたの?」
「白い家だよ。彼女に会いに行ったよ。」
「悪いことは言わないけど、あの家はあなたの来るところじゃないわ。シュテファンはずっとあそこに行き来してるけど、毎日行くなと言ってるのに言うこと聞かないの。」
「彼女、顔を隠してるだけで悪い子じゃないよ。」
「とにかく、あそこはあなたのいる所じゃないわ。」
エヴァは俺に軽く抱きついた。
「ここの街、人が少ないけど、どうしたの?」
「皆、遠いところに移動したの。」
詳しく彼女は街や惑星の事情を説明した。」あれ?まだ終わってないのに寝ちゃったよ。」
ハンネは先に寝たので、物語を読むのをやめて、電気を消した。




