推理
国立劇場に寄って、オペラを見ていた。綺麗な歌声がホール中に響き渡る。体で音を感じる。
「歌声が美しかったわ。全体から響かせてる感じね。どんなもの食べたらあんな歌声出るのかしら?」
「プロだからな。才能なきゃあんな所たてない。努力だけじゃどうしようもない。」
オペラを見終わって、夜景な綺麗なレストランでご飯を食べた。
別荘につくと、ハンネはすぐ本を手にとった。
「これ、近くの本屋で買った本よ。」
「チェコ語は読めるのか?」
「読めないわ。だけどここに今日起きたことを書いてチェコにいた記録を残しておきたいの。」
「後で書いたの見せて。」
本の見開きはハンネの書いた文字でいっぱいだった。所々文字が重なっていて読みにくかった。文字を残すのは生きてる証を残すことでもある。自伝小説も自分が存在したことを死んでも分かって欲しいのだろう。死んでも自分の話をして欲しいのだろう。会いもしない未来の人に。
ハンネと一緒にベッドに入った。ハンネの頭に優しくキスをした。
「この前拾った小説読んでくれる?」
「いいよ。続きはどこだ?あった。「誰もいないので欲しいと思うものはいつでも自分のものに出来た。ゲームもたくさんし放題だし、気になる服でいつでもカッコつけられた。警察官の服を着たり、ドクターの服を着たり、パイロットの制服、色んな服を着てはカッコつけて写真を撮った。映画の主人公と同じ服を着ては鍛えた体を写真におさめた。もちろんジムにも行きたい放題だ。それだけじゃなく、大人のおもちゃを使って色んな想像したり、R18のビデオも見放題だ。今、18歳だ。しかしどんなに物や富にあふれていても、それらが俺の心を満たすかと言うと満たしてはくれない。誰にも相手にされなくて寂しい。
「誰か一人でもこの惑星に帰還してくれれば。誰も来ないか。」
そんなことを言って俺は暇をもてあそんでいた。つまらなそうに一人で空を眺めながら歩いた。惑星全体封鎖されていて、もう青い空を見ることは出来なかった。最初は見えなかったガードが空を隠すものになってしまった。しばらく歩いているとガードの一部が破けている所を見つけた。高層ビルの最上階まで行った。
「クソっ!こんなにも高いのに、全然届かない。」
ロープを見つけて破けている所に引っ掛けようとしたが、勢いでロープを遠くに落としてしまった。
「ちくしょう。また駄目かよ。」
今度は宇宙船に乗った。色々適当に操作したが、誤操作が多くて船内の一部が爆発してしまった。
「何だこれ?変なところ押した。」
そのまま急いで宇宙船から出た。今度は宇宙船ごと爆発した。幸い俺は何も怪我を負わなかった。
「クソッ!宇宙船壊れちまったじゃないか。ん?何だこれ?」
目の前に2つの羽が見つかった。すかさずそれを手にとった。
「何だこの羽?誰かここでコスプレでもしていたのか?」
訳も分からず、羽を背中につけると徐々に体が宙に浮いた。少し動くと高い所も飛べた。この調子でガードが破けている所を見つけて惑星の外を出た。」」
「よくある話ね。でも嫌いじゃないわ。惑星からの脱出を望んでる感じより、孤独からの脱出を望んでいるようね。」
ハンネが俺のことを見ながら、小説について話す。
「まだこの話続いてるよ。「外に出ると、太陽の光が色んな惑星を照らしていた。特殊な羽のおかげで俺は宇宙空間の圧力にも耐えられたし、酸素が無くても大丈夫だった。隣の惑星には植物だけが生えていて、動物や人間、虫などはいなかった。まるで宇宙植物園のようだ。また少し先の所にある惑星は倒壊してる建物ばかりで誰も住んでいなかった。所々火が燃えているのが見える。よく見ると人や動物の骨が転がっていて、煙が酷かった。あの惑星で何が繰り広げられていたのか全く分からなかった。焦げ臭い臭いが惑星中に広がっていた。
色んな惑星で探索をした。その後、緑豊かな惑星に行った。動物とか虫もいて、とても空気が澄んでいた。しばらく歩いていくと、教会らしき建物や誰もいないお店がたくさんあった。また歩くと緑が広がる。すると何か白い建物が見えた。どんどん近づいていくと、小さな男の子が猫を抱いて走っていた。
「ねえ、君はずっとここで暮らしてるのか?何もしないから答えて。」
男の子はおびえて、街に方に向かって走って行った。
「待って!クソッ!何もしてねーのに、逃げられた。」
しばらく歩いてると、目の前に白い家が建っていた。窓際には俺と同年代くらいの女の子が後ろを向いていた。彼女は赤毛で、色白でとても美しい女の子だった。窓際まで来た。彼女は俺が後ろにいるのに気がついていない。窓をノックすると彼女は振り向いた。彼女は仮面をつけていた。ゆっくりと窓が開く。
「あなたどなた?」
たまたま彼女も俺と同じ言葉を話す。
「違う惑星からたまたま来たんだ。ここはとても空気が澄んでいる。俺がいた惑星とは大違いだな。見たことない種類の生き物もいるし、絶滅した動物もいる。ただゲームとかなくて面白みにかけるな。」
「私の星がそんなにつまらないのかしら?」
「別にそんなんじゃない。それに俺は何もしない。」
彼女は俺に警戒していた。
「この星も良いことばかりじゃないわ。」
「それより、君はなんて言うの?」
「答えるわけないわ。早くここから出ていって。」
「名前を聞いただけだ。心を閉ざさないで。」
彼女は勢いよく窓を閉めた。
「ここを開けろよ!」
窓を叩いたが、何も反応しなかった。せっかく見つけた女の子と仲良くなろうと思ったが、失敗した。街に戻ると、さっきの男の子が猫を抱いて走っていた。
「ねえ、君何て言うの?」
「シュテファン。お兄さんは?」
「カレルだ。」
「よろしく、カレル。」
シュテファンは猫を抱えたまま白い家の方に戻った。俺は気がついたら路上で寝ていた。」まだ続きありそうだけどここで終わりだ。」
「さっそく可愛いヒロイン登場ね。女の子口説くのも失敗したのね。どんな子なのかしらね。」
「そうだな。それにしても名前だけチェコ語表記だな。」
「作者はチェコで小説家してるのね。大事な原稿を落としたんだわ。今すぐ返しましょう。」
「しばらく俺が保管する。」
「今、困ってるかもしれないのよ。小説家なら原稿無くなる焦りとか分かるでしょ?」
「確かにそうだが、名前が無ければ何も出来ない。しばらく俺が持って持ち主を見つけ出す。」
「呆れた。あなた一人で半年で見つかる保証もないのに。とにかく明日ハンガリー行くから、もう寝るよ。」
俺達はそのまま寝て、次の日ハンガリーに行って、宿泊した。




