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プラハのトラムで  作者: ピタピタ子
10/15

関係

いつも相変わらず夜の時間に原稿を読み上げていた。

「続きはここからだな。「エヴァが俺を抱きしめる。彼女の香水の匂いが広がる。

「こういうの初めてかしら?」

「1回位はあるけどな。」

年上すぎる女性とは初めてだった。ゆっくりお互いが全身で触れ合う。彼女は俺にキスした。

「旦那は良いのか?」

「もう私の心の中にはいないわ。そんなことはどうでもいい。今が楽しければ良いのよ。」

毎晩、部屋の扉が空いてたのは俺に気を引かせるためだった。床には服が転げ落ちていた。俺とエヴァは激しく動いた勢いでベッドから落ちる。お互いの声が響き渡る。俺の叫び声で夜の情事は終った。服を着終わるとシュテファンが部屋に入った。

「何してるの?」

「お前こそもう寝る時間だろ。子供は早く寝ろ。」

「トイレに行ってたの。部屋が空いてたから何があったか確認して来たんだ。カレルも大人じゃないのに、ガキ扱いしないで。」

眠そうにしながら話した。そんな彼をエヴァは部屋に戻した。

「危なかったわね。」

「隠すきないじゃないか?」

朝目を覚ますと、エヴァとシュテファンはもう起きていた。

「二人とも早いな。何でいつもより早く起きてるんだ。」

「一年に一度日の出がキレイな日があるの。」

「教えてくれても良いのに。」

二人と距離を感じた。俺は白い家に行った。

「イレナ、今日もご飯届けに来たよ。」

「ありがとう。ご飯食べ終わったら1時間くらい話せない?」

「良いよ。」

俺は白い家を出て、適当に時間を潰した。

「入って良いか?」

「良いよ。」

「イレナは女神の存在信じてる?」

「信じるも何も、私は女神に近い存在なの。女神そのものと言ってもおかしくない。」

「自分の一族を誇りに思ってるんだな。」

もしかして、あの絵に描かれているのは白い教団の女神に違いない。

「これ見て。キレイでしょ?」

彼女は突然箱を取り出しイヤリングを見せてきた。

「これはね。もう顔も覚えてないお母さんのかたみなの。」

「身につけたことはないのか?」

「ないよ。」

俺はイヤリングの箱を閉じて、窓を開けて外に投げた。

「何すんの?母から貰った唯一のものなの。どうしてくれるの!!」

イレナはすごい剣幕で怒った。

「落ち着いて。怒らないで。」

「怒るに決まってるじゃないの。もうどうすれば良いの。」

イレナは呆然としていた。

「外に探しに行くぞ。」

イレナの手を引っ張り、外に連れ出した。

「ちょっと、どこに行くの?そんなことして見つかると思ってるの?外は危険なのよ。」

「必ず見つけ出す。約束する。だから心配するな。俺についてこい。」

ずっとイレナの細い手を離さなかった。

「こんな所、探しても見つからないわ。」

「イレナの中ではそうかもしれないが俺は見つけ出すからな。」

森の中をくまなく探した。草の中にあるかも確認した。だが中々見つからない。俺は土まみれになっていた。イレナはがっかりしていた。街の方に出てベンチに座ると、その下にイヤリングの箱があった。

「見つけた。ほら、見つけたぞ。」

「良かった。ありがとう。本当に見つけるなんてね。」

「外の空気ほとんど吸ったことないだろ?どうだ?心地良いだろ。」

「思ったより空気が良いね。白い家以外は汚れた所だと思ってたわ。外は邪悪な空気に包まれている所だってずっと聞かされてた。」

それからもイレナはクローバーをつんで、花かんむりを作ろとしていた。中々上手く作れずにいたので、しょうがなく俺が代わりに作った。

「似合うじゃん。」

そう言われると、イレナは笑った。仮面をつけているのに、笑顔が伝わった。

飲める温泉が湧き出る所に連れて行った。お湯は透き通っていてきれいだった。水面に映る俺達を見ながら話した。

「これ飲みな。美味しいから。」

「温かい。身体の芯まで暖まるわ。外にこんなキレイな水があると思ってなかったわ。」

白に鳥の文様のあるお湯のカップを彼女にプレゼントした。そして彼女を家にかえした。

「こんなこと言うのは変かもしれないけど、今日が人生で一番楽しいときだったわ。じゃあね。」

イレナの家から離たあと、数メートル先に何が光りだした。大きな木で何が一瞬だけ光る。登ってみると、3つの指輪があった。一つはダイヤモンド、2つ目はエメラルド、3つ目はアメジストだった。俺はダイヤモンドとエメラルドだけ手にとった。ダイヤモンドの指輪を試しにつけたが、外せなくなってしまった。指輪を外すのを諦めて、いつも歩かない道を散策した。しばらく歩くと黒い家が見えた。黒い家を見ると中に人影があった。恐る恐る近づくと人影がなくなってしまった。また背後に人影を感じたが、後ろを向くと誰もいなかった。

帰宅くるとエヴァが庭の掃除をしていた。

「あら、おかえり。」

エヴァは指輪を見た。

「その指輪どうしたの?」

「森で拾ったんだ。」

「そう。」

彼女はすぐにどこかに行ってしまった。後ろからシュテファンが叩いてきた。

「痛いよ。何するんだ。」

「ごめん。それより指輪なんてして、誰かにあげるのか?」

「ああ。もう一つはあの白い家のイレナにあげようと思ってる。」

「そういう関係だったんだ。じゃあ、僕はもうあの家に行けないね。」

彼はくすりと笑いながら俺をからかった。部屋でイレナの所でとった本を解読したがまだまだ読めなかった。諦めて本を閉じた。」」

「カレルとエヴァは一線を踏んでしまったのね。でも一度だけの関係な感じね。イレナの心情の変化を感じるわ。カレルが殻を破ったのよ。」

「イレナにどんどん引き込まれてく感じだな。強引な所多いけど、よく言えばイレナへの気持ちは正直だな。」

「そう言えば、プロポーズしてくれたのあなたの方からだったわよね。いつもより改まった格好で、高級なレストランなんて連れてくもんだから、バレバレだったけどね。」

「プロポーズくらいそうでも良いだろ。そう言えばこの指輪、君の方はアメジストで俺の方はエメラルドだね。」

「私の好きな色あの時話したことないのに、紫に輝くアメジストの指輪をくれて嬉しかったわ。」

結構当初の話をして一日はすぐに終った。

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