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⑻『亡き資料からの、船の水没』

⑻『亡き資料からの、船の水没』



思想上の、必要事項を天から掻っ攫う様な、用意はできていたのだ。しかし、自己が自己を保つためだけに、俺は俺の直線を静かに、確かめていた。船という船を見たことがないように、或いは決まった船など、ないように、ここにあるのは、俺だけの船なのである。



勿論、亡き資料から、という名目は、脳髄を捉えている。看過できない、我々の幸福と不幸において、それらが地球上に、平等に降り注ぐことを祈りつつも、我々は、自我の幸福をも、捉えて離さない。当たり前のことだ、自己の生命が脅かされたら、誰だって、自己の生命に縋りつくだろう。



まさしく、自己の生命の終わりとは、船の水没に酷似している。海や川に返るのだ、とでも言いたげに、宿命が自己を誘っている。何も見たくない様な、自己の視覚の暗雲の中で、俺は船を維持する、しかしどうだろう、もしも、船に俺が維持されているとしたら。

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