ナメクジと美少女
時は2017年。世界は危機的状況へ刻一刻と近づいていた。
「ーーーっ奴が来るぞぉっ! みんな逃げ……」
プチっという音と共に叫んでいた男は絶命した。誰が信じられるのだろうか、目の前には全長5メートルほどのナメクジだったものであろうモノがうごめいていた。
そう、世界は超大型ナメクジによって侵略されつつあった。これは僕が避難所へ向かうまでの物語だ。
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僕の名前は星川 亮。只今絶賛逃走中である。何から逃げてるって?
そりゃあ勿論、後ろのナメクジみたいなやつから逃げているのだ。捕まってしまった時のことなんて考えていられない。今、僕が出来る精一杯の抵抗は足を全速力で回すことだけ。
「gyaoooo! ubasyaaaaa!!」
後ろの化け物は何かの呪詛を唱えている。それは日本語ではない何かのようなものだったと覚えている。息が上がり汗が頬に滴る。この汗は疲労と暑さの影響だろうか、それとも恐怖からくる冷や汗だろうか。
どのみち邪魔であることには変わりはない。滴る汗を乱暴に拭う。
その時に一瞬ほど視界が腕で隠れたため、道端にあるナニカに躓いてしまった。
「っ!! うあっ……ぐっ……」
その場で派手に転倒してしまった。擦りむいた箇所を気にするまでもなくすぐさま後ろを振り返る。前方には迫りくる淡泊な色合いをした生物。そいつはこちらを食い殺さんと向かってくる。
ここで終わるのか。ここまで生きてきて早16年、楽しいこともあったが辛いこともあった。友人が100人を超えたこと、片思いだった女子のリコーダーを舐めたこと、万引きをしたこと。ゲイの友人に目を付けられたこと。
後半少し変な走馬灯を見たが邪念を振り払い現実を再び目視する。
「っ我が人生にいっぺんの……」
ーー!! 突如目の前が白い世界で覆われた。
この白い世界触れることが出来は何やらネバネバしている。この白い世界を手でかき分けてゆくと目の前には大ナメクジの切り捨てられ果てた姿があった。
どうやらこの大ナメクジの体液とやらを浴びて僕は白い世界へと迷い込んでいたようだ。体液を浴びて唖然としていると大ナメクジの切り口から何者かが現れた。
「お前、ケガはないか? この地域ももう駄目だ。さっさと避難したほうが身のためだぞ。」
なんと大ナメクジの中から美少女が姿を現したではないか。どこぞのスプラッタ作品でもこんな展開無いぞ。僕はたまらず彼女に尋ねた。
「君の名は?」
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