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背景
遠い昔、人間はとある種族と共存していた。
彼らはゴブリンのように緑色の皮膚にエルフのように尖った耳、そしてオーガのように屈強な肉体を持ち合わせていた。
彼らの名を、【ガブレン族】という。
長年の対立の末、両者は和平を結んだ。争いのない世界を目指して。
そして1つの大国を作った。誰もが自由を得ることの出来る社会を目指して。
だが時を経て、両者の関係は脆弱と化していく。
和平当時を知る者がいなくなるや、人間は彼らを疎むようになった。
『仕事を奪うな、ここから出ていけ』と叫ぶ者が多くなった。
『緑の悪魔』と、彼らの外見を忌み嫌う者も多くなった。
そして統合して100年余り、再び歴史が動いた。
人間が全面的な弾圧政策を打ち出していく。
罪のない者を容赦なく殺し続け、大勢の者が故郷を追い出された。
彼らも負けじと反抗した。
人間より優れた体格と一族の結束を武器に、人間をねじ殺していった。
再び永遠なる自由を求めて。
グレゴ暦119年、7月7日。
両者の利害はやがて、大いなる全面戦争へと発展していくこととなる。