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神無月に勉強を教える僕

二人からのアピールが始まり五日間が経過した。今日は土曜日ということで高校は休みだ。

僕は今日、神無月に勉強を教えて欲しいと頼まれて神無月家に来ているのだ。

神無月の部屋は清潔感があり見た目とは違ってとてもシンプルな部屋だ。


「空、ようこそ。あーしの部屋へ。」


「やあ。で、何の勉強からする? 」


「あーしは空と保健体育でもいいかな〜 」


「おふざけは無しだよ。」


「嘘だって〜。まずは数学と、現代文と古文と、英語と物理と、生物と...えっと、地理日本史世界史もかな。」


「全部か。悪いけど一日で全部は時間的に厳しいかな。」


「じゃあ幾つか選ぶから待って。」


神無月は教材を机に広げて吟味していた。手にとっては戻してを繰り返していたのだ。

それを待つこと数分、ようやく神無月は教科を選んだ。選んだ教科は数学と英語と日本史だった。

随分と絞ってくれて助かる。


「じゃあまずは英語からしようか。」


僕は神無月の映画の本を開いて付箋が付いている所を順番に見ていく。


「なるほど。神無月さんは動詞が変化する所が苦手みたいだね。こういうのはとことん問題を解いて覚えるしかないね。このページからここまで解いて見て。」


僕は本をパラパラめくり神無月に指示を出す。


「分かった〜。見ててね。あーしが頑張るからっ 」


神無月は思った以上に集中力があり黙々と問題を解いていく。これは努力を続ければかなり伸びそうだと思った。


「はい。出来たよ。」


「うん。まぁもっと頑張らないとね。」


「はーい。」


「確か...ここに動詞の活用載ってるからよく目を通して覚えることだね。」


僕は本の後ろのページをめくって神無月に見せる。


「ふぇ〜。こんなのあったんだ。よーし、これであーしも英語完璧になるね。」


「ああ。頑張れ。」


これだけでは英語を教えたことにはならない。僕は文法を幾つか神無月に教えて問題を解かせた。少しずつ出来るようになっていた。英語を終えた後は数学だ。


「あーし数学マジで嫌〜い 」


「まぁ僕も好きではないな。」


「数学してると頭痛くなるし。マジ嫌い。」


神無月が数学が嫌いなことはよく分かった。

とりあえず計算問題から始めた。


「空ー。ここ分かんない。」


「ここはこれを代入してこうするんだ。」


「なるー。分かった。さっすが空。あーしインテリな空カッコよくて大好きっ!! 」


神無月は僕の右腕に抱きつく。胸は当たるしふわっと揺れた髪が鼻の前を通り良いオレンジの匂いが入り込む。


「か、神無月さん。離れようか。」


「ちぇー。」


計算問題の後は確率の問題や関数を教えた。神無月はかなり苦手みたいで今日の所は触りだけで一杯だった。

頭の疲れる数学が終わると最後は日本史だ。


「あーし人覚えるの苦手。友達はすぐに覚えるけどさ。」


「それなら大丈夫だよ。暗記できるさ。」


「ねぇ空。この人ってフラスコ何て名前だった? 」


神無月は日本史の本を巡りある偉人の肖像画を指差して聞いてきた。


「これはな、フランシスコ・ザビエルだ。」


「あーなる。惜しかったよねっ 」


「ま、まぁな。」


これ以外にも神無月は微妙に惜しい間違いが多かった。例えば、足利 尊氏を足立 尊氏と間違えたり、太平洋戦争を大西洋戦争と間違えたり...惜しいというか微妙な間違いが多いのだ。


「これは江戸川幕府? 」


「いや、江戸幕府だよ。」


「くーっ。悔しいし。あーし全部惜しいよね。」


「まぁ惜しいというか、間違えて覚えてるから正しく覚えよう。」


「うん。」


まだ課題はあるものの今日はこれにて終了だ。

あっという間の時間の経ち方に僕は少し驚いた。


「神無月さん。これあげるよ。」


僕は部屋を出る前に神無月に蜂蜜の飴を渡した。

勉強をした後に甘い物を口に含むととてもいい気分になる物だ。普段勉強が終わり次第蜂蜜の飴を舐める習慣が出来ている。


「これ蜂蜜の飴じゃん。空のおすすめ? 」


「まぁそんな感じ。美味しいよ。」


「いただきます。」


神無月は口に飴を放り込むと表情を変えた。その表情から癒されているような雰囲気を感じる。


「美味しい? 」


「うん。この飴美味しいっ。あーしもこれから空と同じように勉強の後に蜂蜜の飴舐めよっかなー。空とお揃いっ 」


僕は神無月の言葉にキュンと胸を貫かれたような感覚に陥った。


「空。また勉強教えてねっ 」


「ああ。任せて。」



何はともあれ楽しい時間で神無月とも距離を縮められた気がする。尚更決めにくくはなったが....

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