表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/53

化け物の巣で薬草発見

 

 またもや水化で進む中、ますます強くなる気配の正体が気になるところですが、もっと良いものを見つけました。


 薬草発見です。


 しかもやけに魔素が濃い。

 この空間内の魔素もかなり濃い。

 魔素溜まりに匹敵するけど、この辺りには魔物が居ない。


 まあ、無理だろうな。


 傍らにあんな怖いのが居れば。

 何故か動かないみたいだけど、かなりヤバいのが鎮座しています。

 水化状態でも何か感じるみたいで、右に行けば右を向き、左に行けば左を向くんです。


 こぇぇぇ。


 近くには寄れませんね。


 とりあえず、見つけた薬草を集めます。

 近くに寄れないので遠くの薬草ばかりですけど。

 それにしても、ここって何なんだろうな。


 どうにも難所のようなので、花壇にして植えておきます。

 ここの濃度と同等にすれば擬似的な環境になるはずで、それならもう来なくても済むからです。


 薬草は根が残っていれば再生するので、ここの薬草も根ごと抜けば栽培が可能かも知れないのです。

 更に土も花壇シートを出してここのと入れ替えました。


 もしこれが改善薬草以下なら使い尽くしますが、そうでないのならこれからはこれ専用になる予感です。

 つまり、大型拡張バックを4つ入れての商人家業はやれそうにないので、端のほうだけ花壇シートをめくり、何とか拡張バッグを収めます。

 採取目的なので最初に買った中型を持って来て良かったです。


 この際なので、中のバッグにも満載にしておきましょう。


(誰か居るのか)


 うわわ、ヤバいヤバい。

 慎重にやらないと。


 拡張バッグを出してゴソゴソしていたからバレたんだな。

 動けないと思わせて、近付いたらパクリとやらない保障は無いからな。


 よし、満載、そして財布にゴー、そして再度の水化……。


(そこに居るのは誰だ)


 うへぇぇぇ、逃げろや逃げろ。


(気のせいか……あれから長いからの)


 何だか寂しそうですが、気は抜きません。


 さて、帰りますよ。


 帰りもおっかなびっくりで移動して、何とか扉から脱出成功です。


 ああ、怖かった。


 ◇


「どうしたのじゃ」


「何かあったの? 」


 帰ってすぐに寝込んだので、2人に心配されました。


「真っ黒いドラゴンみたいなのが居た」


「みたいとは何じゃ」


「怖いから近付けなくてさ、遠くからチラリだから」


「おぬし、封印されし者に遭うたのかの」


 何それ。


「遥か昔の事じゃが、悪さをして閉じ込められた竜がおっての」


 誰がそんな凄い事を。


「さての、神とも言われておるが、よく分からぬ」


 じゃあそれなのかな。


「封印されし者と言うだけの事はあり、近くには行けないはずじゃがの」


 ほら、水化は無敵だから。


「成程のぅ」


 それより見て見て、この拡張バッグの中の薬草。


「こ、これは、まさか」


 おやぁ、珍しい薬草かな。


「おぬしが栽培しておったのに何故気付かぬのじゃ。これは上級薬草じゃ」


 いや、中は暗いからさ。

 そりゃ水化中なら感じるけど、目で見ようとすると真っ暗なんだよ。


「しかもこれだけの量となると、とんでもない数の回復薬になろうぞ」


 しおれたら蜂蜜肉の下に刻んで敷くんだね。


「そのような事はさせぬ。全て上級回復薬にするのじゃ。ほれ、容器を作らぬか」


 精神が疲れて今から寝るんだよ。


「先に拵えよ」


 はふうっ……。


 ◇


 とんでもない存在に遭って、こっそり隠れて採取して、またもやこっそり逃げて帰って精神疲労で寝ようと思ったら、師匠からの無茶振り食らって散々でした。


 確かに外の光で見ると上級薬草だけど、水化中の視界って裸眼とは違うんだ。

 昼だともやもやと揺れる視界で、慣れないと酔いそうになるうえに、夜ともなると白黒な感じになって、新聞どころか立て札も怪しい視界だ。

 それでいて暗くは感じないのが不思議だけど、それが精霊の感じようだとしたら、あれに慣れないといけないって事になる。


 まあ、今では揺れても酔わなくなったし、白黒も慣れると問題は無いけど、薬草のクラスを水化中に見分けろってのは、ちょいと無理があるんだよ。


 完全に精霊と同一ぐらいまで進化すればどうか分からないけど、それこそ戻れない扉な感じがするからまだ到達したくない。

 まだまだ人間に未練があるので、そういうのは足腰が弱って寝たきりになってからでも遅くないと思うのさ。


 ドン……。


 いやね、確かに生で食えると言ったのはオレだよ。

 だけどさ、起きてメシにしようとしたら、皿にそれだけ載せられても困るんだよ。


「あれ、パンは? 」


「粉が無い」


 ああ、小麦粉買うの忘れてた。

 帰りに買おうと思っていたけど、ドタバタしていたからそれどころじゃなかったから。


 まあ、今はこれで良いか。


「これ、良いよね。困った時の非常食みたいで」


 確かにそうだし大量にあるけど、食べると何時かは無くなるものだし。


「火炎熊って言ったっけ。迷宮で獲れるらしいけど、獲りに行かない? 」


 今から行くと辺境伯と入れ違いになるかも知れないとなると、師匠の身が心配だな。


「わしは薬師ではあるが、魔術師でもある。どのような者が来るかは知らぬが、そうそう遅れは取らぬ」


 いやきっと師匠の過去は知られていると思うから、それ相応の部隊で来ると思うんだ。


「それはあり得ぬの。わしをどうにかしようと思うなれば、それこそこの領の全兵士でも足りまい。となると複数の領に相談をせねばなるまい」


 じゃあ直轄領から直接は来ないんだね。


「いかに寄り親と寄り子の関係でも、そのような事を認めては侵略してくれと許可を出すに等しかろうから、他国との戦争でも無い限りはそのような事は不可能じゃ」


 じゃあ嫁さん任せて良い?


「えー、私も行きたい」


「そうじゃのぅ。攻撃魔法のいくつかを使えねば、こやつの足手纏いになろうの」


「うっ、それは嫌だ……仕方ないなぁ。うん、じゃあ色々教わっているからたくさん獲って来てね」


 たくさんか、となると花壇の中の上級薬草をどうするかな。


「まだあるのかの、呆れたものじゃ。まあ良いわ、それも出しておくのじゃ」


 でももう行きたくないよ、あそこ。


「地下の樽の無い場所での、一角を仮置き場にしておくのじゃ」


 そんな方法、あるんだね。


「魔素の濃厚な環境も必要な場合があるのでの、いささか準備が要るがやると決まればすぐに用意するからの」


 分かりました。


 ◇


「この土は凄まじいの。確かにかつて感じた存在を感じるぞぃ」


 うえっ、じゃあこの土に竜の気配おしっこが……。


「竜がマーキングなど聞いた事もないぞぃ。そうではなく、そやつから漏れ出た魔力が浸透しておるのじゃろう。恐らく相当の魔竜であろうの。神話の頃からまだ消滅しておらぬとは、とんでもないのぅ」


 そんな昔からなの?


「時の頃は分からぬが、遥かな昔と聞いておる」


 じゃあ大魔王だね。


「かも知れぬの」


 会話しながらでも手は動き、花壇の土と薬草は仮置き場に置かれました。


「これ程の濃度の土となれば、相応の魔力の注入が必要になろうの。ほれ、寄越すがよい」


 魔力補填の話をしたら、魔力が必要な事を全てやらされるようになっちまい、またぞろ流し込む事になるんだけど、中の精霊の力が物凄く強く感じるんだ。


 補填数値もとんでもない事になっているし。


 多分、あの魔素の濃厚な水をタンクに入れた事で、それも込みでの数値になっているような気がするんだ。

 そうじゃないと説明が付かないだろ。なんせ……。


 火5・土5・風5・水65・光10・闇5・空5・生活・精霊・魔力1008(+465535)


 4割の濃密魔素水がそっくり足されたみたいになっていて、1割が10万の魔素を含んでいますと言っているみたいだ。

 なので行きたくないと言ってもまた数年ぐらいしたら、あそこに連れて行けと催促されるんだろうな。


 そして今更だけど、魔力が1000越えました、やったね。

 

人物ミニ紹介


小市民なので接近遭遇はやりません。

遠くから観察して少し近付いて、反応があったらすぐ逃げる。

まるで小動物のようですが、そういうタイプなので危険な冒険には縁がないのです。

その代わり、見つからないと確信出来ている場合は、かなり大胆になったりします。

典型的な雑魚ですね(汗

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ