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戻って早々、肉の食い方について考える

 

「ただいま」


「こんちわ」


「ほんに人より外れたのかの。共に服をどうしたのじゃ」


 ああ、着るのを忘れていたな。


「嫁さんだ」


「は、はい」


「おやおや、似た者同士なのかいな」


 裸族とか思ってないよな、師匠。


 長時間の水化の影響か、裸でいても何も感じなくなっちまってな、相方も同様のようだから気付かなくてさ。


 まあいい、今日はこのまま寝よう。


「余り煩くするでないぞ」


 ああ、人の行為か、そんな気になれないんだ。

 どうしてか分からないけど。


「寝ようか」


「そうだね」


 裸のまま抱き合って眠るものの、人の行為をする気になれないうえに、相手を変に意識する事もなく、ただ慈しむ気持ちのまま、そのまま眠りに入っていく。


(ああ、やっぱり同じなんだ。嬉しいなぁ)


 ◇


「転生者とな」


 はぁぁ、遂に話したけど、そうしないと弟もそうなんだし、説明にならないんだよ。

 それにどのみち嫁さんには話しておきたかったから、ちょうど良かったと言うのもある。


「それであの火炎熊もさ」


「さすがに考え過ぎとは思うが、確かにわしが消えれば行く当ても無くなろうし、そうなれば何も知らぬ頃のおぬしなら、まず間違いなく絡め取られようの」


「あれとドラゴンの遭遇率は、変わらないぐらいの領地じゃないの? ここ」


「いや、ドラゴンのほうが高いの。なんせかつては好物が森の奥に生えておったからの」


「じゃあ捕らえた熊を近くで放したと」


「成程の。捕らえて放つなればあり得るか。あやつは迷宮を複数持っておるし、可能不可能で言うなれば確かに可能じゃ」


「あれって自然発生式だよね」


「それは元の世界の知識かの。迷宮は言うなれば過去の遺跡を利用した魔物の飼育場所じゃ。容易には逃げられぬようにしたうえで、中で繁殖させておるのじゃ。そうして頃合になったら解放して、また減ったら増やすのじゃ」


 何だそれ。


 じゃあ天然の迷宮とか無いのかよ。


「他国にはあると聞くが、この国の迷宮はどれも紛い物じゃ」


 道理で領地に5つもあると思ったよ。


 となると、そうだなぁ。


 また何かしらのちょっかいを受けたら、そいつを潰してやっても良いよな。

 なんせ地下の遺跡で飼っているんだから、上から水を流し込んだら全て溺れてしまうよな。


 幸い、大量の水の当てがあるんでな。


「火炎熊って泳げるかな」


「あやつも哀れじゃのぅ。ちょっかいを出す相手の真の実力も知らず、損害ばかりが増大する事になろうの」


「そういや、そろそろ食べ時じゃないかな」


「おお、そうじゃった。なれば、頼むぞぃ」


 はいはい、お任せあれ。


 嫁さんにも受けると良いな、蜂蜜漬け肉と薬草刻み料理。


 ◇


「ううむ、あれに及ばぬとはの」


 意外だけど、ゴブリン肉の蜂蜜漬けに及ばなかった。

 あれは不味い肉だから良いんであって、火炎熊は元々食べられる部類の魔物らしい。

 だから肉の旨みと蜂蜜が、変な具合に混ざってイマイチな味になってしまっている。


「仕方が無いから水で洗ってくるよ」


「蜂蜜が惜しいが仕方あるまい」


 そういや蜂蜜漬け肉と薬草のソテーの話はしてなかったな。


 実はオレの発明の品のひとつであり、師匠の好物になってしまった料理なのだ。

 しなびた薬草を廃物利用として試行錯誤の果てに完成した料理。

 そのままでは苦くて食えないので、蜂蜜漬けの肉と組み合わせたんだ。


 蜂蜜漬けの肉もオレの発明で、臭みが強い魔物の肉を蜂蜜に漬けたら味わいの深い肉になったのは良いんだけど、甘党じゃないと耐えられない味になったので、辛党の師匠も食えるように、しなびて使い物にならなくなった薬草を刻んで下に敷いたんだ。


 一緒に食べたらあら不思議。


 双方のとんがった所が緩和されて、甘さ控えめでピリリと辛い、辛党向けの肉料理になっちまった。


 それがまた師匠の琴線に触れちまい、すっかり好物になっちまってさ、しなびてない薬草まで料理に使えと言い出す始末で、蜂蜜漬けの肉のストックも危うくなっていた。


 それにしても家畜またぎ……家畜も食わない……と言われるゴブリンの肉がさ、あんな味わい深い肉になるとはな。


 師匠からは誰にも漏らすなと厳命されており、なので蜂蜜漬けの肉は村に卸せなかった。

 それどころか村で処分の予定のゴブリンの肉を、薬の材料にすると偽って回収していたぐらいだ。


 どんだけ食いたいんだよ、師匠。


 村の特産の養蜂で蜂蜜は比較的安価で手に入るので、蜂蜜漬けのゴブリン肉の在庫の確保は容易だけど、村の連中に知られたら叩き出されるかも知れないぞ。


 解体して蜂蜜樽に詰めて熟成1ヶ月。


 それで美味しい肉になるとか、村に教えてやったら新たな産業になりそうなのに、師匠の好物の独占欲の為に、それが阻害されている。


 ◇


「お待たせ」


「おお、これこれ、これで無いとの」


「うわ、これ、本当にゴブリン肉? 信じられないわ」


「広めたいよね」


「ダメじゃ。どうしても広めたいなら、わしが死ねば好きにすればええ」


 と、言われても、早々くたばりそうにないんだよな。


「普通ならば学費が必要なところをタダで教えておる。なれば学費の代わりじゃ」


 いや、村の産業のな。


「そのような事は関係無い。蜂蜜の購入で貢献しておるし、不要肉の回収もしてやっておる。感謝されども恨まれる筋合いはない」


 そりゃ知らないからだろ。


「なれば教えずとも良かろう。知るのはわしが消えてからじゃ」


「独占したい気持ち、少し分かるかも」


 まあなぁ、みんながみんなこれをやり始めたら、そこいらからゴブリンが消えそうだしな。

 ただでさえこの辺りだとたまに出るぐらいなのに、村の連中が知ったら山狩りとかして根こそぎになりそうだ。


 それに、集団で暮らしているゴブリンには知性があるとか聞いた事がある。

 たまに遭遇するゴブリンはいきなり襲ってくるから反撃で倒しているけど、そうじゃなかったらゴブリンの村の襲撃とか、さすがにやりたくないぞ。


 でもあいつら、薬草の繁殖地でよく会うから、もしかしたら薬草採取だったりして。


「可能性は無くもないがの、あれはわしの縄張りじゃ」


 立て札でも立てておく?


「ゴブリン共にそれが読めて、なおかつ来なくなれば可能かも知れぬが、それではわしの好物はどうなるのじゃ」


 じゃあまた食うんですね。


「在庫はまだあるじゃろ。なれば作れば良いのじゃ」


 はいはい、分かりましたとも。


「あるならお代わり、良いかな」


 お任せあれ。

 

描写が下手なので飯テロにならないよね。

てか、ゴブリンの肉とかゲテモノの類だろうし。

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