表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/53

雑念でアレがヤバい事に

 

 改造された財布の中の花壇の世話をしながら魔力循環をしながら、空間魔法と思しきアレコレを試行錯誤する。

 だけどどうにもイメージのような空間の創造が巧くいかない。

 確かにこことは違う場所に空間を創造して、その出入り口を制御しないといけないんだけど、青狸のポケットってイメージじゃないんだよな。


 かと言って財布とも違うし。


 試行錯誤の最中に雑念が混ざり、変な所に触れてつい揉んでいるうちに何かが出来たような感覚を得た……ものの、どうにも怪しい事になってしまった。


 うわ、何だこれ、あれ、戻らない、嘘。


 某所が異常な事になってしまって元に戻らなくなり、仕方が無いので釣り合いを取る為にもう片方も同様にする羽目になったものの、元に戻したくて仕方が無い。


 どうにも空間を操る感覚が掴めなくて、悩んでいるうちにムラムラして、無意識のうちに自分の胸を触っていたら、急に女の胸を触っている感覚になって、気持ち良い手触りのままに、気付いたら片方の胸が膨らんでいた。


 とりあえず戻せる気がしなかったので仕方なく、もう片方も釣り合いを取ろうとして、先程の感覚を思い出しながら何とか出来たけど、元に戻らないと困るんですけど。


「何をしておるのじゃ」


 それがどうもこうも。


「おぬし、よもや、それは」


 それがさ、空間を操る感覚が分からなくて、つい自分の身体で。


「わしもいい加減、研究狂いなところがあるが、おぬしはわし以上じゃの。よもや我が身で実験をするとは、恐れいったぞぃ」


 いや、そんなつもりじゃ……困ったな。


 だけどこれって中身があるような無いような。

 確かに揉めば乳房のようだけど、ちょっと違うんだよな。

 そう、胸に小さなスライムがくっ付いている感じとでも言えば良いか。


 もしかして、これ、成功してない?


 でもどっから入れるんだ。


 アイテムボックスなら色々な方法が書かれているけど。


 黒い渦とか……イメージが違うな。

 パッと消える転送みたいな……違うな。

 押し付ければ入らないか……無理だな。

 でも何か方法があるはずだよな。


 こうなったら厨二方式で。


 《アイテムボックス・オープン》


 おお、これか、これなのか。


 て、えぇぇぇぇぇ。


 キモい、キモ過ぎるぞ、これ。


 確かに手が入るけど、肉まんの中央から広がって行く感じで、つぼみが開くようなと言えば綺麗だけど、実際に我が身で体験するとただキモいだけだ。

 ビジュアル的には立体のシャッターが開く感じ……カメラのな。


 そうして中に手を入れてみると、ひたすら入っていく。

 目一杯入れても何も手に触れないって事は、一応は成功したって事なんだろうけど、どうしてこんな場所で成功するかな。


 今からでも腹に作るかな、青狸みたいに。


 けど、胸が膨らんだ状態で腹に作ると、妊娠した女みたいに……却下だ、却下、

 何とかこの形状を、小さくするイメージで……押し込んで平面にする感覚で。

 はぁぁぁ、少しは小さくなったけど、まだまだネーブルぐらいはあるな。

 最初のリンゴよりはましだけど、もっと減らさないとこのままじゃ外出出来ないぞ。


 図らずも己の身体で人体実験をする羽目になり、色々と試行錯誤の果てに何とか肉まんを潰したみたいになった。


 よし、鳩胸で誤魔化そう。


 ちなみに何かを入れると脳内にイメージとして現れる感覚があり、必要で手前に準備される感じになってきた。

 ただ、容量が把握出来てないので、とりあえずは近くの川で実験をする。


 そう、川の水を入れてみるのだ。


 ◇


 初夏とはいえ、まだまだ川の中は冷たいな。


 それにこの音が妙に生々しいと言うか、溺れている感覚と言えば良いか。


 ゴボゴボゴボ……。


 どんだけ入るんだよ。

 かれこれ30分ぐらいは川で寝ているんだけど、いくらでも入っていくぞ。


 まあ、まだ耐えられるし、寒くて堪らなくなるまで頑張ってみるか。


 けど、ただ寝ているだけってのも飽きるから、魔力循環でもしながら……。


 ・

 ・

 ・

 ・

 あ、止まってる。


 どうやら満杯になったみたいだな。


 《アイテムボックス・クローズ》


 川から上がって火の才覚で周囲を温め、それを風の才覚で操る感覚。

 全体的なイメージは温風乾燥機だ。


 あらかた乾いたな。


 それにしても、どれだけ水が入っているのか、脳裏にはただ、水中で漂っているような感覚があるだけ。

 内容量も分からないとなると、かなり性能が悪いんだな。

 まあ、全属性4なら仕方ないか。

 確かに内容量を調べるのは大事だけど、折角入れたこの水をただ捨てるのはもったいないよな。


 そういや、これって大量の水だよな。


 距離の二乗に反比例は良いけど、量が豊富なら威力に付加出来ないか? そう、消防ホースから出る水みたいに。


 ここから更なる人体実験になるけど、一度やったからにはそのイメージは掴めているし、次は形状の把握もやれるはず。


 場所は右手の平。


 拳法の発勁のイメージで、射出口を構築すれば、胸の容器からの空間転送を随時に行い、それが武器になる……かな?


 その時に仮想的な空間を構築し、内圧を限界まで高めてやる。

 仮想的な空間は2部屋構造として、送られて来た水を部屋の壁が押す感覚……そう、ポンプのように。


 自転車の空気入れのイメージで加圧して、水圧を限界まで上げる。


 そうて身構えて……『射出』


 うおお、反動が、意外と強い。


 安全の為に斜め上方に手の平を向けておいて良かった。

 あたかも消防用のホースから水が出るように、巨大な噴水になっちまっている。


 これってマジで火災の消火に使えそうじゃん。


 武器のはずがどうして平和的利用になってしまうかな。

 もしかしてこれが小市民の良心ってやつなのか。

 どうにもマッドにはなれないんだね。


 結局、ビル火災でも消火出来そうなぐらいの到達力と、大火災でも間に合いそうな継続力を持った、人間消防システムが完成した。


 どうしてこうなった。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ