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魔鋼少女<マギメタガール>ミハル・Shining!  作者: さば・ノーブ
第2編 <魔鋼学園>
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皇都(インペリアルパレス)I魔鋼(マギメタ)M戦闘団(ストライカーズ)S 第5話

アイツが。

あの子が。


やって来る!

魔鋼の存在が復活した事を、まだ大方の人々は知らなかった。




悲惨なる戦いの末、魔法が使えなくなった。

それは、普通の人々には喜んで受け入れられる出来事だったから。



魔砲使いが居なくなった・・・周りにも。


悪魔のような異能ちからを放てる者が居なくなった・・・除け者にならずに済む。


魔砲なんて放てなくても、誰も気にもしない・・・戦争に往かずに済む。


魔法が使えなくても、不便でもなんでもない・・・やっと陽の下で生きていける。




やっと愛する人の子を授けて貰った・・・のに。




幸せは誰が奪った?


どうして魔法が蘇ったの?


なぜ?

何故、私の元に?


なぜあの子達に<魔力検知能力>が、継承されてしまったの?

どうしてそれがアイツ等に知られてしまったの?



暗闇の中、独りの女性が泣き苦しんでいた。

悔やむのは、自分の浅はかさ。

悔やんでも嘆いても、今は唯・・・空しいだけ。


「ノーラも、ローラだってきっと。

 私が母であるのを恨んでいるに違いない。

 なまじ大戦中に武勲をあげてしまった私を、赦してはくれない。

 生きて帰ってしまい、あの子達を産んだのを恨んでいる筈」


闇の中、拘束具に繋がれた女性が呟く。

恨めしそうに誡めを観ては、嘆きの声を上げるだけ。


「魔砲が放てるのなら、ここから逃げ出す事も出来ただろう。

 でも今は嘗ての魔力はないから、こんな拘束具さえも外せない。

 あの子達には継承されたのに、私には戻ってはこなかった。

 だから・・・あの子達を利用され続けている・・・邪な奴等に」


虜にされた我が身を嘆く、長い黒髪の女性。


「あの子達に罪を負わせるのなら、死んでしまったほうが良いのに。

 私はそれさえも出来ずに居る。

 死を選ぶ事も出来ずにここで審判を待たねばならない」


呟いた女性の前に、灯りが差し込んだ。


「お前にはもう少し利用価値があるのでな、そう簡単に死なれたら困るんだよ」


明かりが射した部屋に、ぶっきらぼうな男の声が響く。

声の主に女性の澱んだ瞳が向けられ、


「理事長・・・まだ、私を利用するのですか?

 あの子達を悪の道に連れ込むだけでは、飽き足らないというのですか?」


挿絵(By みてみん)


見下ろして来る道魔理事長に、か細い声で訊ねる。


「飽き足らん?私はビジネスをしているだけだぞ?

 二人の姉弟を無償で学校に来れるようにしてやったではないか?

 お前の希望だった筈だが?

 違うかね法子ノリコ・・・栗林くりばやし 法子のりこ、元魔鋼中尉殿?」


嘲る道魔理事長を見上げる法子の眼は、澱んだ様に黒く霞んでいた。






「どうやら・・・お出ましのようだな?」


国防軍制服の裾を伸ばした。


「いずれはかたをつけると言っていたが。こうも早くやって来るとはな?」


上空に浮かぶ船を見つけて。


「尻尾を掴んだという事なのか、マモルよ?

 それともお前らしい判断でも下したというのか?」


眼鏡の縁を直して。


将官は振り向いた・・・定期演習中だった機甲部隊へ。


「お前が行くのならば、私とて向かわねばならんだろう。

 あの子が行くのなら、護らねばならんのは同じなのだからな」


軍隊から身を引いて、彼是もう十数年が経つ。

今は国防軍参与として技術開発に身を捧げる身。


今回定期演習に赴いた理由があった。

国防軍の制服に袖を通したのも、それが為。


「もしも、<九龍の珠>の威力を奴等が持ち合わせたら。

 これが必要になるのではないかと思うのだがな。

 そうじゃないのか、マモルよ?」


陽の光を反射する鋼の人型。

銀無垢のボディー、強化された武装・・・そして。


「これがあれば、ピンポイントの攻撃が可能となるんだぞ。

 かつての魔鋼騎戦のように、相手の弱点を突けるんだ」


見上げた<翔騎>は、新式の装備を誇っている。

新型の<翔騎>のテストに、わざわざ出張って来たというのか。


「島田参与!出発の準備が整いました!」


敬礼を送って来る輸送隊の指揮官が、トレーラーを指して。


「本機も。車載致しますのですか?

 まだ、実用試験中ですが?」


目の前に聳えたつ新型機を見上げた。


「中村一佐、こいつはもう戦闘可能だよ。

 後は・・・乗り手を選ぶだけだと思うがね?」


指揮官に答えたマコトが、皮肉るように目を細める。

額の古傷を隠す様に、もう一度眼鏡をかけ直して応えたのだった。


「判りました。それでは、島田参与も同行して頂きます」


「よかろう・・・」


陸上部隊を坂東に向けたマコト。

息子であるIMS指揮官マモルには、まだ連絡は取らずに急ぎ出発を命じるのであった。







戦機は熟した。





日ノ本に巣食う闇。


邪なる闇の者が、紅き澱みから観ている。



愚かな人間共の、同士討ちを。


「ふふふっ、これはこれは。

 面白そうな玩具達じゃないか?!」


まるで子供のように燥ぐ声が、澱んだ空間から漏れて来る。


「いいねぇ、実に。

 これだから人間共って観てて飽きないんだよねぇ!」


ふざける声が、徐々に澱みから近づいて来る。


「傍観するだけじゃ物足らないよ。

 ボクにも遊ばせて貰いたいね、殺戮するのなら!」


紅き澱みの中から。

闇の結界を纏ったまま、声の主が現れ出る。


挿絵(By みてみん)


黒髪・・・紅き瞳・・・ケモ耳と尻尾を生やした幼き少女の姿で。


「黙って観ていろだなんて。

 主様ぬしさまには言われているけど・・・」


ニヤリと嗤う紅き瞳には、悪魔が持つ邪気が渦巻いて見える。


「下々の奴等にだけ楽しませておくなんて。

 魔王三人衆には退屈過ぎるんだよなぁ・・・」


くくくっと笑う少女が、獣耳を掻き下ろし。


「アッチには古代の女神が居ると云うじゃないか。

 それならボクにも干渉させて貰おうかな?

 女神が手を出すというのなら、この魔王ランド・セル様もちょっかいを入れて貰うからね?」


現れ出でた魔王・・・というには幼過ぎる姿。


ケモ耳を生やし、尻尾をふりふり。

何故だか黒いセーラー服とキュロットを穿いたショートカットの黒髪を靡かせる少女ランド


足下に紅く光るのは魔法円環マジックサークル


宙に姿を浮かばせる魔王ランドは、彼の地を観て細く笑む。


「女神がどれ程の物か・・・ちょっと遊んでやろうか?」


闇を纏わせる少女姿の魔王が、介入すると断じた。

それは彼の地での戦いに、人外の異能ちからが干渉するという事でもあった。


「くくくっ!いいねぇ、実に楽しそうだよ・・・」


嘲笑う魔王ランドの実力や、如何に?

遂に敵役として。

魔王3人衆が一人、ランド・セルが現れました。


彼女(?)がどう絡んでくるのか?

他の魔王達は何時現れるのか?

道魔に命じていた者はランドだったのか?


謎は複雑に運命をかき混ぜるのです。


次回 皇都インペリアルパレスI魔鋼マギメタM戦闘団ストライカーズS 第6話


君は仲間の内に入り、救出に赴こうとしていた・・・が。

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