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魔鋼少女<マギメタガール>ミハル・Shining!  作者: さば・ノーブ
第2編 <魔鋼学園>
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闇に染まりし者よ 第4話

魔法衣姿に成ったミハル。


白の魔法衣を観たノーラは・・・

白い魔法衣を着たミハルに、ノーラは眼を剥いて驚いていた。


「今の今迄の姿は・・・世を忍ぶ仮の姿だったのかのら?!」


驚きのあまり、攻撃するのも忘れて問いかける。


「あ、いや。そうじゃなくて・・・」


出鼻を挫かれてしまったミハルが、しょげかえって言い澱む。


「これがアタシの魔鋼姿ってだけで。

 魔砲戦に対する時は、変身するのが習いって教えられているから・・・」


空を揺蕩うノーラに訊かれて、魔女っ子の謂れを答えるのだった。


「そんな話ってあるか?!

 全くの別人じゃないかノラ!今迄の阿保っ子はなんだったのら?!」


「むかっ!阿保っ子ってなによ!」


低次元の言い合いをするノーラとミハル。

折角の緊迫した雰囲気が、崩れてしまったようで。


「蒼髪に蒼い瞳だけでも別人なのに、そんな服にまで着替えて!

 この大盗賊ノーラ様を小馬鹿にする気なのらっ?!」


「あ、いやあのね?小馬鹿にする気なんて毛頭ないんだよ?

 そっちが<翔飛>なんてものを使うから・・・つい本気でやり合うものとばかり」


困り果ててしまう。

相手の調子に惑わされて。


ー 別に隙を伺っているとも思えないな。

  本当に驚いたんだろーなぁ・・・どうしよう?


本気で襲い掛かって来たと思ったから・・・の変身だったのに。

ノーラが驚き過ぎて襲って来なくなっちゃったから、身の置き場に困る魔鋼少女ミハル。


「あ、あの。これからどうする気なの?

 勝負を挑んで来たんじゃなかったの・・・かな??」


敢えて闘わなくてもいいのなら、それに越したことは無いのだが。

手持ちぶたさにも、程がある・・・身の置き場にも困るから。


「言われなくても判ってるノラ!

 お前が<翔騎>パイロットだから、いつも邪魔する白い機体の操縦者だから!

 やっつけておいて、その隙に盗み出そうとしただけなのら!」


「じゃあ、闘う気なんだね?」


その気になったのかと、身構えるミハルに。


「それがこんな魔法衣を着れるレベルだったなんて、聞いちゃいないノラッ!

 だから・・・今日は許してやるのら!」


「がくっ」


闘う気なんかとうに失せたと言われて、ミハルはずっこける。


「捲土重来を目指すのら!もう一度出直して来るのら!」


「あ・・・そ」


<翔飛>の出力を上げて逃げ出そうとするノーラに、魔鋼剣を上げて返答をする・・・が。


「だああぁっ!逃げるんじゃないっ!」


逃がして堪るものかと魔砲のスペルを唱えだす。


「ノーラさんにはこのまま捕まえられて貰いますからね!」


「なっ?!それは困るのら!

 今日は帰るって言ったじゃないかノラァ!」


慌てふためくノーラ目掛けて、


「駄目っ!泥棒なんて辞めなきゃ駄目なんだよってば!」


唱え終えた呪文スペルを解放させる。


「シャイニングゥー・ブレイカー!」


最強レベルの技の発動。

普通の人間に対して、無慈悲にも思える魔砲の光弾こうだんが撃たれた。


魔鋼剣の先端から終息された光が、砲弾と化して放たれたのだ。


「うきゃぁーっ?!そんなの喰らったら死ぬノラァーッ?!」


飛び退るノーラに巨大な光の弾が・・・・


「シューゥトォーッ!」


剣を突き出して、ミハルが叫んだ。


魔砲弾は狙った通り、集束力を上げて一点目掛けて飛んで行く。


「受けてみて!アタシの全力全開っ、魔鋼の力を!」


挿絵(By みてみん)


ノーラに向けて・・・というより。

狙った場所へ叫ぶ。


「逃げられないっノラッ?!」


光の弾は、ノーラに突き当たった。

飛び退る足の下に描かれた<翔飛>から出ている円環を貫いて。



  ボシュッ!!



集束された魔鋼の力は、魔力を飛ぶ力に変換させている<翔飛>に命中した。


「うきゃぁ~~~っ?!」


右足の円環が瞬時に喪われ、左足とのバランスが崩れ去ると・・・


「落っこちるぅ~っ?!」


ぐるぐる回転されてノーラは眼が廻り・・・


「あのねぇ?そんな高さから真っ直ぐ堕ちたら。痛いだけじゃ済まないよ?」


自分が撃っておきながら、ミハルはこうなるなんて思わなかったのか?


「片足だけでも十分跳べるでしょ?

 ・・・って、聞いちゃいないか。しょうがないなぁ」


再び呪文を唱える。

今度は最弱レベルの魔法で十分と読んだか。


「ホレ・・・バウンドしなさいよね!」


堕ちて来たノーラの下に打ち込んだ。


ぼむっ!


地面に砂煙が舞い上がる。そこにノーラが堕ちて来た。


「むひゃぁっ?!ぐえ・・・」


落下スピードと上昇する砂煙の力が相殺し合い、ノーラは地面に叩きつけられずに済んだ。

地上1メートルの処で一瞬停まり、その後両手を拡げた状態で地面まで降りた。


いや、降りたじゃなく・・・落とされた?!


「どう?これでもう逃げる気が無くなったでしょ?」


「・・・・」


魔鋼剣を突きつけたミハルに、ノーラは返す言葉も無いのか。


挿絵(By みてみん)


「あ。もしかして・・・気絶しちゃってる??」


「・・・・」


どうやら、そうみたいだ。


「あちゃぁーっ、やりすぎたかな?」


ノーラに駆け寄ったミハルが、舌を出して苦笑いする。


「ま、まぁ。これで泥棒さんを捕まえられたんだから・・・いいよね?」


善いか悪いかは別として、ノーラの逮捕に至ったのだと。

苦笑いしたまま、ミハルが魔法戦の終了を宣言する。


「後は。みんなに取り押さえたって教えれば良いんだよね?」


ここは学園の敷地内だから。

それに目の前には秘密の基地が控えていたから。


「誰も観ていないのなら、このままノーラさんを基地内部まで連れて行こうかな?」


目の前にある魔鋼科学舎の壁に話しかけて、魔法衣の解除を宝珠に告げた。


ミハルの姿が瞬間にして元の学生服に戻った。

魔鋼の力を解除したミハルは、ソレ(・・)が近寄って来るのも知らず気にノーラへ屈込む。


「ノーラさんをこのままにはしておけないからね・・・」


背後から何者かが来ている事を、ミハルは気付かされていた。

今度の方が、本当の敵なのだと。


「ねぇ・・・誰なの?」


ポツリと溢したミハルに、近寄る者の足音が聞こえて来る。


「返事位してくれてもいいんじゃないのかな?」


その足音に聞き覚えがあると感じた。


「どうして?此処に居るのか、聞きたいのかな?

 それとも・・・ノーラさんに用があるのかな?」


屈み込んだミハルが、振り返ろうともせずに訊ねた。

やって来た影は、立ち止まる。

ミハルからそう離れていない所に。


「くっ・・・くくくっ!」


嘲笑うのか。

陰は笑い声を忍ばせる事も無く嗤うのだった。



「「姪っ子ちゃん、今夜は本当にお腹が空くわよ?!」」


女神オリジナルミハルの声が、ミハルに覚悟を促した。


陰っていた月が、漸く月光を辺りに振り撒いて来たのはこの時の事だった・・・




またもや?!

今度は一体誰なのか?!


魔法衣を脱いだミハルを狙ってきたのか?

月に姿を晒した者の正体は?!


次回 闇に染まりし者よ 第5話

やっぱり、君か。想像していた通りに現れたんだね?!

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