表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔鋼少女<マギメタガール>ミハル・Shining!  作者: さば・ノーブ
第2編 <魔鋼学園>
90/219

闇に染まりし者よ 第3話

イッツ バトォール タイム!


魔砲戦なら・・・アタシにお任せ!


もっちろぉーん!変身するのよっ!おーほっほっほっ!!


と。

ミハルが言ったかどうか?!

おどろおどろしい空間の真ん中で。


蒼銀髪のノーラが揺蕩っている。


紅いスポーツジャケットのジッパーを降ろしながら。



「お前を最初に倒しておくのら!

 いつも邪魔する奴を初めから倒しておけば、後が楽なのら!」


オッドアイを細めて、ノーラが呟く。


「そんなの勝手過ぎるよ!

 あなたが泥棒なんてしなきゃ良いだけじゃないっ!」


応戦するミハルが言い返した。


「何とでもほざくが良いのらっ!

 お前から倒してしまえば、後は盗むだけになるノラッ!」


「だぁ~かぁ~らぁ~っ!泥棒なんて辞めておけば良いだけじゃないっ!」


ジッパーを降ろし終えたノーラが、片足を上げて・・・


「目的があるからのら。

 お前なんかに私達の望みが判る筈がないのら」


「望み?!ノーラさんと誰の望みだというのよ?」


ズボンをずり下げるノーラが、


「お前・・・母親と一緒に居たいか?

 家族をバラバラにされた者の辛さが判るのか・・・のら?」


「え?!家族を・・・誰かに囚われたとでも?」


憎しみにも似た悲痛な声で、ミハルに迫った。

片足のズボンを半ばずらし終えたノーラが、すっと眼を細めて呟く。


「お前なんかに、判るものか。

 姉弟も、母とも別れさせられている者の辛さなんて・・・のらぁ!」


話し終えるのが早いか。

飛び上がったのが早かったのか?


瞬時にノーラは地面を蹴っていた。


「そっか・・・あなたの家族は誰かに囚われているんだね?

 お母さんも、弟さんも・・・近くにはいないんだね?」


飛び上がったノーラには目もくれないミハル。

ジャンプしたノーラが、スポーツウェアを脱ぎ捨てて舞い上がったのにも目を向けず。


挿絵(By みてみん)


「もし、あなたが助けを求めるのなら。

 アタシ達も救出の手伝いをするよ?だってアタシも魔鋼少女の一員だもん」


・・・シュル・・・


右手を伸ばしたミハルの瞳が、蒼く染まる。

右手に填められた魔法石が光を放つ。


「手伝うだって?!お前のような小娘が、か?

 透視能力を持ったノーラ様に出来ない事が、お前なんかに出来る訳がないノラッ!」


ジャンプした筈のノーラは、未だに着地して来ない。

上空からミハルを見下ろし、蔑む様に嘲るだけ。


「そっか・・・あなたも。

 飛べるんだね?魔法の靴が使えるんだ?」


瞳を伏せたままのミハルが、どうして<翔飛>のことを分かったのか?


「その靴が使えるのなら。

 あなたも空中戦闘経験があるんだね?

 大戦時にしか作られなかった靴だもの。

 あなたに靴を渡した人は、嘗ての大戦を観て来た人なんだね?」


ミハルの口から出たのは、魔法石に宿る伯母の記憶を知ってるから。

女神ミハルも・・・そう。

魔法石の中に居る女神も、ノーラの靴を観て思い出していた。

嘗ての大戦で履いていた、魔砲の靴を。


「「<翔飛>までも、蘇ったというのね。

  あの魔法大戦の末に消えた筈だったのに・・・また誰かが造ったみたいね」」


女神ミハルは懐かしむより、悲しく思えた。

闘いの道具が蘇って行くのをみせられて・・・人々の心に邪心が澱んでいくのを知って。


「「人は欲望を押さえられない生き物・・・己の邪心を押さえられぬ愚か者」」


でも、それでも。


「「私は永き時の間に教わった。

  どんなに愚かな人類だとしても、正しき人は必ず現れると。

  邪なる心を正そうとする人が、現れるって知ってるから・・・」」


見放す事なんて出来ないと分っているから。


「「姪っ子ちゃんには、希望を描いて生きて欲しいから。

  私みたいに薄汚れた女神へなんて、なって貰いたくない。

  人のまま、人である事を誇りに思って生き抜いて欲しい」」


姪っ子に宿り、未だに眠り続けるルシファーにも言っておきたかった。


「「ルシちゃん、希望って諦めなければ叶えられるんだよね?

  姪っ子が闇に染まらなければ、いつかきっと逢う事が叶うんだったよね?

  だったら、私・・・必ず護ってみせるよ。

  この子も、ルナリィーンも。そしてこの新しき世界も!」」


蒼き宝珠の中で、オリジナルミハルが聖杖を振りかざした。


「「魔鋼少女ミハル、あなたに授けた力を放ちなさい!

  宿りし者の力を、邪なる魂にぶつけるのよ!」」


聖杖を繰り出した女神に因って、魔鋼の少女が姿を変える。




「おらおらっ!くたばっちまえぇ~っノラッ!」


上空で身を翻したノーラが急降下をかけて来る。

その手に握られた短剣ダガーが、きらりと光った。


「シャイニング・・・チェンジ」


ポツリと詠唱を終えるミハル。


 ブワァッ


金色こんじきの光が、飛び降りて来たノーラを怯ませる。


「なっ?!なんだぁーこれはっのらぁ?!」


光の奔流が、ノーラまでも包み込んでいく。



金色の光の中で、魔鋼マギメタの魔法陣が足元に描かれる。

聖なる紋章と、闇の紋章が互いに入り混じり、やがて一つの巨大円陣ビックサークルを描き出す。

ミハルに与えられた女神の異能が、二つの属性を併せ持たせる。


円陣から吹き上がる金色こんじきの光の粒が、ミハルの制服を掻き消し新たな衣装を纏わせる。



魔鋼の魔法衣。


白の魔法衣が胸部プロテクターを軸として現れ出でる。

両手を伸ばしたミハルに沿って、指先から順に羽織わされ。

青紫のインナーを包み隠して、短めのズボンが穿かされ、腰にタイトベルトが巻かれ。

腰を締める魔法ラインが入った内張り装甲を纏わせる。


金色の粒が上半身に纏わり着くと、蒼い縁取りの上着と化す。

最強の装甲厚を誇る、女神直伝の魔法上着。

格闘性能を上げる肩に着けられた、紅い魔鋼珠が眼を惹く。


上着を羽織るのと同時に魔鋼のブーツが履かされる。

運動性能を高め、脚力を数十倍にまで引き揚げる魔鋼靴。

白を基調とし、金色のラインが入ったブーツ。

脚に穿いた空色のニーソックスに映えて見える。


そこ迄眼を閉じていたミハルが、ゆっくりと眼を開け放って行くと。

それに併せたように、髪の色も蒼く変わって行く。


瞳はマリンブルーへ。

髪は女神と同じく蒼へ。


蒼髪に紅いリボンが映える。

開かれた瞳の先に、両手を合わせ自らの属性を持つ魔鋼剣を呼び出す。

併せられた手を開いて行くに従って、光の刃が抜き放たれていく。

切っ先からつかまで、3尺(約90センチ)ある魔鋼剣。

抜き放たれると光が飛び散り、木刀が現れる・・・いや、木刀の様に観えるだけ。

柄の部分には蒼き宝珠が埋め込まれ、刀自体が魔砲の得物だと判るから。


重なり合っていた魔法陣が、光のリボンとなって胸元と腰に巻き付く。

紅いリボンとなった魔法陣が、大きな蝶結びとなり胸元で揺れる。

腰に巻き付いたリボンも紅く変わって長く靡いた。


挿絵(By みてみん)


蒼き瞳で闇を見据える魔鋼少女が、魔鋼剣を一振りする。

金色のつぶてが変身シールドを解除させた・・・




「蒼きひかり魔鋼マギメタミハル!


 月の女神様に代わって闇を討ち、闇を祓ってやるんだから!


 覚悟しちゃってよね!」


ノーラの前から金色の光が消えた跡には。


白い魔法衣を着た蒼髪の少女が、闇を睨み上げて立っていた。


挿絵(By みてみん)


「・・・誰?!おまえ?誰だのら?」


「・・・・折角決めたのに・・・しょんぼり」


あまりに突然だった変身に、ノーラは着いてこれなかったようです。



・・・変身したのは良いけど。


あんまりじゃない?この反応って!


いよいよ決戦の時が・・・来た・・・筈なのに?


「そんな・・・?!」と、言ったのは誰なのか?


次回 闇に染まりし者よ 第4話

キミ君!その反応は無いと思うけどナァ・・・出て来かたを間違えたんじゃないの?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ