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魔鋼少女<マギメタガール>ミハル・Shining!  作者: さば・ノーブ
第2編 <魔鋼学園>
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虚像の男の娘 第4話

勝負は親友を呼んだという結末だった・・・


それはミハルにとっても素晴しき仲間が増えるという事。

男の娘って・・・性別は男で良いのかな?


姿は女の子でも、性別は男の子?


うう~ん、ローラちゃんの場合は当て嵌まるんだろうか?




授業中にも拘らず、呑気に考えているミハルは上の空。


したがいまして・・・


「島田さんっ!こらっ聴いてるの?!」


やってしまう訳だ。


「ミハルぅ~っ、今日は何回目なんや?」


うしろの座席から、マリアのため息が聞こえてくる始末。


その右横で、苦笑いを浮かべる件の男のが居る。


「にひやぁ~っ?!聴いてます聞いてますぅ」


全然聞いてない・・・

当然、教室に拳骨の落ちる音が響くのだった。





「じゃあ、マリアちゃんとローラちゃんとは。

 大の親友になれたんだね、おめでとう!」


初めて聞いたような顔で、ミハルが讃える。


「ありがとうミハルさん。マリアは親友になってくれるって言ってくれたんだ」


「あんなぁローラにミハル。ウチは端からそう言ってたんやで?」


いつもの通り。

お昼を3人で囲んでいた。


ミハルは二人の顔から溢れる笑みを感じて、我が事の様に嬉しかった。


「そっかぁ~っ、二人は信頼を紡ぐ仲になれたんだねぇ、いいなぁ!」


「そやでミハル。ウチもローラも友情と信頼で結ばれたんや!」


昨日、二人は確かに絆を持てた。

お互いを晒す事に因り、深い信頼を抱けるようになれた。


「結ばれたって・・・まぁイヤラシ」


にゅふふと意味有り気に笑うミハル。


「?なんや?なんか変な事言ったか、ウチが?」


怪訝な表情になったマリアが、ミハルに聞き返すと。


「いえいえ。こっちの話で・・・」


男の娘だと知っているのは、まだ内緒だから。

敢えてミハルは惚けることにした。


「それにしても、ローラちゃんは毎日サンドイッチなの?

 そんなのでお腹空かない?良かったらアタシの分けようか?」


話を誤魔化す為と、本当に気を配る意味で訊いたのだが。


ー だって・・・本当は育ちざかりの男の子でしょ?

  少食タイプなら納得も出来るけど、そうは観えないし。

  それに魔力を常時使ってるのなら尚の事だもんね?


「そうかなぁ?ボクにはちょうど良いくらいだけど?」


女の子を演じていると伯母女神から聞いているミハルが、


「へぇ~っ、アタシだったら気絶しちゃうかも。

 お腹減り過ぎて午後の授業に、体育があったら・・・もうバタンキュウだよ?!」


自分の魔法代償が食物だったから、思わず口走ってしまった。

何の気なしにミハルが口走った言葉に、ローラじゃなくてマリアが顔を向けて来る。


ー あ・・・いけないっ、マリアちゃんにも知らせてなかったんだ。

  昨日の二人が何を話していたのかを伯母ちゃんから教えて貰ったのを・・・


「あ、ほらっ!アタシって大食漢だから・・・って。なははっ(冷や汗)?!」


誤魔化そうとしてるのがみえみえ。


「・・・ミハル。後で話がある」


ジト目でマリアに観られて万事休す。


「・・・はい・・・(しょんぼり)」


二人に何があったのか分からないローラは、眼をパチクリして見ているだけだった。


「「相変わらず損な娘ねぇ・・・残念姪っ子ちゃん!」」


宝珠の中で、問題を造った張本人の伯母女神がため息を吐いた・・・ら。


ー 伯母ちゃんに言われたくないわ!


しょげたミハルが毒吐く。


・・・そうだとも言う。





ローラとクラブを抜け出したマリアが道場まで来ると。


「あ、陸上のエース。ミハル先輩なら舞われておられますよ?!」


剣舞クラブの下級生が教えてくれる。


「あんにゃろ。クラブにかこつけて逃げやがったな?」


後から話があると言っていたマリアから逃れるつもりだったのか。

それともクラブ活動をこなしてから話を聴くつもりだったのかは知らないが。


「しょうがあらへんなぁ。舞い終わるまで待ってるわ」


道場の入り口にどっかと座り、ミハルの舞を観ることにした。


「ボクも観ていていいかな?」


立ったままのローラが、マリアに訊くと。


「ええんちゃう?まぁ、どのくらい時間がかかるか分からへんから座ってぃや」


横を空けて、どうぞと手招きした。

促されたローラは、剣舞を練習するミハルの姿を物珍しそうに座り込んで観ることにした。


道場は、30畳ほどの広さの体育館別室に設えられている。

その中で、独りの剣士が舞い踊っていた。

剣を翳し、剣を払い。

そして体術と同化した、一瞬も止まらぬ作法を魅せる。


黒髪が躍り、紅いリボンが揺れる。

道着を纏った剣士が舞い、青味を帯びた瞳で虚空を撫で斬っていた。


そこにはいつもの惚けた少女の姿はなく、真の剣士を目指すミハルが舞っていた。


挿絵(By みてみん)


「凄い・・・まるで別人だ」


感嘆のため息を溢すローラの横顔を見て、マリアは改めて魔鋼少女ミハルの気持ちを思い出した。


「ミハルはなぁ、ああやって舞っている時は無心になれるって言うんやけど。

 本当は自分との勝負に打ち込んでいるんや。

 いつか必ず現れる、本当の自分との闘いに備えているんや」


「え?!どういうこと?本当の自分って?」


聞き咎めたローラが、マリアに振り向く。


「アイツ・・・ミハルには宿命ってもんがあるらしいんや。

 身体に宿る女神との・・・約束っていうんか、宿命さだめって言うんか。

 ウチにも詳しくは話してくれへんのやけど、重い戦いが待っているらしいんや」


返された言葉を聞いたローラの紅い瞳に怪しげな光が瞬いたのを、マリアは気が付かなかった。


「そう?ミハルさんが・・・ねぇ」


舌なめずりをするような声が、ローラから放たれる。

女神が宿ると聞いても、何も驚かないローラ。

紅い瞳の奥に潜む光とは?


キュッ


剣舞の終わりが畳の軋み音で告げられる。


下級生や見物者から軽やかな拍手が贈られて。


「あ、いやあのっ!今日はどうしても島田流剣舞を舞わなきゃいけなかったのっ!

 お願い信じてっ!ぷりぃ~ずぅ~ぅっ」


拍手の中、入り口に居る二人目掛けてミハルが飛んで来た。


「ホンマなんやな?ホンマに逃げようなんて思っちゃいなかったんやな?」


悪戯っぽい口調で、マリアが問うと。


「ホント!ホントなんだってば!」


毎週一日だけ、島田流師範代の舞を披露するのが条件だったから。

そうじゃないとキャプテンに指名されたから。

都立学園きっての剣舞家であるミハルは、上級生からも信頼されていた。

夏の大会が終わった後、前のキャプテンから指名された折にミハルが辞退する代わりの条件。


「だって!剣舞を披露しなきゃ、約束反故になっちゃうから!」


師範代が主将になるのは、流儀から観てもいけない事だと教わっていた。


必死に正統性を訴えるミハルに手を突き出して。


「ほんなら今からやったらええのやろ?」


「ぎくっ?!ぎくぎくっ!」


引き攣るミハルに、マリアが最後通牒を突き付ける。


「とっとと帰り支度してウチ等の前にくること!」


「ひぃぃ~んっ!マリアちゃん怖い!」


突き付けられた指の前で、ぶりっ子するミハル・・・


で?



道場から離れた校舎裏で。


「どこまで訊いたんや?女神様から何を教わった?」


ローラとマリアに問い詰められるミハルが居た。


「ど、どこまでって・・・ローラちゃんがマリアちゃんと仲良くなったって」


どぎまぎするミハルに、ジト目で何も言わないマリア。


「うっ?!嘘じゃないよぉ、ホントだもん!」


「それから?ローラが男の子だと?」


ジト目を更に細めて来るマリアに、ミハルは慄く。


「そ、そうそう!男の娘に化けて学校に来ているなんて聞いてないから!」


・・・誘導尋問に弱いな。


「ミィ~ハァ~ルゥ~っ!それをどうして知ってるんや?!」


「ぎゃぁ~っ?!ついバラしちゃった!」


「「アホなねぇ・・・まったく」」


宝珠の中で蒼毛玉オリジナルミハルが、自分の事を棚に上げてのたまった。


「そうか、ミハルさんはボクの正体を知ってるんだね?」


「ひいいぃっ!ごめんなざぁいいいぃっ!」


涙目で許しを乞う損な娘。

呆れたようにマリアが片を竦めると。


「知ってるんやったら、端からそう言やええのに。

 なんもウチはミハルにバレたってえとおもうとるんやで?

 いつかは知る筈やし、ローラさえ善いんやったらかまへんのや」


ローラに そうやろ? って、確かめる。


「うん、マリアの言った通り。

 ボクはミハルさんだったら内緒のままにしてくれると思ってるんだけど?」


「あ、ありがとうございますぅ~っ!」


両手を胸の前で併せたミハルが感謝を告げて来た。


「そやけど・・・な。

 それをウチ等に教えへんかったんは・・・オシオキが必要やな?!」


「びぃいいぃええええぇ~んっ!」


断末魔の涙を爆流させたミハルへ。


「ウチ、和風の御茶菓子食べたいわぁ」


「あ、それ良いね。ボクも食べたい」


・・・・


ニヤリ


マリアとローラの眼が、卑屈なミハルへ落される。


「しょんな・・・あんまりだよぉ・・・(がっくり)」


自分に非があるミハルには、二人の眼には勝てなかった。


「どうしよう・・・伯母ちゃん?助けてよぉ?」


思わず女神に助けを求めるが。


「「これも運命と割り切るのね、姪っ子ちゃん・・・哀れ」」


見放されたようだ・・・


「しょんなぁ~っ?!うええぇん」


二人の秘密を覗き見した報いか?

泣くミハルに、マリアとローラが笑い掛けている。


損な子よ・・・明日はどっちだ?!






「どないしたんやミハル?あんみつ旨いで?」


「そうだよ、くよくよしないでよ?ほらほら食べようよ?」


「しくしく・・・一か月分のお小遣いがぁ・・・とほほ」


とある和菓子本舗で、ミハルのすすり泣く声が聞こえたそうです。


マリア「んっま!」


ローラ「やっぱり都の和菓子は格別だよね!」


ミハル「・・・・(口からエクトプラズム)」


挿絵(By みてみん)



ニャンコダマ「「もう、季節も秋深し・・・ねぇ」」

  

  ずずっとお茶を啜る女神ミハル・・・・

ああ、損な子よ。

君に幸アレ!


でも、秋の日に外で和菓子を食べれるなんて!

羨ま、ケシカランぞ!


で、次回は??


次回 虚像の男の娘 第5話

明日はもしかして?お小遣いを使い果しちゃったので?窮余の策に訴えるのか??

みなさん、大岡越前って知ってます??

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