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魔鋼少女<マギメタガール>ミハル・Shining!  作者: さば・ノーブ
第2編 <魔鋼学園>
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魔鋼少女(?)と怪盗  第8話

3人娘がつるむ。


中学生の少女達には仲間意識が芽生えだしていた。

クラブ活動は、魔鋼科学部だけでは人数が足りなかったので。


「今日は自主練にしとくからなぁ!」


キャプテンを務めるマリアの掛け声で、陸上部員がそれぞれ思い思いに散って行った。


魔鋼化学部と普通科双方の生徒がクラブを形成していた。

勿論、生徒の任意でだったのだが。


「ほなら、今日は付き合ってあげるさかいに。

 ミハルも剣舞クラブを早引けしてくれたんやからな」


振り返って二人に答えるマリアへ。


「ありがとうマリアちゃん。つき合ってくれて」


頭を下げて、ミハルが喜んだ。


「当たり前やんか、損な子をほったらかしにしたらアカンやろ?

 ただでさえおっちょこちょいなんやから・・・」


「むぅ・・・酷い言われようだにゃ?!」


ぷんっと拗ねるミハルだったが、自分のそそかっしさを認めているようだ。


「損な子?!なんだよそれって?」


ハスキーな声でローラが訊ねてくると、すかさずマリアが言って聞かした。


「自分では悪気がないのに悪運を呼び込むってことなんや」


その通りだが・・・悲しい物があるな。


「それって、単に運が悪いってこと?」


あっけに取られたローラが訊き返す。


「いんやぁ、それ以上なんや。

 何もしないのに悪運の方からやって来るって・・・損過ぎるやろ?」


「・・・怖ろしいな・・・それは」


<仲間にならない方が良いかもね?!>


一瞬だけ、ローラの脳裏を過ぎった神の声。


「大丈夫だよっ!ちゃんと生きているもん!」


自慢気に指を立てたミハルに、ローラの冷たい視線が刺さる。


「なにか・・・ものすっごい不安を感じたんだけど?!」


ジト目で観て来るローラ。

二人の間に立つマリアが仲を取り持って、


「大丈夫やローラはん。

 こうみえてもミハルには女神様が付いていはるんやから!」


宝珠に宿る<理の女神>の存在を、それとはなしに告げた。


「女神様が?!ミハルさんに憑いてるの?」


ついてると憑いてるの言葉のずれが、気付かないミハルが。


「うん、付いてるんだなこれが・・・」


右手の宝珠に宿る伯母を思いながら応えると。


「そ、そうなんだ?!

 じゃあ、もしかしたら本当に出来るかもしれないんだね?」


ローラが勢いよくミハルの手を取った。




 ピクンッ


何かの気が、宝珠に流れた。


「「ふぅむ・・・そうか。そういうことね・・・」」


女神は咄嗟に全てを悟ったようだ・・・が。


「「これも試練って奴なのかな?姪っ子ちゃんには知らせずにおくか。

  今暫くの間は・・・私の心にしまっておこう」」


ミハルには秘密にしておこうと決めたのだった。




ローラの指は細くしなやか。

間違いなく女の子の手だと思える。


昨日の晩に観たローラが、此処に居るローラとは別人である証に見えるのだが。


「じゃあ、ゆっくり話をしようじゃないか、諸君!」


マリアが二人の肩に手を添えて、木陰に誘う。

連れ立って校庭端の芝生に輪になって座り込んだ3人。


昼食を摂っていた時に、打ち解けた心のまま。

ミハルとマリアは転入生楼羅に話しかけるのは・・・


「ローラちゃんはどうして都立に編入して来たの?

 御家族の都合?それとも他に何かあったの?」


先ず、転入理由をミハルが訊ねた。


「話し難い理由だとしても、ウチ等には教えて欲しいんや。

 折角友達になれたんやから、友達に内緒はせんといて欲しいんや」


じっとローラを見詰めて、マリアが頼んだ。


訊かれたローラは、最初戸惑ったように目を伏せていたが。


「他の生徒には話さないでくれるか?」


下を向いたまま、二人に念を押して来る。


「当たり前のこんこんちき!

 ローラちゃんが黙っていてというのなら、誰にも言わないよ」


ミハルが胸を叩いて約束する。


「ウチもや。約束するで!」


友達なら当然やとばかり、マリアも頷く。


「・・・そっか。約束してくれるんだな?」


この二人なら約束を守ってくれるだろうと感じたローラが、初めて心を開いた。


「この学園に来たのは、取り返す為。

 横須賀に居た時に出て行ったきり帰らない姉を、連れ帰ろうと思って。

 都に来ている筈の姉さんを、母の元へ連れ戻そうと思ってるんだ」


ローラはそう二人に話すと、少し陰のある表情になってしまう。


「ボクの家族は代々の神官で、母は巫女を務めているんだけど。

 どうした事か、姉さんは家を飛び出してしまったんだ。

 巫女になるのが嫌だった訳ではないと思うんだけど・・・

 ちょうど二月ほど前の夜、急に都に行くと言って出て行ってしまったんだ」


俯き加減にローラが教えて来る。

どうしてそうなったのかは分からないと言いながら。


「お姉さんを探し出して連れ戻す?警察に任せられないの?」


家出少女を見つけ出して連れ戻すのは、公僕の仕事ではないのかと。


「それは考えたさ。でも、警察の手では見つけることも出来ないんだよ。

 ボクにもあるけど、姉さんにもあるんだ。

 先祖から伝わった魔力ってモノが。

 一刻は消えていたんだけど、再び蘇ったみたいなんだ古の魔力が」


魔鋼科学部に編入してくる位だから、魔法力が備わっているのは判るが。


「そーいえば、ローラちゃんの魔法力って?

 専従魔法は何に属しているの?」


ミハルはそっとマリアにウインクする。

マモルが来た時に言っていたのを思い出したのだ。

ローラが魔鋼騎乗りに適しているかを調べていると。


ー そーぉや、ミハル!


小さく頷くマリアも、


「ローラの姉さんも同じ魔法属性なんか?」


それとなく追い打ちをかけてみる。


「そう。ボク達に授けられた魔力は同じなんだ。

 透視能力・・・魔法を持つ物質を見極めることが出来るんだよ」


透視能力・・・それは人なら観えないモノでも、魔力を介して見ることが出来るというモノ。


その内でもローラが観る事が出来るのは、魔法物質だという。


「そ、そうなんだー。凄いねぇ・・・」


顔をヒクつかせたミハルがマリアに視線を流す。


「あ、ああ。そりゃー何と言うかその。

 透視って言っても魔法が込められた物しか観えないんだろ?」


明らかに魔鋼騎乗りには向いていないと思えた。

戦闘には関係のない魔砲力とも言えたから。


「そうなんだけど。

 それを持っている人も、透けて見えるんだよ・・・恥ずかしいけど」


下を向いているローラが、ちらりとマリアを見上げて。


「マリアさんの胸元にある魔法石も見えるんだ。

 ちょうど谷間に埋まっているみたいに・・・ね」


「ニャンとっ?!マリアちゃんの・・・谷間ですってぇ?!」


マリアが退く程、ミハルの声はデカかった。


「馬鹿ッ!声が大きすぎるわミハル!!」



 ゴチンッ!


鉄拳がミハルの頭に落ちた。



・・・・ピヨ ピヨ ピヨ・・・・


挿絵(By みてみん)



目を廻したミハルは措いておき、

マリアが肌身離さず持っている魔法石の在処を言い当てられて。


「本当に観えるんやな。

 しかも・・・魔法石の存在と一緒に・・・その・・・持ち主の身体も」


顔を紅くして少女のローラに訊いた。


「そう。

 ボクの魔力は人間の魔法を観れるんだよ。

 単にデバイスだけじゃなくて、それを保有する者全てを・・・ね」


つまり。

ローラの魔力は、魔法石デバイスだけではなく魔法力を見極められるのか。

魔砲使いである証を機械を使わずとも観れるという。


「それでね、魔法のデバイスを感じ取ると、属性も判っちゃうんだよ。

 マリアさんはシューティングデバイスを持ってるね?

 魔法石の中から水晶銃を取り出せるんだよね?」


「ど、どうしてそれを?!ホンマモンなんかローラは?!」


驚いたマリアが、胸の真ん中に隠している蒼き魔法石に手を翳す。


「ん・・・そうだろ?違ったかな?」


「・・・アタリや」


驚愕するマリアが、目を廻しているミハルを観る。


「ミハルさんのデバイスは・・・」


ローラが次にミハルへと透視を始めた。


「ミハル・・・この子は・・・・」


紅い瞳が一段と鋭さを増して、妖し気な光を放った。

まるで闇に憑かれた瞳の様に・・・


友になった3人。

不思議な力を持つ者として、ミハルの前に来た娘には何かが隠されている?


その力は魔法の力を秘める物を透視できるというが?


次回 虚像の男の娘 第1話

君の本当の姿とは?え・・・そんな。マジですか?

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