表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔鋼少女<マギメタガール>ミハル・Shining!  作者: さば・ノーブ
第2編 <魔鋼学園>
75/219

魔鋼少女(?)と怪盗  第2話

転入生は頑なに喋ろうとはしなかった。

まるで貝のように・・・


その訳とは?!

輪の中心に、その子はいたのだが。


初日だからカタミの狭い想いをして、黙り込んでいる・・・訳でもなさそうに観える。

話すのが億劫なのか、元々無口なのか。


転入して来た娘は、気安く話しかけるクラスメートに、俯いたままぼそぼそと答えるだけだった。




見神みかみっちゅー子と、知り合いなんかミハルは?!」


輪の中に居る子を見詰めるミハルへマリアが訊いて来た。


「ううん、知り合いじゃないけど・・・観た事があるって・・・思うんだよ」


クラスメートに囲まれている蒼銀髪の少女。

伏し目がちな紅い瞳は、誰とも視線を交わそうとしていない。


転入して来た初日だからか。それとも何か訳が合って喋ろうとしていないのか。


「なんやわからへんけど。大人しいっていうか、無口な奴やな?」


癖っ毛が特徴的な見神を観ているマリアが、そっとミハルに呟いた。


「うん・・・そだね。あまり馴染もうとしてないよね」


自分達も、都立学園に転入して来たから。

転入初日を思い出してミハルは口籠る。


「アタシも・・・転入した時はどぎまぎしてたから。

 知らない子に興味本位でいろんなことを訊かれたから・・・」


マリアが転入して来る前、友達も知り合いもいないクラスに馴染めなかったのを思い出した。


「ウチは・・・ミハルが居てくれたから。

 皆とも直ぐに打ち解けられたんや。あの子はどう思ってるんやろな?

 ミハルは見神と会った事があるんやったら、声を掛けてやったらどないや?」


最初、マリアが聴いて来たのは自分の過去を重ねて訊いたのだと分った。

もし、少しでも知っているのなら喋るきっかけになるのではないかと。

心細く想っている娘に、打ち解けられるきっかけを与えられるのではないか・・・って。


「そ・・・だね!アタシ気になってたから、訊いてみようかな?」


優しいマリアに促されて、意を決したミハルが輪の中へ入ると。


「ちょっと良いかな?見神さんって、アタシに見覚えない?」


いきなり「この前の晩に会ってない?」とは、訊けない。


況してや、もしも本当に泥棒猫だったとしたら・・・大変な事になる。

でも、相手があの夜に出会った娘だったとしても、正直に答える筈もない。


「この前の晩、どこかで出会ってなかったかなぁ?」


だから、娘の態度や表情で推し量ろうと思った。


「・・・・いや、覚えてない」


聞き取るのがやっとなくらいの小声で、ミハルへ答えて来る。

女の子にしては、やや低く。年頃の少女の声にしては擦れて聞こえた。


表情を窺おうとしたミハルの眼には、答えが嘘ではないと思えた。


ー やっぱり・・・アタシの思い違いなのかな?


月に照らされていたとしても、はっきりと顔まで見れなかった。

泥棒娘は、身体にフィットした迷彩服を観ていた。

ボディーラインがはっきりと分かるレオタードを着ていた・・・筈だ。


ー 見神さんが服を脱げば・・・身体のラインで判断も出来るだろうけど。

  制服を着ている今は、判別のつけようがない・・・


後、残された手がかりは・・・


ー 泥棒さんの眼は、左が紅かった。

  右目は鳶色だったけど、左だけが赤かった・・・


暗闇でもはっきりと覚えられるくらいのインパクトがあった。

闇に消えて行く時にも、泥棒娘の瞳は輝いて観えていたから。


「あの目は、闇に染まっている訳じゃなかった。

 どこかに希望が秘められているようにも観えたんだ・・・」


ポツリと溢すミハルの前には、両目とも紅い瞳の見神が居る。

青味のかかった癖っ毛銀髪の少女、見神みかみ楼羅ろうらが。


「なに?!ミハルっち。見神さんと知り合いなんだ?」


輪に居た眼鏡っ子、田上たがみ偉子よりこが断定して来る。


「ちっ、違うんだよ。アタシの勝手な思い込みだったんだってば!」


慌てて否定するミハルに、


「知り合いの知り合いは、皆知り合いなんだよねぇー!」


話を聴いてるのか耳を貸さないのか。

眼鏡っ子ヨリコは、ミハルの言葉に便乗する。


「ミハルっちが知り合いなんだったら、私達も知り合いなんだもんねぇ!」


どんな屁理屈なんだ?!


「違うってば!見神さんも覚えが無いって言ってるんだから。

 アタシの勝手な思い込みだったの。

 そんな意地悪な口の利き方したら、見神さんも困っちゃうよ?」


宥めるつもりで、ヨリコに言い返したのだが。


「いいじゃない。

 ヨリコは楼羅ろうらさんと友達になろうって言ってるんだから!」


ヨリコに味方する畑中はたなか麻衣子まいこが、ミハルの言葉を遮った。


「お友達になるのなら、もう少し優しい言葉をかけてあげようよ?

 興味があるのは判るけど、訊かれたくない事だってあるかも知れないんだから」


自分もそうだったから。

島田の名を言った瞬間に、周りから訊かれ続けて嫌になったのを思い出してしまう。

世界を救った人と同じ呼び名だったから。


ー そうだ。アタシも同じ過ちを繰り返しちゃったんだ。

  全く関係のない人のことを疑って、見神さんに訊かなくても良い話をしちゃったんだ・・・


視線を合わそうとしない見神に、悪い事をしてしまったんだと気が付く。


「ごめんね、見神さん。アタシ、酷い事を訊いちゃったよね?

 どこかで会ったなんて・・・思い上がりにも程があるよね、ごめんなさい」


周りを囲むクラスメートが、ミハルの謝罪に驚いた。

どうしてそんなことで謝るのか、訳が解らずに。


「うん、そやな。ミハルの誤解やったみたいやし。

 謝ったんやから許してやって貰えへんやろーか?」


脇に居たマリアが見神に受け入れるように頼むのだが。


「ああ・・・気にしてない」


親しく答える訳でもなく、聞こえるかどうかぎりぎりの小声で返して来た。

表情を窺っていたマリアの眼が、見神の変化に気が付いたのはこの時だった。


小声で答えた見神の頬が、少しだけ緊張を解いたのが分ったのだ。

それは心の表れだったのか、自分の頼みを受け入れてくれた証かとも思えたが。


不意に見神が立ち上がると、皆から逃げ出すかのように廊下へと歩き出して。


「職員室に行くから・・・」


振り返りもせず、一言を残して歩いて行く。


「あっ?!見神さんっ?」


皆が驚き呼び止めるが、無視したように見神は出て行ってしまった。


「なに?あの。先生に告げ口する気なのかしら?!」


「それはないんじゃない?気まずくなって逃げ出したんだよ!」


ヨリコとマイコが口々に陰口を叩くのを、眉を顰めてミハルが窘めようとするのを。


「ミハル・・・」


首を振ってマリアが止めた。

どうして?!っと、口に出そうになったミハルの眼に、マリアが微笑んでいるのが映る。


見神みかみ楼羅ろうらっちゅー子はな、好感を持ったみたいやで?」


出て行った廊下へ顔を向けたマリアが教えてくれた。


「案外・・・素直な奴なんやろうな、話したらきっと打ち解け合えるやろ」


教えてくれたマリアも、微笑んでいるから。


「そっか。マリアには観えたんだね、見神さんの気持ちが」


ふぅっと、ため込んだ心配を吐き出す様に、ミハルも釣られて笑顔になった。





女の子の歩き方じゃない。

まるで颯爽と歩く少年のようにも観えてしまう。


短めの髪を靡かせ、紅い瞳で真っ直ぐ前を観て歩く。


「ボクにはあの子達が邪魔するとは思えない。

 魔鋼の技術を習得するのに、邪魔な存在だとは思えない!」


見神は職員室の前で、居住まいを正す。


「見神です、入っても宜しいでしょうか?」


魔鋼科学部教員室の前で、ハスキーな声を張り上げる少女に。


「見神君か。どうぞ入り給え」


男の声が迎え入れる。


「どうだった?ミハル達は君を女の子として迎え入れただろう?」


教員とは違う男性が開口一番に、訊ねて来た。


「あっ、はい。全然気が付かなかったみたいです。

 いつバレるかとビクビクしてたのですが・・・」


ドアを閉じた見神が、男性に答えると。


「そりゃーそうよ。どこから観たってローラは女の子ですもの」


男性の傍に居た、2学年担当教員大貫教諭が笑う。


「で?見神君。君はその姿のまま過ごすんだね?

 本当のことを喋ってラクになったらどうなんだい?」


ブラウンの髪を掻き揚げた、スーツ姿の男性が確かめるように訊いてくるのを。


「いいえ、今はまだ・・・

 完全にバレちゃったら、どうしようもないのですが。

 姉さんを取り戻すことが出来れば・・・その時は黙って転校しますから」


やや寂し気に見神が応える。


「ふうん、見神君はあの娘達にバレないと思っているのか?

 案外もうバレてしまっているかもしれないぞ?

 ああ見えても、ミハルは魔龍騎を撃破した魔鋼少女なんだからな。

 僕と姉さんの姪っ子なんだから・・・」


スーツ姿の男性・・・島田しまだ真盛マモルが少女姿の楼羅ろうらに笑い掛ける。


「知っていますよそれくらい。

 だから、お願いしたんですから。女神を宿す魔鋼少女の元へ来れるようにと。

 女神様にお願いしてでも、闇から姉さんを救い出したいんです!」


ハスキーな声が教員室に響く。


「はっはっはっ!

 マモル君も断れないタイプだものね。ミユキ副隊長譲り・・・懐かしいわ」


大貫女教諭が男性マモルに向けて微笑む。


「いや、それはどうも。

 母さんから大貫先生が務めておられると聞きましたので。

 今回の仕儀に相成った次第で。

 見神家の長女が闇に堕ちたと聞かされたので、この子の魔法力を無駄にしないようにと。

 それと・・・同じなんですよ。ローラ君と僕達姉弟は。

 姉弟が同じ力を身に就けているなんて・・・ね」


スーツ姿のマモルも、母と部隊を共にした事のある初老の魔法使いに答えた。


「そうね・・・あなた達姉弟には適わないでしょうけど。

 見神君達には、共に生きる道を開かせてあげたいわね」


少しだけ顔を引き締めた大貫女教諭が、ロウラに向くと。


「そでじゃあ、見神 楼羅君。

 あなたは女生徒 楼羅 として、私のクラスに入るのね?

 女神の力を貸して貰えるようになるまで・・・いいえ。

 あなたのお姉さんを救い出せるまで、クラスの中に溶け込みなさい」


「はい!大貫女教諭。宜しくお願いします」


頭を下げて頼み込む楼羅ローラ


「うん、これで善し。

 それじゃあ僕はこれで失礼しますよ。

 ローラ君、ミハルに惑わされちゃぁいけないよ?

 アイツは人一倍なつっこいから・・・損が移っちゃうから注意して?」


「  ?  」


マモルに言われても何の事だか分らないローラが、首をかしげる。


「そうよねぇ、ミハルっちは超絶損な娘だから・・・伯母さん譲りの」


「大貫教諭、フォローになってませんよ?」


二人の大人が笑い合う前で、ローラはますます首を捻るのだった・・・・




「「フェックショ!」」


蒼き魔法石の中で・・・


「「マモルめぇ、勝手な事を言いおって!」


ニャンコダマが鼻を啜る。


「「でも・・・面白くなりそうじゃない!

  いいわ、つき合ってあげようじゃないの。姉弟の想いを無碍には出来ないからっ!」」


理の女神。

今は碧ニャンコダマに身を堕としている、オリジナルが笑った。


「「闇に染まってはいないけど。

  欲には染まっちゃっているみたいね、あの野良猫娘・・・」」


ふふっと笑うニャンコダマは続けて、


「「しかも、マモル達の策謀をこのミハルが観抜けないとでも思ったのかしら。

  まだ姪っ子ちゃん達は気付いていないけど、私は誤魔化せないんだよ?

  ・・・まぁ、弟に免じて黙っておいてあげるわ。

  いずれ姪っ子達にもバレるでしょうけど・・・にひひひっ!」」


何がバレると言うのか?

何を隠してローラは来たのか。


女神ニャンコダマミハルは細く笑む。


「「これだから、人間って面白いんだよね?!

  いいわ、とことん付き合ってあげるから!」」


にやりと笑う女神・・・


「「はぁ~っ、それにしても。

  私はいつになったら元へもどれるんだろう?

  ニャンとかしてにゃ!リーン様ぁ・・・Orz」」


で。落ち込んだ・・・



急に涼しくなったと思ったら・・・秋ですか。


秋・・・と言えば?


読書もですが、食欲ですね。

ミハル達の世界では魔力を放つと代償が必要となるのですが・・・

ミハルは昔から代償として食べ物を欲するのですよ。

詳しくは

https://ncode.syosetu.com/n7611dq/ 「魔鋼騎戦記フェアリア」にて。


最近ツィッターにて応援して下さっている

「ねこた まこと」様

https://mypage.syosetu.com/983493/


とのやり取りにて。

食欲魔人というお言葉に接触しまして・・・ですね。

ミハルにちょっと欲しいと言ったのですが・・・断られました(ぐすん)


ミハル「ゆずれない・・・(お腹が)想い(←重い)」


挿絵(By みてみん)


秋といえば「焼き芋」ですよね?!(反論は許されない!)


秋は食欲魔人が多数発生するようです・・・


https://mypage.syosetu.com/983493/">「ねこたまこと」様の最新作は。


https://ncode.syosetu.com/n5310fj/「トライアングル×とらいあんぐる×⊿〔トライアングル]」


TS少女と猫タンが好みです・・・・すみません。


げふん・・・


でわっ!次回は?


女神は含み笑いを浮かべる。

姪っ子はまだ何も知らずに居たのだが?!


次回 魔鋼少女(?)と怪盗  第3話

ローラっていう子は何か秘めている気がするんだよね?もしかして・・・損な?!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ