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魔鋼少女<マギメタガール>ミハル・Shining!  作者: さば・ノーブ
第2編 <魔鋼学園>
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発進! 魔鋼騎(マギカメタル)輝騎(こうき) 第5話

月夜に舞うは猫。

月夜に闘うはひかりやみ・・・

月を背にした娘からの声が辺りに響き渡る。


ビルに侵入を図ろうとしていた影が振り仰いだ先に居た者は。



「なんや、またお前か?性懲りも無く・・・懲りんやっちゃなぁのらっ?」


決め台詞を言い放った娘に肩を竦めて、


「ウチの邪魔ばかりするところを見ると・・・暇なんやな・・・のら?」


<輝騎>零号機に跨るミハルへ向けて言い返した。


「むかっ!あなたの方が性懲りもないだけでしょ!

 この間から<九龍の珠>を狙って、何度も奪いに来てるじゃない!」


言い返されたミハルが受けて立つ。


「せや。シーフがお宝を狙って何が悪いんや?

 あの魔法石はウチが貰うって決めたんやしの~ら、邪魔せんといてんか赤リボン!」


影は言い返したミハルに応戦する。


「赤リボン?!ちょっと!他に云い様がないの?

 正義の味方とか、カッコいい魔法少女とか?!」


影に足割られてしまうミハル。


「お前なんか赤リボンで上等なんやのらっ!

 ウチの邪魔ばかりしよりよってからに!」


「あ~っ!また言った!」


・・・・なんだかどっちもどっちのような。


「兎に角や!お前には邪魔なんかさせへん!

 このビルに保管されてある魔法石を頂戴するんやからなーのらっ!」


「誰が!させるもんですか!」


影はミハルを無視して侵入を試みようとするが、黙って見逃す筈もない。


「魔鋼の技で、あなたを捕らえてみせるから!」


零号機のコックピットに踊り込んで、起動ボタンを押し込むミハルが。


「アタシの<輝騎>零号機からは逃げられないんだから!」


上部ハッチが閉じ、稼働システムが起動したのを確認した。


「またその阿保魔鋼騎で邪魔するんか!こっちは生身なんやで?

 反則やろーが、赤リボン!のらっのーら!」


影がくるっと身体を捻ると、零号機の上を飛び越した。

影は人では考えられない程の跳躍力をみせる。


「ちょっと!待ちなさいよ泥棒猫!盗みに入るんじゃなかったの?」


スピーカーから、怒ったミハルの声が飛び出す。


「あのなぁ、さっきも言ったやんか、ウチは生身なんやのらっ?

 こないなハンディーをどないせいっちゅーんやねん?!どあほ!」


「ど・・・弩阿呆ぅっ?!ひっきぃーっ!言わせておけば!」


影が飛び越し、逃げの一手に移る。

嘲るように悪口を言われたミハルが、奥の手を出す。


「もう赦さないんだからね!

 アタシの剣舞を見せてあげるんだからっ!斬鋼剣!!」


零号機の左腰部に装備されている、強硬度の鋼鉄剣が鞘から引き抜かれる。


「これでも喰らいなさーいっ!」


挿絵(By みてみん)


邪操機兵の装甲さえも切り裂ける剣を、影に向けて居合抜いた。



ーーー  ザンッ ---


目にも留まらぬ速さで、魔鋼の剣が揮われる。


「せやからっ反則やんかーのらっ?!」


影は剣波が襲い掛かる前に、闇の中へ潜り込んだ。

ミハルが放った斬波は影には直接襲い掛からずに、辺りの闇を斬り割いた。


「ふぅっ、危ない危ない。

 そないな破壊波動をもろに喰らったら、ウチでも一溜りはないわ。

 せやけどな、ウチには魔法の靴があるんやのら!

 なんぼ斬ろうとしたって簡単にはやられへんで?のろまの赤リボン!」


影は闇から顔だけを覗かせて、零号機のミハルにほざいた。


闇から覗かせた影は、紅い瞳と金色の瞳で嘲り嗤う。

月の光に顕わになった姿を魅せて。


蒼銀髪に色違いの瞳。

肩下まで伸ばした髪は闇の中でも靡いているのが判る程、美しく輝いて観える。


月に照らされた姿。

迷彩のスーツは、身体のラインを崩すことなく露わに魅せる。


挿絵(By みてみん)


「今日の処はこれで引き上げるけどな。

 必ずお宝は頂戴にあがるで?!そん時は吠え面かかせてやんよ、のらっ!」


ミハルは自分より年上のしなやかな肢体を観て、静かに微笑んでいた。


「ほなら・・・な、のらっ!」


すっと、のらのら言っていたシーフが闇の中へと消えた。


「そうだね野良猫さん。

 人に迷惑かけちゃ駄目だよ?泥棒なんて辞めなきゃ駄目なんだよ?」


微笑むミハルの前に映るモニターには、標的照準点からワザとずらしたマークが残っていた。


「あの人。<九龍の珠>なんて盗み出して、何に使う気なんだろう?」


影が狙った魔法石<九龍の珠>。

闇の化身と化した龍が宿っていた珠。

とある海辺で、ミハル達が闘いの末で手に出来た魔法の石。

強力な魔力を引き出せるとされた、古から伝わる珠。


今は国立保管庫に納められ、誰の眼にも触れられない処に納められたという。


「まさか、また機械兵に宿らせるつもりなんかじゃないよね?

 泥棒猫さんが闇の化身を使って、世界を狙うなんて・・・ある訳ないよね?」


側面モニターに映るビルを横目で見て考え込んでしまうミハル。


「いつになったら・・・本当の平和が来てくれるんだろう?」


右手の宝珠へ向けて、ミハルが溢した・・・時。


「「こぉらぁ!ミハルぅ!ボケっとしてたら時間切れになるでしょうがぁ!」」


モニターの右端に映った人が喚き出した。

栗毛の長い髪を揺らして怒鳴る女性が、


「「さっさと帰還しなさい!じゃないとまた立ち往生する事になるわよミハル!」」


「ひゃぁいっ!ルマお母さんっ?!」


怒鳴られたミハルが、モニターに映った母に答える。


「「お母さんじゃありませんっ!<輝騎>零号機に載ってる時は司令ってお呼び!」」


「ひぃぃ~んっ!ごめんなさいぃっ!!」


慌てて操縦システムを稼働させたミハルが、目を廻したかのように帰還の途に就く。


「「それから言っておきますけど。

  無駄に剣舞を発動させた始末書を、帰ったら書く事・・・いいわね?!」」


「えええええぇっ?!損なぁ?」


自動操縦システムに帰還を任せたミハルが、モニターに向かって揉み手を捧げて涙する・・・


「「黙らっしゃい!」」


問答無用の一声が、ルマ司令から返って来た。


「シクシク・・・」


ずっどーんと、落ち込むミハルであった・・・




蒼き魔法石の中で、女神が闇を睨み考えるのは。


現れ出て来る邪操機兵に。

現れ出た影のシーフにも。


それが意味するのは、一体何なのかと。


<答えは・・・間も無く奴らの方から教えてくれるでしょうね。

 もし、魔龍の石を手にしたら。また蘇らせようとするに決まっているわ>


理の女神として、断じて許すべきではない。


<闇は必ずやってくる。魔龍の力を欲して・・・襲ってくる>


闇は力を得ようと試みている。

人を操り、人を貶めて。

自らは何もせず、操る者の魂を貶めて。


<私の力だけでは防ぎきれなくなったかも。

 ねぇ、ルシちゃん。いつになったら目覚めてくれるの?>


宿る娘のうなじに描かれ続ける、聖なる者の紋章あかし


<千年の女神として人を観て来るように、サタンだった機械は願ったのよ。

 必ず邪なる者が現れるのを見越したケラウノスが、私に約束を交わさせたの。

 宿命を受け入れなければ、人類は滅ぶだろうと告げたから・・・>


女神ミハルは、寂し気に話す。


<あと・・・後どれくらい我慢すればいいのかな?

 いつになればリーンの元へ行く事ができるんだろう?>


女神は宿る魔法石の中で涙を零す。

だが、それが何時の為るのかは女神でも分からなかった。


ケラウノスとの誓いは、未だに果たせていないのだから・・・

登場しましたね野良が。

いいや、ノーラですが・・・何か?


怪しい盗賊は、ミハル達とどう係わってくるのでしょう?

それは・・・新たな物語を産もうとしていたのでした。


次回 魔鋼少女(?)と怪盗  第1話

やって来たのは?!蒼銀髪、紅瞳の・・・ハスキーボイスっ子でした?!

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