発進! 魔鋼騎(マギカメタル)輝騎(こうき) 第2話
中学生ってことは?
青春だよねっ?!ねぇ?
(学園モノって始めて書くのです・・・ 作者・沈没)
秋の日差しが心地よい・・・そんな季節になった。
都立学園に含まれる特待生学舎。
今は中等部と小学部に増設され、魔法を持つ少年達が集う学部。
<<都立学園 魔鋼科学部>>
新たに造られた学部の為、学園は敷地を倍増して増員された学生達の教育を始める事になった。
・・・4年前の、とある事件を契機にして。
学部が開校されて、早くも4年が過ぎていた。
第1期生は中等部から卒業し、殆どが高等部へと進んで行った。
栄えある1期生の中には、コハル(ミハル)達とも縁が深いシキの姿もあった。
彼は密かに特殊訓練を受け、国防軍傘下のとある部隊に籍をおくことになった。
その事は、まだコハル達には知らされてはいなかったのだが・・・
魔鋼科学中等部の生徒達がグラウンドに出てクラブ活動を始めていた。
「遅いぞ!そんなことじゃー秋の大会で都立代表には選ばれへんでぇ!」
紅い癖っ毛が揺れている。
後続する少女達を突き放し、余裕の笑みを溢すマリアキャプテンに。
「キャプテンが早過ぎるんですよ!」
下級生達が挙って息を上げて文句を返して来る。
「なに言うとんのや?!ウチなんか選抜選手の中じゃー遅い方やで?」
とか言うマリアは、後続する少女達を残してグラウンド周回を続ける。
「新キャプテンになって、益々マリア先輩は張り切ってるよね」
「そうそう、3年生が退部したから。これからはマリアキャプテンの指導が始るんだよね」
ぜぇぜぇ言いながらグランド周回を続ける部員達。
でも誰もがマリアの事を悪くは言わない。
部を引っ張って来たのがマリアだと分っているから。
「それにしても、マリアキャプテンって国籍は日の本だけどさ。
どう見たって北欧人なんだよね、私達より体格も良いし・・・なにより大人だよね?」
背の低い1年生が、半ば憧れるように背中を見詰めて言った。
「そうそう!
あたしもそう思ってるんだ。マリアキャプテンに憧れるから陸上部に入部したんだもん」
「走るのは上級生より早く、それにあの美貌。うーん、羨ましいなぁ!」
紅い髪を靡かせて颯爽と走る姿を目で追い、下級生達は羨望の眼差しを送っていた。
「はぁ はぁ・・・」
グランドの隅にある芝生の上に寝っ転がったマリアが、夕焼け空を見上げて一息ついている傍に。
「おつかれー、マリアちゃん」
黒髪を紅いリボンでサイドポニーに結った子が見下ろして来た。
「んん?なんや美晴か。
そっちのクラブは終わったんか?」
黒目の中に蒼さが観える瞳の少女に、
「ウチも今日はこれでお終いやから。一緒に帰らへんか?」
一緒に帰ろうと誘ってみた。
「えへへ、ホントはね。アタシがそう言おうと思ってたんだ」
ちょっと驚いた顔を浮かべたが、直ぐに微笑んで手を指し出して来た。
美晴の手を掴んで起き上がったマリアも笑い返して。
「なんや、ミハルもかいな。うん?!待てよ・・・今日宿題あったよなぁ?」
「ぎくっ?!な、なんのことかなぁ?」
起き上がったマリアはおでこ一つ分背の低いミハルへ向けて。
「そうやと思うたわ。ミハル・・・数学苦手やもんなぁ」
「ギクッぎくっ?!にゃ、にゃにを言う~っ?!」
あっさり認めた美晴にため息を吐いたマリアが。
「しょうがない娘やなぁ、ミハルは。
コハルって呼ばれていた頃から進歩がないってこっちゃで?!」
ツンとミハルのおでこをコついて、ニヤリと笑い掛けた。
「うう~っ、またマリアちゃんがお姉さんぶった!」
ぷぅっと頬を膨らませたミハルに、苦笑いを浮かべたマリアが。
「まぁ、それはそうやろ?学業を疎かにしてたら誰かと同じになるし。
背だって<コハルちゃん>よりは大きゅうなれたし・・・ほら」
しゃんと背伸びして、ミハルより背が高くなっているのを誇示してみせたら。
「マリアちゃんってズルイ。こんなに大きくなれるなんて・・・反則っ!」
ずいっとミハルが見上げて手の平を着ける。マリアのランニングに盛り上がっている処へ。
「・・・コハル!アンタなぁ、何べん言ったら触るの辞めるんや?!」
ボクシッ
マリアの拳骨が、見事にヒットした。
夕焼けが校舎を照らしている。
幼馴染の二人の影が校庭に、秋の気配を伸ばしていた。
「ありがとー!マリアちゃんっ、大好きだよぉ!」
「ホンマに・・・宿題くらい独力でせんと・・・はぁ」
んんーっと背伸びするミハルに対して、警告するマリア。
「しまいに頼るんが癖になっちまうで?
他人に頼り過ぎると、その内痛い目に遭っちまわへんか心配やわ」
ため息を吐きながら、幼馴染に忠告する。
「あははっ、頼りにしてるのはマリアちゃんだけだよ。
他の人になんて頼む気なんてないから・・・ね」
ニコッと笑い掛けられたマリアは悪びれない顔に、なにも言えなくなってしまう。
「はぁ・・・これが神を宿した娘の言葉だとは・・・」
またまた大きなため息を吐くマリア。
「それとこれとは話が別だから。
マリアちゃんがお姉ちゃん役なのは決定事項なんだからね。
だって・・・どうみてもマリアちゃんの方が大人に観えるモン」
「それこそ!勝手にミハルが思ってる事やろぅ?
ウチと同い年なんやから、お姉ちゃんやあらへんのやで?!」
ミハルがジト目で観て来るのを、仰け反って反発したが。
「うにゅぅ・・・マリアちゃんってさ。
どうやってそんなに大きくなれたの?それ・・・」
「・・・は?」
制服の胸元を凝視するミハルに、思いっきり退いた。
「だってさ、同い年なのに・・・同じフェアリア産まれなのに。
この差は一体なんなのよ・・・神の陰謀に違いないよ!」
「・・・ミハル。おちつけ」
ポンとミハルの肩に手を置く。
「アタシだってお母さん譲りの白系なんだよ?
どうしてマリアちゃんだけ大きいの?これって反則じゃない?!」
・・・・
・・・・・・・
「あのなぁミハル?!そんなこと言ってもしょうがあらへんやろ?
ウチだって好きで大きゅうなったんやあらへんのやで?!
それに、陸上やってるウチには、邪魔なくらいなんやから!」
言い返したマリアに、ますますミハルのジト目がきつくなり。
「ほほぅ?それじゃーなんですか?
剣技部で道着を着用するアタシには、お似合いだと仰られるんですかマリアちゃんは?」
「そんなん関係ないやんか?!
第一ウチ等はまだ中学2年生なんやで?
ミハルだってこれから大きくなるんやし・・・」
「その中2で、こんなに大きくなれたのは自慢だと?」
ぜはぜは言いながら、二人が不毛な問答をしていたら。
「あらあら。最近の中学生は嫌ねぇ」
「ホント、ほんと」
街行く小母さま方が、白い目で観て来るのにやっと気が付いた。
「ミハル・・・やめよう」
「そ、そだね(大汗)」
慌てた二人が何食わぬ顔になって歩き始める。
「でもマリアちゃんって、本当にフェアリア人そのものだよね。
あたしンちのルマお母さんもそうだったみたいだけど、発育が早いのが特徴だって言ってた」
「そうか?人それぞれだろ?」
覗き込んだミハルが、マリアの瞳が陰ったのに気付く。
「あ・・・ごめんマリアちゃん。いらない事言って・・・」
マリアが日の本に今でも居続ける訳に辿り着いて謝った。
「あ?いいんやミハル。
ウチは信じとるさかい、ミハルに宿ってる女神様の言葉を」
首を振って応えたマリアが微笑んだ。
「ごめん。マリアちゃんのお父さん・・・まだ見つからないんだよね。
ミリアママだって・・・フェアリアに帰っていないんだもんね」
寂し気に映った横顔に、ミハルは謝るしかなかった。
「気にせぇへんって言うてるやん。
それにな、ウチは誰が何と言おうとも、女神様の言葉を信じとるんや。
おとうはんは死んじゃーおらんって・・・言わはったんやから!」
「うん・・・そうだったよね」
逆にマリアに励まされる形になったミハルだった。
「そやから・・・ウチは頑張るんや。
おとうはんが帰って来た時に、胸を張って逢える為に」
「そっか・・・そうだったね」
夕日に照らされたマリアの顔を観て、微笑みかけるミハル。
「やろ?せやから、ミハルにも頑張って貰わなきゃーあかんのや」
「はい?!どうしてアタシもなの?」
キョトンとマリアに首をかしげると。
「ウチの大親友が、損な阿保な娘だなんて・・・バレたらヤバイやろ?」
ニヤッと笑って、冗談を言って来た。
「がぁああ~んっ?!アタシは巨大損かぁ?!」
ボケとツッコミが交わされた処で。
二人は込み上げる笑いを押さえきれずに噴き出した。
笑い合える間柄なのだと。
隠し事なんて何一つない友達だからと。
夕日が秋空を染め、睦逢う影を長く伸ばしていた。
ホンワカなミハル達?!
どこに敵が潜んでいるのか?
あ・・・この蒼き魔法石の中だったか?!
ミハル「ニャンコダマだからって・・・扱いが酷いんじゃないっ?!」
・・・そこはそれ。ニャンコダマ如きだから・・・にひ!
次回 発進! 魔鋼騎輝騎 第3話
餡子って・・・美味しいよね。ねっ?!BY・ミハル




