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魔鋼少女<マギメタガール>ミハル・Shining!  作者: さば・ノーブ
第1編<輝け!魔鋼の少女>
62/219

新たなる魔鋼 輝騎<こうき> Act8

損な女神はいつの時代も・・・


で?


コハルは<光と闇を抱く者>として、異能を放つ!

邪操機兵目掛けて撃った処までは良かったのだが。


「にゃぁ?!にゃんで停まっちゃうのよぉっ、こんな大事な処でぇっ?!」


思わず、にゃ語が出る。

泡を喰った女神ミハルが魔法の力でなんとかしようとしたのだが。


「駄目ぇっ?!動かにゃいぃっ?!」


姪っ子の身体を使い、ここまで来たというのに。

最後まで電源が保てなかった、落下する輝騎で。


「ひゃああっ?!落っこちるぅ地面に叩きつけられちゃう!」


女神ともあろう者が。

泣き声を上げて誰かに助けを求めた・・・が。


「脱出!そうだ脱出すれば・・・って、落ちるのは同じかぁ!」


慌てた者が負けって、いつも女神自身が言ってたのに。


「はっ?!待てよ。よく考えたこの機体の装甲って落ちるくらいで壊れないかも。

 それなら中に居た方が安心よね・・・って。落ち着いてる場合じゃない!」


錯乱する女神ミハル。自分は魂だけだから痛くも痒くもないが。


「マモルの娘に疵を着けたら・・・死んでも死にきれないわ!

 ・・・って、生きてないけど。ど、どうすれば善いのよぉ?!」


コハルの身体に宿る女神ミハルが騒ぎまくる。

で・・・助けを求めるのは。


「ル、ルシちゃんっ!起きてよぉ。あなたならこんな時どうするの?!」


さっき逢う事が叶った神たる者に、助けを求めた。


「そ、そうだ!現実世界に出れるとルシちゃんが言ってたんだ!

 こんな時こそ・・・毛玉かぁ・・・嫌だなぁ・・・でもしょうがないし・・・」


自分で言って、自分で落ち込んで。

間も無く地面に叩きつけられるだろう瞬間を思い。


「もうこうなったら・・・やるしかない!」


女神が決断を下した、その僅かに後で。



((  グワッシャーン ))



輝騎が地面にめり込んだ。





___________





地面にめり込んだ機体の頂部にある緊急脱出用のキューポラ。

ハッチの口径は人がやっと抜けられるくらいに細狭い。


「コハル?!無事なの?!」


「コハル?ミハル姉さん?」


二人がハッチを開き中へ呼びかけた。


「うにゅぅ~っ、ルマおかあさん。マモルくぅ~んっ」


コハルの声が無事なのを教える。


「コハルっ?!」


ルマが喜色を浮かべて内部を見下ろしたら。


「えっ?!」


コハルが何か得体の知れないモノに載りかかっているのが観えた・・・


「なに?!それ?」


初めはエアバックか何かかと思ったのだが。

ルマが覗き込んだ一瞬後には蒼い何かは消えてしまっていた。


「あれ?!私・・・なにかおかしなものでも食べたかしら?」


眼を瞬いてもう一度娘を観たが何も残ってはいなかった・・・


「きゃんっ?!痛ぁ~いっ」


蒼い何かが消えた内部からコハルの悲鳴が返って来る。


「だ、大丈夫なのコハル?!」


コハルがコックピットでひっくり返っているのを、ルマの横から手を指し伸ばして救い出すのはマモルだった。


「コハルかい?それとも女神様?」


まだ魔法衣姿のコハルを掴みだしたマモルが訊くと。


「アタシ。コハルだよ?!」


「そっか・・・じゃあもう安心だな」


マモルがため息を吐くと、コハルを抱きかかえた。

女神が消えたのなら、もう敵は存在していないのだと思えたから。


コハルを抱いたマモルが、魔法衣のリボンの陰に見え隠れするネックレスを観ると。


<お疲れ様、ミハル姉。ゆっくり休んで>


約束通り、娘に傷一つ着けずに帰した姉に感謝した。


「マモル君・・・アタシに何か言いたいの?」


抱き上げられ、見詰められ続けるコハルが訊いて来る。


「いや、何も。コハルは戦闘中の事を覚えているかなぁってね」


女神に宿られるって事が、どんな事なのかが判らずに口を吐いて出たのだが。


「うん!覚えてるよ。ミハル叔伯母さんがどう闘ったのか、とか・・・」


「?・・・とか?」


返された言葉に引っ掛かる部分が。

マモルが訊き直したら、コハルはちょっとだけ口籠ると。


「うん、あのね。女神様でも慌てるんだなぁって。

 それでね、アタシを無事に護り抜く為に、とんでもない事をしてくれたんだよ?」


ーーー ピク ---


ネックレスが震えた。


「落ちて地面にぶつかる瞬間に・・・」


抱きかかえられたまま、コハルが女神が何をしたかを教える瞬間。


「だぁ!言わなくて良いのよ損な事は!」


「・・・・・・・ミハル姉。何をしたんだよ?」


女神の声が聞こえた事より、コハルに何をしたのかを問うたのだが。


「だって私も一応女神だからさ。

 約束は守らなきゃって思った次第で・・・って。

 あの・・・マモル、驚かないの?」


ネックレスからの声にも、マモルが普段通りに喋っているのに気が付き。


「あの・・・マモル?ミハルですけど?」


「さっきからそう言ってたじゃないか?驚く必要なんてないよ、もう」


「そうそう!声だけならびっくりする必要ないわよね?!」


マモルとルマが今更・・・と言うが。


「感動ってもんが・・・無いわねぇ。ぶつぶつ・・・」


女神ミハルが独り愚痴る。


「でね。伯母さんがアタシを救った方法というのが!」


蚊帳の外だったコハルが今一度言おうとしたら。


(( ベチ ))


「きゃぁ?!」


ネックレスから蒼い何かが現れてコハルを叩いた・・・ように観えた。


「へ?!今の・・・何?」


叩かれた本人であるコハルより、観ていたルマが驚いた。


「観なかった・・・そう。あなた達は何も観なかった。

 そして姪っ子ちゃん、あなたは忘れるの・・・これは女神のいいつけよ!」


ネックレスがぶるぶる震えて3人に命令して来る。


「そ、そう?ボクには何だかとても懐かしいような気分がしたんだけど?」


「うんうん、何だか知らないけど。どこかで逢ったような気が・・・」


マモルもルマも、ミハルに従おうとしていなかった・・・ら。


「「「 忘れなさぁ~いっ! 」」」


女神が怒鳴った。





「さて・・・と。それじゃあ・・・やりますね?」


邪操機兵の残骸に向けて審判を下した女神ミハルにより。


「うん、ここからは<光と闇を抱く者>にしか出来ない事だから」


ネックレスの声に導かれて、コハルが魔法衣姿で機械兵に近寄る。


「シャイニング・ジャッジメント!」


呪文を唱えたコハルの左目が金色に代わる。

聖なる導きと冥府魔導を司る巫女へと。


「邪なる者よ、我が宿りし巫女の前に出でよ。

 この娘の力で送られたいのは何処なりか?」


理の女神が邪操機兵に告げた。


「アタシの手で送られたいのは?神の御許?地獄?」


コハルの手に紅い光が灯り始める。

だが。邪操機兵に封じられた魂は応えない。


「そのまま機械と共に滅びようとしても無駄。

 魂の行き場を示さねば、あなたは永遠に彷徨うだけになるのよ?

 帰る場所も見つからず、再び産まれ出ることも叶わずに・・・」


女神が真実を教える。

魂の行き先が決まらなければ、無になる事も出来ずに彷徨うと。


「宿る事も許されない、ただ彷徨うだけがどれ程の苦痛か。

 あなたには判り様も無いでしょうけどね」


それは女神自身が知っている真実。

1000年もの時を越えて来たミハルだから言える言葉。


「私は欲する時に宿れたから良いけど。

 それも叶わないのは恐怖を越えた苦痛でもあるのよ?

 それでもあなたはそうなりたいと思うのかしらね。死をも超える苦痛なのよ?」


コンコンと説くミハル。

邪なる者に、改心させたくて。

それが1000年間続けられてきた女神の偽らざる思いだったから。


「うおおおぉっ、俺は何て馬鹿だったのか!」


漸く邪操機兵に宿らされた魂が答えた。


「反省は地獄でする?それとも神に御縋りする?」


挿絵(By みてみん)


金色の瞳で邪なる魂へ問うコハルへ。


「姪っ子ちゃん・・・いいかしら?」


ネックレスから女神が審判を下した。

コハルは一瞬だけ口をへの字に曲げたが、


「うん・・・そうなのなら。本当にそうだとしたら・・・」


コハルが右手に出していた紅い光を邪操機兵に向ける。

紅い光はやがて闇へと導く炎と化す。

紅く燃え上がった炎に導かれるように、地獄への門が開かれた。


「人はいつの時代でも欲を抱く。人は死しても尚、闇を捨てきれない」


女神ミハルの悲し気な呟きがコハルの耳を打つ。


「ぐひひひっ!俺は馬鹿だった。こんな小娘にやられるとはなぁ!」


オズベルトの魂は欲望を捨てられず、己が罪を認めようとはしなかった。

地獄への門が開かれて堕ちる者を求める手が無数に伸び来る。


「地獄も闇なら、お前と一緒に行くだけだ!

 闇の王が俺を救い、お前を<無>にしてくれよう!」


「愚か者、地獄は闇なんかではない。

 冥界は亡者が再生を果せる場所ではないのよ。

 永遠に苦しみ悶え、己が罪を償う場所・・・それが地獄」


女神の声と同時にコハルが炎を放った。


「な・・・んだと?!」


驚愕するオズベルトの魂を紅い炎が取り巻き、地獄の門へと導く。

無数に伸びた手が炎ごとオズベルトを掴み、門の中へと引き摺り込んだ。


「ぎゃああああああぁぅ」


断末魔の悲鳴がオズベルトの最期を表す。


(( ガラガラガシャッ ))


宿る者を喪った邪操機兵が崩れると、闇の中へ静かに戻って行った。


「姪っ子ちゃん、残りの人達はどうかしらね?」


オズベルトに強制的に邪操機兵にされた黒服達を想い、女神が地獄へ送り込まずに済みそうだと言ったのだが。


「悲しい・・・悲し過ぎるよ。どうして心まで堕ちてしまうの?」


コハルはたった一度だけでも地獄送りにした魂を想っていた。


「そう。そう思うのが人たる心の顕れ。

 あなたはこれからずっと背負わなければならない。

 罪の重さと人の業を知ったのなら、立ち向かわねばいけないのよ」


女神ミハルが諭す。

姪っ子である魔砲少女へ。


「うん。アタシ・・・想うの。

 人は強くなれれば、闇の中から抜け出せると・・・想うの」


コハルの言葉にミハルも思う。


<そう・・・私みたいになっては駄目よ、美晴ミハルちゃんは>


運命に翻弄され続け、未だに約束さえも果たしていないから・・・


姪っ子の言葉に、女神は願うのだった。


「私も。強くならなくっちゃ・・・

 そうだよねリーン・・・そうだよねルシファー」



新たな魔砲少女の時代の幕が開かれた。


女神の力を必要としない、強き魔砲少女を世界は求めていた。

闇と闘う為に。

新たなる敵に打ち勝つ為にも。


どうやら戦いも無事終ったようですが。


なにやらルマが垣間見たようですが?

次回から第1章ラスト話に突入。

と、言う事は?!アレですね、アレになるのですね?!


次回 約束と希望 Act1

女神は新たなる時代を教える、新たなる備えを急ぐべきだと知らしめる


ミハル「・・・まさか?私ともあろう者が?!損なっ?」

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