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魔鋼少女<マギメタガール>ミハル・Shining!  作者: さば・ノーブ
第1編<輝け!魔鋼の少女>
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新たなる魔鋼 輝騎<こうき> Act2

そういえばミハルが女神じゃなかったらどうなっていたろう?


この絵は本編とは関係ございません、単なるイメージです!

挿絵(By みてみん)


強大な能力ちからを秘めているのか?

闇を纏った邪操機兵の親玉とも云うべき、オズベルトだった者の姿。


黒服が替えられた邪操機兵よりも、格段に大きく禍々しく見える。


厚い装甲を窺わせる胸部。

強靭なる腕廻りは4本、並大抵では倒れそうにも見えない脚部も然り。


辺りを睥睨する頭部には、赤黒い光学レンズが妖しく光っている。

得物を逃がさないように・・・



「こいつは私達の出る幕じゃなさそうですね、ミハル隊長のお母さま」


聖剣とはいえど、斬れる物ではないと分かる。


「ええ、そうみたいですねチアキさん。

 ここは闇の機械を倒せるモノに任せるより他はなさそうね」


神官巫女たるミユキにも、鋼の機兵には歯が立たないと思えた。


「こちらにも魔鋼騎があればなぁ、戦車でも何で善いから」


自分が乗っていた魔鋼騎と呼ばれた特殊戦車を思い出して、チアキが残念がるが。


「そうは言ってもね、昔の魔鋼機械では作動しないから。

 戦車へ新たに載せても、この機械兵には太刀打ち出来ないかもしれないわよ?」


ミユキ自体も、昔は魔鋼騎乗りだったから。

戦車同士の闘いなら自信があったのだが、今目の前に居る邪操機兵にはどれ程の効果が見込めるのか分からなかった。


確かに高火力の砲を装備する魔鋼騎ならば、命中させられれば撃破も可能だろう。


しかし、人型を採った新たな機械兵に、直撃を与えられるのかどうか。

並みの戦車砲で、細かい機動を執れる邪操機兵に対してどれだけ有効なのか。

闘ってみなければ分からないと思った。



「兎に角、ここは一旦退きましょう。

 小型の邪操機兵になら、ダメージを与えられるのが分かったから」


ミユキの提案にチアキも同意し、


「はい。マモルさん達の安全を確保する方が優先ですからね」


脱出したラミの後を追う事にした。





顕れた邪操機兵を倒した輝騎が追いかけて来る。


マモルとルマに担がれたミリア、それにコハルとミリア。

5人の脱出を手助けした輝騎が、追いつくと。


「隊長!すみませんっ、新たな敵に後ろを盗られました!」


行動時間を考慮していなかったラミの声が外部スピーカーから聞こえる。

上部キューポラハッチを手動で開けて、顔を覗かせたラミ候補生が半べそを掻いて謝る。


「マモル隊長、零号機活動限界です。只今停止してしまいました!」


ハッチもオープン出来なかったラミが、頂部キューポラから脱出して謝った。


「いいや、君は良く任務を果たしてくれた。礼を言わなきゃいけないのはボクの方だよ」


パイロットスーツを着たラミがマモルの元へ来て頭を下げたのだが、


「そうよ、ラミちゃん。あなたは良く闘った。それで十分なのよ」


ルマもラミの健闘を讃え、褒めるのだが。


「でも・・・悔しいです。もう少し時間があれば・・・

 今少し動けたのなら・・・勝てたのに・・・」


停まってしまった輝騎を見上げて、ラミが唇を噛んで悔しがった。


「ラミ君、それはしょうがないんだよ。

 君も僕達にも、相手がどんな物かが判っていなかったのだから。

 怪我も無く生還出来ただけでいいじゃないか。今日の処は」


ラミもマモルも、ルマでさえ。

悪魔の機械兵がどんな姿で、どれ程の性能を持つのかが判っていなかったから。

こうして皆が無事に脱出出来た事に満足するべきだと考えたのだった。


フェアリア大使館の敷地から出て来た6人を追って、時間稼ぎに向かった二人の剣薙が走り寄って来る。


「コハルちゃん、マモル!ルマちゃん!みんな!無事?!」


神官巫女姿のミユキが訊いて来る。


「ルマ少佐!奴等が追いかけて来ます!急いで逃げてください」


チアキも追手が迫ると、警告して来る。


「そうなのよみんな。一刻も早くここから離れないと!」


ミユキが促し、後ろを振り返る。


庭に植えられてあった樹木が次々と折れ、塀に罅が入る。


「来たわよ!私とチアキさんが時間を稼ぐから。コハルちゃんを護って逃げて」


ミユキが出て来る邪操機兵に立ちはだかろうとする。


「いいや、母さんも一緒に逃げるんだ!」


マモルが承知しない。

ミリアを担いで逃げられるかは分からないが、皆で逃げようと言ったのだ。


そう言っている間に小型の邪操機兵が先鋒になって壁をぶち抜き大使館の外へ進出してきた。


「チアキ指導官、日本の防衛部隊です!」


ラミの声が救援部隊を教えた。

こうなる虞があった為、マコト司令官の依頼を受けた1個小隊の戦闘部隊が向かってきた。


「ここはもう日本の領域ですからね、治外法権なんて関係がない土地ですからね。

 大使館から一歩出てしまえば、その国によって罰せられても文句は言えませんからね!」


3両の戦車が向かって来る。

国防軍の新式戦車が、現れ出て来る邪操機兵に砲を向けて。


「「停まりなさい!君達は我が国の法を犯している。

  武器を放棄して降伏しなさい、抵抗は認めません」」


戦車から降伏勧告が命じられる・・・が。


邪操機兵は目もくれずにマモル達へと迫った。


「「抗命するのなら、破壊します」」


戦車から最後通牒を突き付けられても、邪操機兵は停まらない。


「「撃て!」」


国防軍の戦車が、発砲する・・・機兵に向けて。


(( ガガンッ ))


命中した・・・と思われたが。


「あ・・・避けたのか?!」


ラミが残念がる。邪操機兵はいとも容易く避けたのだ。

外れた弾は直ぐ後ろの壁をぶち壊し、そこに居た者に当たった。

そして・・・弾かれたのだ。


「くそぉ!まんまと・・・避けやがったか」


マモルまでもが悔しがる。

自分なら。自分が撃てたのなら、外しはしなかっただろうにと。


邪操機兵はコハルを捕らえる前に、邪魔者を排除しようとする。

現れた戦車3両を先ずは撃破しようと、装備された左手の銃口を向けて来た。


「どの程度の装甲貫徹力があるかは分からないが・・・危険だな」


マモルは繰り出される弾の威力に半信半疑だった。



(( ドンッ ))


一機の邪操機兵が戦車に向けて発砲した。


紅い弾が弾かれる事も無く新型戦車に当たる。

装甲を溶かして喰い込んだ弾が機関部まで届いたのか、忽ちに停止してしまった。

乗り組んでいた3人が脱出する。


エンジンにまで被害を受けた戦車が、薄い煙を吐き出す。


「たった・・・一撃で30式を撃破したというのか?!」


新式戦車である30式中戦車を、たった一発で仕留めた邪操機兵。

その火力は重戦車の一撃にも相当すると考えられた。


しかも、油断さえしていなければ、かなりの機動性能で被弾回避してしまうと分かる。


「これじゃあ、こっちにも機械兵を用意しなければ損害は計り知れないな」


マモルは悠長に言ったのだが、声は真摯に危険を受け止めていた。


ー このままではみんな大変な事になってしまうぞ!


そう言っているのだった。


「コハル・・・どうしたんや?」


マリアの声で我を取り戻したマモルが、娘が輝騎に近寄って行くのに気付く。


「コハル、その機械は動かへんのやって、言うてはったやろ?!」


コハルが何を考えて近寄ったのか。

マモルの眼は一つのモノに気付いて息を呑んだ。


ー ミハル姉が?!コハルに宿ったのか?


制服姿だったのに、後ろを向けているコハルの髪が淡く青色に染められているのに気付き、


ー まさか・・・動かない輝騎に乗ろうとしているんじゃ?


頂部キューポラハッチを見上げるコハルを観て、姉が何かを企てるのではないかと案じたが。


「ねぇ、マモル君。この子はどうして動けないの?」


振り向かずコハルが訊いて来る。


「動力が足らないの?動かすにはなにが必要なの?」


訊いてきたコハルに、マモルがハッと気が付く。

輝騎を動かすにはバッテリーが必要。動力源は電力・・・つまり。


「そうか!30式のバッテリーとを繋げれば。

 少なくとも数分は動かせられる・・・そうだよな?!」


マモルはポケットに忍ばせた無線機に呼びかけた。

本部に居るマコト司令官に届く様に。



「その通りだマモル。30式の電力は200Vボルトの動力。

 一般家庭の100ボルトとは違う、輝騎の動力と同じだからな」


マコトは即座に判断を下した。


「戦車隊に命じろ、直ちに輝騎と連結。後部ハッチ上に載せて動力を廻せと!」


戦車からの補助で、どれだけ動かせられるかは分からない。

だが、このまま邪操機兵の為すがままにしておけば、コハルを強奪しかねないと判断した。


「零号機が焼け付いても構わん!奴等を撃破しなければならん!」


司令官の命令に、全ての者が動いた。

目的の大使館に補給物資を運ぶ者。

輝騎の再起動準備に掛る者・・・そして。


「マモル隊長!ラミには危険過ぎるから私が乗ります!」


チアキが部下である少女を庇って申し出るが。


「チアキ少佐、あなたには魔砲力があるのですか?

 ボクにはありませんが・・・そう言う事で許可できません」


チアキに魔砲力が戻った訳ではないと見抜いていたマモルが断る。


「ですが・・・ラミには、もう・・・」


魔砲力のストックが無いと言いたげなチアキだった。


「そうよね・・・チアキ。

 あなたもこの子も、魔力が残されていないものね」


コハルの声に似た・・・誰かの声が返って来た。


「そ、その声は?!」


訊いていたミユキが一番最初に気が付いた。


「うん、聞こえた?お母さん・・・」


蒼き魔法石から、女神ミハルの声が流れ出した。


コハルに宿るのは女神ミハル

魔鋼騎を見上げて教えるのは魔鋼少女ミハル。


姪っ子に宿る娘は、魔砲少女の闘い方を教える・・・


次回 新たなる魔鋼 輝騎<こうき> Act3

君の呼びかけに誰もが歓喜する。戻った娘の声に涙するのだ・・・


ミハル「そんな顔しないでよぉ?幽霊じゃないんだからぁ・・・って、おんなじ様なモノか」

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