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魔鋼少女<マギメタガール>ミハル・Shining!  作者: さば・ノーブ
第1編<輝け!魔鋼の少女>
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<輝(ひかり)と邪(やみ)>Act3

布石・・・・これが布石という物か。


堕神ルシファー再臨!

女神ミハルの前に現れるのは・・・想いを募らせる顔・・・

光と闇が同時に爆ぜた。


(( バッガァーンッ ))


名を告げられた邪な霧が弾け飛ぶ。

強烈な名を示された同族たる魔物は、王たる名を示されただけで潰え去った。


「愚かなり。

 我が誓いの血筋、我の御子に汚き手を触れた報いだ。

 我が愛しき血統の御子よ、そなたは余を目覚めさせるには早過ぎる。

 今一度眠りに就かん・・・」


コハルに目覚めさせられた堕神ルシファーが、宿り主へ告げた。


「そなたは幼過ぎる。余を使役するのは幾許かの時がいるだろう。

 余が本当に必要になったのならば、起こすが良い。

 ただし、今回のような鍵の開け方を取ってはならぬ・・・」


コハルに宿る堕神が再び紋章となって消えて行く。


「何故ならば、余は女神かのじょと約束したのだ。

 天使と契る為に生まれ変わり人となると。

 大天使ミハエルと共に人へと成り、誓いを果せた・・・」


消える堕神が、コハルの魔法石に呟く。

魔法石に何が、誰が宿っているのかが分かっていたように。


「だから、今度は女神かのじょとの約束を果す番なのだ。

 人たるルシファーはミハエルと共に幸せを掴んだのだから・・・」


優しき神の声が魔法石に届く。

同じ神に戻ったのだと教えるように。


「女神よ、余はまだ目覚める訳に行かぬ。

 幾許かの時を・・・もうしばらくこの娘が強くなれるまで。

 待っては貰えまいか?お願いだ・・・女神ミハルよ」


コハルの口から聞こえた訳では無い。


強き魔王の力を伴って、闇の力に因って。


そう・・・女神にも見えるように。

魔法石に宿らなくても見えるように・・・


「うん・・・ルシちゃん・・・帰って来たんだよ私。

 やっと・・・みんなの元へ・・・戻れたの」


強く・・・そう強く。

お互いを抱きしめ。


「ミハル、暫くだったね。一段と綺麗になったじゃないか?」


「それは見かけだけ?心は?」


ツイと顔を上げたミハルが。


挿絵(By みてみん)


「もう果たしたのは本当みたいね。ルシちゃんの顔がこんなに近い。

 一度しか観れなかった愛する神の顔がこんなに輝いてるもの」


女神ミハルは嘗て堕神と恋をした。

まだ人であった頃に、窮地を救ってくれた当時の魔王へ。

闇から抜け、いつも護ってくれた守護神、いや、まだその頃は魔王だったが。


堕神ルシファーは全能の神<ユピテル>に歯向かって闇に貶められた。

そう、元は神であったが、魔王となった経緯がある者。

人の子ミハルに出逢い、忘れかけていた想いを取り戻した。

ミハルに秘められていた運命の天使に気付いて。


だが、世界は変えられてしまった。

図らずもミハルの手に因って。


「ケラウノスは?破滅の神は潰え去ったの?

 私が望みを残しちゃったから、復活を図ったんじゃなかったの?

 姪っ子に呪いをかけた筈じゃなかったの?

 この子に刻まれた紋章はケラウノス復活の鍵ではないの?」


女神ミハルは訊きたかった。

自分が消えたこの世界で、何があったのかを。

残された堕神には記憶があるのではないかと。


「すまんなミハル、余も今目覚めたばかりなんだよ?

 何がどうなって余がこの子に宿る事になったのか・・・まだ分からないのだ。

 余が判るのは、確かに復活の鍵である事は間違いない。

 だが、余が共に宿るのならば、復活など断じて赦さない。

 安心してくれて良いよ、余が宿るのだから。

 ・・・それから、今少し時間をくれないか?

 必ず調べてみせるからどう言う訳なのかを。・・・鍵は開かれたのだから」


「そう・・・ルシちゃんでも分からないのなら・・・」


女神は抱いてくれる優しい男の胸に顔を寄せる。

ルシファーの心に触れ、昔を思い出して涙ぐむ。


「それと、鍵が開かれたのなら。悪魔達も人間界に出て来るの?

 今迄以上に悪さを繰り広げるというの?」


1000年間にあった悪魔との闘いを思い出して、心配になった女神が問う。


「ああ、それが定めと言うのならば。

 だが、ミハルに誓おう。余の前に現れる闇は抑え込むと。

 ミハルに仇名す者は断じて許さないと・・・今迄通りに」


ルシファーは契約印を描き、コハルのうなじにある痣を書き換えた。


<スリー6>が<スリースター>へと変わる。


星印が3つ。

聖なる紋章へと変わった。


「それにしても・・・ケラウノスはなぜルシちゃんを姪っ子に?

 いや待てよ?最初はマモルに刻んだって言ってたわ・・・」


最期の瞬間に、マモルへと掛けられた呪いの訳を考える。


「それはねミハル・・・余がミハルの血統に秘められるのを望んでいたからだろう。

 いつも傍に居られるようにと・・・必ずミハルを護ろうと思ったから」


「ルシファー・・・ありがとう」




感謝を込めて・・・1000年間の想いを込めて。

再び逢えた喜びを表したくて。



大人になった心を見せてみたくなって・・・そして。



「女神になって。永い時を潜って。

 何人もの人に宿って・・・教わったの。後悔するのは嫌だって・・・」



堕神ルシファーが、人へとなれる呪いを打ち消した行為。

それが意味したのは、心を契った者だけへ許される接吻キス


交した約束を忘れなかった者へ贈れる、何物にも代えがたい究極の至宝。


「ああ、余も・・・だ。この堕神も・・・」


瞳を閉じた女神が受け入れる。

この一瞬の為に。

時を越えて・・・再び逢えたのだと実感する。




「ミハル・・・今。

 そなたに託した力があるんだよ?この子を護る為にも。

 ミハルでなければ判らないだろうからね。

 余がミハルを護る為にどんな姿になっていたかを、思い出しておくれ」


「えっ?!それって・・・まさか?!」


堕神が消える前に女神に渡した力があるという。


「思い出したかい?この子を守護する気なら必要だろう?

 魔法石に潜んでいるだけじゃ・・・つまらないだろう?

それに・・・本当の姿でなくとも、傍に居るのだと話しかけれるだろう?」


ルシファーが姿を代えてでも護ってくれていたのははっきりと覚えている。


「まさかルシちゃん・・・私も毛玉になれって?」


「毛玉になるかどうかは分からないけど。

 必要ならば、姿を見せて護らなきゃいけなくなる。

 ・・・そうじゃないのかいミハル?」


つまり、現世に姿を表せられるようにもなり、


「じゃあ、魔砲力のない人にも話せるのね?」


歓喜の瞬間を迎えられるのかと訊いた。


「うむ。そこが問題なんだよ。

 訳を知る人には見せても良いだろうけど。

 知識のない者に見せたら混乱を招くだけだよ?」


その通り。

今は魔砲力が消えた世界の筈だから。


「うん・・・必要ならそうするよ、ルシちゃん。

 もし次に目覚めた時、私が変な姿になってても・・・笑わないでね?」


困ったように笑うミハルに、ルシファーが微笑んで。


「それは・・・観た時だな」


ぶすっと一言。


「あーっ!酷いよルシちゃん!」


消えて行く堕神に最高の笑顔で応える。





魔法石は光終えた。

コハルに宿った闇の力が収まったのと同時に。



「うう~んっ、なんだか訳が解らない夢を観た様な・・・」


コハルが起き上がって周りを観ると。


「あっ!マリアっ、マリアのお母さんっ?!」


シャンデリアが瞬く部屋で、コハルはマリアとミリアに呼びかけた。


そこは今まで来た事も無い一室だった。

執務机がある・・・ミリア公使補の私室。

そんなに広くない公使補の居るべき部屋だった。


布石は打たれた。

女神の力とルシファーが預けてくれたとある力。


さぁ・・・間も無くだ。

間も無く・・・新たな闘いが始るぞ!


次回 <ひかりやみ>Act4

君の前には闇が集う・・・それが君の宿命なのだ!


ミハル「ポ・・・ルシちゃんってば。いつもいいところで現れるんだから・・・ポ」

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