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魔鋼少女<マギメタガール>ミハル・Shining!  作者: さば・ノーブ
第1編<輝け!魔鋼の少女>
47/219

<輝(ひかり)と邪(やみ)>Act1

いよいよミリアとの決戦?!

だが、ミリアの戦友・・・ミハルは女神だったから。


女神ミハルはミリアを救う為に悪魔と対峙したのだった・・・

目の前に女神が立つ。

闇に染まった女性に手を指し伸ばして。


「ミリア。あなたの心には悲しみと嘆きが見える。

 辛さに負けてしまった心が澱んでいる・・・」


理の女神と名乗った蒼髪の女神ミハル

指し伸ばした手には金色の光が集い始める。


「今のあなたには、私がどう見えているのかしら?

 闇の者に支配された躰で観れば、女神は憎き姿に映っているでしょうね?」


集った光が消えると、女神の錫杖が現れ出た。


女神ミハルよ、言いたい事はそれだけか?

 お前が邪魔をするというのなら、その小娘を奪うだけだ!」


ミリアの口からしわがれた声が答えて来る。


「あら?出来ると思うの・・・私を前にして?」


ミリアの手に現れた闇の魔砲弾。

悪魔が闇の中で放つ力は強い。

唯の魔法使いにとっては脅威だろうが、相手は女神・・・それも。


「ミリアに巣食う者よ。

 言った筈よ、私は殲滅を司る者だとも。

 宿った者が粛罪を受け入れねば、お前共々討ち果たすだけ。

 宿り主を喪えば、お前は闇の中で孤立する・・・私の手で消し去られるだけ」


挿絵(By みてみん)


殲滅を司る女神の手にある錫杖が突き上げられて。


「お前に最後通牒を渡してあげるわ。

 今直ぐその人から離れなさい、さもなくば・・・消滅してみる?」


悪魔を倒すというのではなく、<消滅>させると言った。

つまり、復活しようにも何も残されない・・・完全なる殲滅を意味する。


女神の逆鱗げきりんに触れた悪魔は、無を求めるかと問われたのだ。

闇の者が<無>を求めるのは当たり前。

だが、女神の言う<無>になるのが自分なら、喜ぶことは出来なかった。


女神の言う<無>とは、悪魔達が求める<無>には程遠かったから。

悪魔である己だけが<無>・・・存在しなくなる者になるのだと分っているから。


「そんな事をすれば、宿り主も<無>となるのだぞ?

 神たる女神が人まで殺して済むと思うのか?!」


ミリアに巣食った悪魔が驚愕して言い返してきた・・・が。


「言ったでしょう?

 私は1000年の永きに亘り闇を滅ぼしてきたと。

 女神となり、幾多の命を奪う者達を殲滅してきた。

 それは悪魔に限った事ではない・・・人たる闇も滅ぼしてきたの」


女神ミハルは言い切った。

永き旅路で、自らの手で数多の者を滅ぼしたのだと。


「ケラウノスを破壊しきれなかったのが心残りだったから。

 どれほどの存在を消してきたかなんて忘れた、1000年の間に。

 だから言ったでしょう?

 今直ぐここから立ち去りなさいと。立ち去らないのならば消すだけだと!」


この精神世界を支配していた悪魔が後退る。

ミリアの身体を放擲するかのように。


「あ、もう一つ言い忘れていたわ。

 二度と私の周りに出て来ない事ね。

 次に会えば、間違いなく殲滅してあげる・・・悪魔フォーゲノムよ!」


錫杖から金色の光が溢れ出て、悪魔の名を示した。

女神に存在を知られ、名を言い当てられてしまったフォーゲノムは闇に逃げ去る。


「ふんっ、帰るのなら一言くらいあっても良いんじゃないのかしら。

 無礼にも程ってモノがあるわよ、悪魔フォーゲノム!」


女神ミハルは錫杖を悪魔が消えた方向に向けると。


「上位悪魔を呼ぶつもりなら呼べば善い。

 だけど魔王が来ても無駄よ、私は再び手にしたのだから。

 お前達と同じ力の在処を・・・ひかりと闇の御子みこを」


女神が、魔砲を闇の中へ放つ。

暗闇に一条の光が差し込む。


女神が闇の精神世界を撃ち抜いたのだ。


「さぁて、邪魔者は消えたわよ、ミリア。

 今度はあなたの番。あなたが闇を捨てるのよ、ミリア」


見開いたままの赤黒い瞳。

悪魔が抜けても、まだ闇に染まったままの心を表していた。


「どうせミリアの事だから。

 ほっておいても元に戻るでしょうけど・・・折角だから」


錫杖を降ろした女神がミリアに歩み寄ると。


「心を閉じたミリアに告ぐ。

 我が名と我が力に因り、あなたを赦します・・・」


ミリアの額に手を宛がう。


「ミリア・・・久しぶりだね?聞こえるでしょ?

 もう直ぐ精神世界は解かれるから、今話しておきたいの。

 あなたの御主人は死んではいない。

 今のあなたと同じように闇に囚われているの、遠く離れた大陸に。

 且つて私と家族がそうであったように・・・だから取り戻さなくてはならないのよ?」


ミリアの額に手を翳す女神ミハルが教え続ける。


「闇に求めたって返っては来ない。

 マジカさんの様に機械に捕われていた訳じゃないモノ。

 だから、あなたがやらねばならないのは世界中に目を向ける事。

 日の本やフェアリアだけに留まらず、各国政府に呼びかけなければいけない。

 あなたの御主人や多くの行方不明者を見つける為にも。

 そして・・・これから起きる闘いに備えねばいけないのよ?」


コクンと・・・ミリアが首を垂れた。


未だ瞳は赤黒いままだったが、頬には赤みが差して来たのが判る。

悪魔から解放された人は、正気を取り戻しつつあった。


「ここも・・・間も無く扉が閉じる。

 もうここには居られないから、最期に一言だけ言っておきたいの。

 ミリア、あなたとあなたの娘マリアちゃんには申し訳が無かった。

 理の女神として。あなたに謝罪します、ごめんねミリア。

 あなたの家族を護れなくて・・・本当にごめんなさい」




ーーーパアアァッーーー




ミリアを光が包む。

粛罪を受け入れたミリアの心が、光を欲したのだ。


「・・・・ミハル・・・センパイ?」


赦しを与え、赦しを乞う。

女神の前で、魔法力の無いミリアが手を指し伸ばす。


赤黒かった瞳は、元の鳶色に戻った。

赤茶毛を靡かせ女神を求める・・・


「ミハル先輩っ、お願いです!娘をっマリアを護って!

 あの子にかけられた呪いを解いてください!あの子を呪った悪魔から救って!」


精神世界が消え始める時、正気を取り戻したミリアが叫んだ。


「マリアに掛けられた呪いを!ジョセフが招いてしまった呪いを解いて!

 私はどうなっても善いから、あの子だけは闇から救って!」


精神世界が消える時。

ミリアが叫んだ声は虚しく消えて行く。

女神ミハルに届いたのかどうかも判らない。




唯、気を失っているミリアを前に、胸の魔法石を持ったコハルが立ち竦んでいるだけだった。


「マリアのお母さん?しっかりしてください!」


女神が闇の世界に光を齎す処は観ていた。

女神と対峙していた悪魔が逃げ去ったのも。


闇の世界が打ち消されていくのに併せて、闇の門が閉じ始めたのも感じていた。

門が閉じたと思ったら、自分はどこかの部屋に立っていた。


入って来た門は消え、灯りの点いた部屋の中でミリアを前に立っている。

ミリアが倒れ込み、我に返ったコハルが駆け寄る。


「マリアは?マリアがどうしたって言うんですか?!」


コハルは人たるミリアの声を聞いていた。

最期に叫んでいた言葉の中に、マリアの名を聞いて訳を訊ねようとしたのだが。


精神世界から抜け出た作用で、ミリアは気絶していた。


「どこにマリアは居るんですか?

 マリアを救えって、どう言う事なんですか?」


広間に近い大きさの部屋にコハルの声が響く。


「マリアのお母さん!訳を話してください!マリアがどうなるっていうのですか?!」


大切な友達の事を心配したコハルが必死に呼びかけるのだが。

ミリアは気絶したまま、目を開けることも無かった。



ことん・・・・



コハルの耳に誰かの気配が感じられた。

今の今迄誰も居ないと思っていた部屋に、誰かが現れた気がした。


「誰?!」


咄嗟の事で振り返るのがやっとだった。


「コハル・・・やんか?ウチのオカンになにしてるんや?」


コハルの前に現れたのは・・・マリア。

コハルと同じように制服を着た姿の・・・紅い瞳の・・・マリア。

ミリアは救えた。


ではミリアの気にしていたマリアは?


マリアは呪われていたのか?

今度はコハルが救うというのだろうか?

だが、コハルは闘いに慣れてはいない。

幼き魔砲少女は疑う事を知らなかった・・・

コハルっ!気をつけろ!


次回 <ひかりやみ>Act2

君は疑う事を知らない、友を信じるのが当たり前だと思っていた・・・


ミハル「コハルちゃん!姪っ子ちゃん!あなたは闇に染まってはいけないのよ!」


次回・・・コハルに刻まれた紋章の謎が・・・現れ出る!

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