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魔鋼少女<マギメタガール>ミハル・Shining!  作者: さば・ノーブ
第1編<輝け!魔鋼の少女>
40/219

望郷の彼方 Act1

挿絵(By みてみん)


コハルのうなじについている痣は・・・


呪いのスリー6・・・


なぜ付けられたのか。

コハルは呪われた結果どうなるというのか?

都の西北に、フェアリア国の大使館がある。

内部には、如何に日の本人であっても入る事は許されない。

一国を代表する大使館には、治外法権が認められていた。


喩え、罪を犯した者が潜んでいようと・・・




「今の大使は、捜索令状を認めないというのか?」


眼鏡を直しながら、息子に訊いた。


「どうやら確信犯じゃぁないのかな?

 国ぐるみで隠しているとは思えないし、誰かの圧力で許可しないんじゃないのかな?」


パイロットスーツを開けて、開発主任の父に答えたマモルが。


「コハルにはチアキが着いてくれているから大丈夫だと思うけど。

 いつもいつも観ていられるわけでは無いからね」


今回の事案が再び起きる惧れに言及した。



ここは日の本国防軍、秘密開発局。

表向きは、新技術開発局と銘打ってあるのだが。


「父さん、もうこれ位迄しか実験できないよ?

 新たなパイロットが来なけりゃぁ、理論道理に動くか分からないから」


パイロットスーツを脱ぎ始めたマモルが、見上げる機械。

人形ヒューマノイドの機械には、各種のコードが繋げられている。

内部にモニターが全周囲取り付けられ、各種の操作スイッチが並んでいた。


「まぁな。

 お前に元の魔鋼ちからがあったのなら、判断できようモノだが。

 チアキが連れて来た少女を乗せるのはもう少し安定を観てからだ」


眼鏡をかけ直したマコトが、作業員達の動きを監督しながら同意する。


「でも、父さんが海中作業用のこいつを転用させると言った時には驚いたよ。

 元は海難救出用作業ロボットだったんだろ?」


開発局の中では、極秘とされた開発経緯を話しても問われないし、

開発主任として任命された、元魔鋼技師である父が教えたのだから問題も無い。


「ああ、フェアリアの巡洋艦を探す為に造り始めたんだがな。

 思わぬ方向に世界が向かいつつある現状を考えて・・・手を出したのだ」


マコトがロボットアームに手を添えて、苦笑いを浮かべた。


「父さんは・・・また、戦争が起きると読んでいるのか?

 ミハル姉さんの願いが絶たれると言うのか?平和が潰えると?」


「・・・そうだ。その日は目前にまで迫りつつあると言ってもいい」


マモルは軍人である自分にも感じられていない切迫感を父から感じ取った。


「父さんは、また同じ繰り返しが始ってしまうと?」


姉によって世界は救われた。

その姉が最期まで希求していた平和な世界。


希望の言葉を残して消えてしまった女神の姿は、マモルにとって一番辛い思い出でもある。



「マモル・・・ミハルは。ミハルは戻らざるを得なかったのかもしれない。

 本当ならば姿を現さず、女神として天から見下ろして居るだけに留めたかっただろう」


マコトが振り返って、息子に闇の存在が何かを教える。


「だが、人は過ちを繰り返す・・・心に闇が巣食ってしまえば。

 あの時の私の様に・・・求める心が必要以上に強力になれば。

 闇の力を求めてでも、取り戻したいと願うのならば・・・

 人は悪魔を求めてでも、己が願いを果たそうとするだろう」


マコトが言わんとしているのは、フェアリア大使館に居る者の事。

夫を失ってしまった者が、取り戻したいと願っているだろうと。

ミリア公使補が、今迄の黒幕では無いのかと睨んでいると言ったのだ。


「父さん、それこそ秘密にしておかないと。

 下手に手を出せば、国際問題になるよ?」


真相はどうあれ、ミリア公使補には手出しできないのだ日の本人には。

大使館側から捜査を受け入れると言って来ない限りは。


「まぁ、その辺のことは蒼乃様に取計って貰うしかないよ。

 今の内閣にはそんな度胸も無いだろうしさ」


ワイシャツ姿になったマモルが肩を竦めてみせた。


「うむ、それはお前の言う通りだろうな。

 我々は来る事変に備えておくだけだ、万が一に備えておくだけだよ」


マコト言う万が一・・・それは果たして訪れてしまうのか?


「ああ、父さんの言う通りさ。

 何事にも備えあっての生き残りなんだから、僕達に課せられた宿題は」


マモルもマコトの言葉に同意し、開発の進む機体を見上げるのだった。






_________________


挿絵(By みてみん)




「せいっ!とぉ!」


コハルの声が道場から流れ出る。


「いいわコハルちゃん。今日はこれまでにしましょう?」


もう陽もとっぷりと暮れた月夜。

道場から流れ出ていた少女の声が途切れた。


「大分とさまになって来たわよコハルちゃん?」


普段着に着替えて来たミユキが孫に微笑む。


「そうかな?アタシ的にはもっとこう・・・素早く振り抜けられたらって」


木刀を上段から振り下ろしたコハルが、師匠に訊ねるのだが。


「何を言ってるのよコハルちゃん。

 まだ始めたばかりなのよ?

 そんな簡単に上達出来たら、お祖母ちゃんも教える必要がなくなっちゃうから」


ほほほ・・・と、笑い返されたコハルがぷぅっと頬を膨らませる。


「簡単じゃないからだよ!

 男子達の剣裁きに近付きたいだけなの、アタシは!」


ミユキに近寄って素振りの真似をして言い募るコハルだった。


「まだまだ。これからよコハルちゃんは」


素振りの手を掴んで、ミユキがそう言った瞬間。


(( シュンッ ))


目にも留まらぬ速さで、コハルの手を振り下ろした。

木刀も持っていないのに、風を斬った手の振り下ろされた音が聞こえた。


「えっ?!・・・今の・・・なに?」


自分の手だというのに、目にも留まらなかった。


「お祖母ちゃん!もう一回見せて!」


眼をパチクリさせたコハルが頼んだのだが。


「さっきも言ったでしょう、今日はもうお終い」


ニコリと微笑むお祖母ちゃんに、孫は頼もうと思ったのだが。


「ううん、いいや!今のが見えるようになるまで。

 もっと打ち込みを繰り返さなきゃ!そうでしょミユキ先生!」


自分で努力を惜しまずに、練習しようと思い直した。


「そう。それが分かっただけでも今日の練習には成果があった。

 おみごと、我が弟子よ!ほほほっ・・・」


コハルを観て、ミユキは嬉しく思っていた。

自分の子にではないが、孫に剣術を伝えられて。

剣薙の技を、コハルに教え傳えられると。



「あ、そう言えばコハルちゃん。

 あの子は最近来ないけど、どうかしたの?」


ミユキの声に、コハルの顔に影が差した。


「何かあったのねコハルちゃん。

 あの子に何があったの?教えてくれないかしら?」


ミユキはコハルの顔が暗くなったので、訳アリと読んだのだが。


「ううん、ちょっと暫く学校に来れないんだって。

 お母様から連絡が入ったって、太井先生が仰られたの・・・」


俯いてしまったコハルが訳を話した。


「そうなの・・躰でも壊しちゃったのかしら?」


声を掛けるとコハルが首を振る。


「そんなんじゃないんだよお祖母ちゃん。

 マリアはきっとお母さんに怒られてしまったんだ・・・アタシの所為で」


悲しそうに話すコハルに手を添えて。


「コハルちゃんの所為?」


何があったのかと、突き詰めるミユキに。


「そう・・・マリアはね。

 マリアはお母さんの言いつけに背いちゃったの。

 アタシの魔法石を持って帰れなかったから・・・怒られちゃってるのかもしれない」


母が魔法石を持ってくるように言いつけたのを、マリアが返してくれた話をミユキにも教えた。


「そう・・・そんな事が?

 それはコハルちゃんも心配だわねぇ、魔法石も心配してるでしょうに?」


ミユキがコハルの胸元に仕舞われている魔法石に問いかけた。


「え?!この石が?どうしてなの、お祖母ちゃん?」


魔法石がどうして心配しているのか。

石に宿る女神ミハルがなぜ、心配してるというのか。


そして、祖母はなぜそう言ったのかと・・・傾げてから。


「マリアのお母さんと女神様はどんな関係なの?」


祖母が何かを知っていると読んだコハルが訊いてみた。


「お祖母ちゃんがこの魔法石に宿る女神様を一番知ってるんでしょ?」


ミユキは答えるべきか、はぐらかすべきか・・・思い悩んだ。

暫く考えた末に出した結論は・・・・


コハルに訊かれた。

孫に娘の話をするべきか悩むミユキ。


記憶の中で彼女は微笑んでいる・・・最期の時でも。


次回 望郷の彼方 Act2

あの子はきっと戻ると言って旅立った・・・今はまだ・・・笑顔を観れない


ミハル「お母さん・・・ごめんね私・・・私っ、此処に居るの!(コハルの魔法石の中で騒ぐミハル)」

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