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魔鋼少女<マギメタガール>ミハル・Shining!  作者: さば・ノーブ
第1編<輝け!魔鋼の少女>
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蠢く闇 Act4

宿った女神ミハルの前に現れたのは?


姿を見せない闇の者と対峙する女神!

どうしてこうなったのか?

現実世界だというのに、なぜ魔法石から出られているのか。

何故コハルに宿れているというのか?



「女神にだって判らない事はあるのよ!

 何故突然コハルちゃんに宿れているのか、何が何だか分からないのよ!」


女神ミハルがパニックに陥っている。


「確か・・・昔に。

 そう・・・あれはリィン王女の前で一度ミコトに宿った事があるけど。

 あの時は悪魔ルキフェルの前でだったから。

 闇の存在に対峙していたから、乗り移れたと思ったんだけど?」


女神が記憶を辿って、今回の事案が初めてではない事に気付く。


「だとすれば・・・悪魔がどこかに居る事になる。

 今現在、この世の中に悪魔が復活している事になる。

 少なくともこの近くに居る事になる・・・」


目の前にはマリアだけしかいない。


「もしかして・・・マリアちゃん?

 あなた・・・悪魔なの?」


ジト目で見詰めて来るマリアに、指を突き付けてくる女神ミハル


「・・・それこそ、何を訳の分からない事をってやつですよ」


「でしょうねぇ・・・困ったわ。

 訳が判らない事が多過ぎる、こんなの1000年間でも初めてだわ」


突き付けた指先を、頬に当て直して考える。

どうして闇の者が居ないというのに、憑依出来たのか。

そもそも、コハルがどうして寝落ちしたのか。


「そういえば、さっきシキ君に触れられた時に感じたのよね。

 何だか知らないけど旋風が起きた様な気がしたんだ。

 闇の力なのかは分からなかったんだけど・・・」


「旋風ですか?

 もしかしてそれは鎌鼬かまいたちとかいう、

 魔族の通り過ぎる時に起きる風では無いのでしょうか?」


意見を述べたマリアに、女神ミハルがポンと手を打つ。


「おおっ!良く知ってるわね。

 マリアちゃんエライ!そうよきっと。

 魔族が通り抜けた・・・なんですって?!」


女神ミハルが学園に入って行った二人に振り返る。


「しまった!シキ君が普通の姿だったから気が付かなかった!

 彼の中に闇が潜んでいたのか!」


コハルの姿のままで、女神が口惜しがる。


「マリアちゃん!あなたには荷が重いから手出ししないで!

 私はコハルちゃんの力を使って闇を滅ぼすからね!」


学園に潜まれでもすれば、後々の災いになると踏んだ女神ミハルが退治すると言った。


女神ミハル様?!私にも手伝わせてください!

 コハルを護るのが私の務め、いいえ約束なんです!」


リュックから水晶銃を取り出したマリアが着いて行くと叫んだが。


「駄目よ!

 あなたにはやって貰わなきゃいけない事がある筈よ。

 マリアちゃんはミリアと話し合って貰わなきゃいけなんだから。

 ここで怪我でもすれば大ごとになるし、私の面目もたたないわ!」


蒼き魔法石を手にしたコハルに宿る女神ミハルが言い返す。


「それに・・・ね。

 あなたが想ってるほど闇は容易くないのよ。

 あなた達の腕前では悪魔には勝つ事は出来ないの。

 こう言っちゃわるいんだけどね、足手纏いになるのが関の山なのよね。

 この子だから太刀打ちできるけど、マリアちゃんには荷が重すぎるのよ」


ふっと、苦笑いを浮かべたコハルの顔に陰が浮かんだ。

既に瞳の色が蒼き染まって、髪の色も蒼くなり始めた状態で。


「良いかしらマリアちゃん。

 あなた達魔砲少女には悪魔と闘える力は無いの。

 且つての魔鋼機械でもあれば別だけど、今の悪魔達は強大なの。

 特に現実世界に出られる程の悪魔なら尚の事。

 だから、もう闇の者を狩るなんてやらないでね。

 いつ本当の悪魔に遭遇するか分からなくなってしまったから・・・」


諭す言葉の端に伺えるのは、コハルの力と女神の力を併せてやっと退治出来るのだと教えていた。


女神わたしでも、苦戦するかもしれない。

 この子の身を守るのがやっとだから、マリアちゃんを護れないかもしれない。

 だから・・・ね、着いてきちゃ駄目。

 魔砲戦というのは、一つ間違えば命がけの勝負になるから」


コハルの身体を指して、女神ミハルが言ってのけた。


「で、でも、そうだとしてもウチはコハルの事が!」


大切だと知らせたかった。

マリアには親友との約束があるのだからと。


「うん、良く解ってるわ。

 あなた達の心からの想いは、私には良く解ってるから」


蒼き魔法石がひかりを放つ。

女神の力を引き出す為に、コハルの身体に授ける為に。


「大丈夫。コハルちゃんには傷一つ着けたりしないと約束するから」


蒼き光が少女を包む。


「それじゃあね、マリアちゃん。

 ミリアに言っておいて。女神ミハルが必要なら自分で取りに来なさいと。

 私の力が必要なら、あなた自身で受け取りに来なさいって!」


微笑みを浮かべた女神ミハルが伝えてくれと頼んだ。

頷いたマリアに、手を振ってから女神が奔り始める。

学園の中へと。

シキに潜んだ闇を討ち祓う為に。


女神ミハル様・・・コハルを頼みます・・・」


光を伴うコハルの姿に、マリアが願いを込めた。








「見つけた!待ちなさいそこの二人!」


魔法衣を着たコハルの姿で呼び止めた。


「シキ君に潜む者よ!女神の前に正体を現しなさい!」


駆け寄ったコハルが女神の錫杖を手に出す。

右手に光が現れ、女神ミハルの力を表す神の槍を模る。


「コハル?何を言ってるんだよ?」


学園の中で、しかも真昼間に姿を現している魔砲少女を観て、


「コハルちゃん?!なんて事をしてるの?

 あなた今は学校の中で衆人環視の中なのよ?!」


闇の存在に気付いていないラミ候補生が、慌てて止めるのだが。


「フェアリアの士官候補生さん!シキ君から離れなさい直ぐに!」


小学生の魔砲少女に忠告されても、年長のラミは小首を傾げるだけだった。


「何を言ってるのよ?

 シキ君は闇から解放されたのよ?あなたも知っている筈じゃないの?」


そう。

シキは闇から解放された筈だった。


だが良く考えてみれば、闇がそう容易く取り込んだ少年を解放する筈もなかった。

解放すると見せかけ、利用する。

闇から抜け出せたと見せかけ、実は本人にも判らないように潜んでいたのだろう。


「目的は何にあるというの?

 少年から出て来なさい、悪魔め!この理の女神が相手になってあげるわ!」


槍を突き付けてシキを睨みつける。


「コハル?どうしちゃったんだよ?!ボクに悪魔だなんて言うなんて?」


潜まれているとも思わないのか、少年シキが戸惑いの声を上げる。


「シキ君は知らなくても、私には分かったのよ。

 潜む闇に、何かを企んでいる悪魔に。

 この子から出て来ないというのなら、出て来させるまで!」


槍の先端に金色の光が現れる。


「言っておくわよ、悪魔。

 この女神に見つかったからにはタダじゃおかないんだから!

 現実世界に出て来た事を後悔させてやるんだから!」


槍の先端をシキに向けたコハルに、ラミが停めに入る。


「やめなさいっ、正気の沙汰じゃないわ!

 あなたこそこんな場所で魔砲を放ったらどうなるのか考えないの?

 一般人に魔法が存在する事を教えるようなモノじゃないの?!」


ラミの言う通りではあったが、闇の存在が見過ごされてしまえば。


「いいえ、このまま放置する方がよっぽど危険だわ。

 女神わたしに気付かれたのが運の尽きだと覚悟しなさい!」


ラミに目も向けず、シキに潜む闇を睨みつけた女神ミハルが。


「さぁ!闇に帰るのか、この場で滅ぼされたいのか。どっち?!」


蒼き瞳で睨むコハル。

宿っているのが女神ミハルだとは思いもしないのか。


「コハルっ、いい加減にしろよ?魔砲ごっこは此処でするもんじゃないぞ?!」


シキに潜む者が言わせるのか、それともシキ自体が言ったのか。


「時間切れね、コハルの身体が持ちそうにない。

 私の力だけでどれくらい維持できるかも未知数なんだから。

 この一撃で終わらせてやるわよ!」


シキに目掛けて魔砲を放とうとしたが。


「本当にどうしちゃったのよ!いい加減変身を解きなさい!」


油断していた訳では無いが、後ろからラミ候補生によって羽交い絞めにされる。


「なっ?!なんですって?」


羽交い絞めにされて女神ミハルが驚愕した。


「しまった?!あなたにも?!いいえ、ラミ候補生に宿り直していたの?」


羽交い絞めにされて、触れて。

やっと分かった。


「くぅっ?!私とした事が・・・二人共に宿っていたのが分からなかったとは?!」


悪魔は一匹だとばかり踏んでいたのが間違いだった。

シキに潜んでいた悪魔は、()()()()()()()巣食っていた。

2人に同じ悪魔が宿っていた、分身したかのように。


「このままじゃあコハルちゃんの身体にも侵入して来ようとする。

 そうなれば闇の扉がこじ開けられてしまうかもしれない?!」


コハルの首筋にある闇の紋章が、闇に触れられて鈍く浮き上がる。


「いけないっ!これは罠だったんだ。迂闊に判断した私の落ち度。

 コハルちゃんの闇を開こうとする悪魔の罠だったのか?!」


女神ミハルは口惜しがったが、

迂闊にも真昼間の現実世界に連れ出された訳を、今頃になって気付いた。


「くぅっ?!しまった・・・このままではコハルちゃんが?!

 ケラウノスを呼び覚ましてしまう鍵にされる。

 目覚めなくて良い筈の大魔王を起こしてしまう?!」


羽交い絞めにしてくるラミの力は、普通の魔砲少女では考えられない程強力だった。

コハルの力では振り解けない。

魔砲少女の力では逃れられないと判断した。


「・・・だとすれば。方法は唯一つ・・・私の力で引き剥がすしかない!」


女神は手にした槍を自分に向け直す。

槍の先端を掴みかかっているラミの手に宛がい。


「これでどう?!悪魔っ!」


ーーギュオムッ!ーー


魔砲を放つ。

ひかりがラミの手を打ち据える。


「くっううっ?!」


衝撃が右手を撃つ。

捕まれていた手が離れたが、コハル自身も右手に痛手を受けてしまった。


「ぎゃあっ?!なんてことするのよコハルちゃん!」


引き離したラミが手を除けながら睨んで来る。

痛手を自らの力で被った女神ミハルが膝を着いて見上げた時。


「ふっ、やっとお出まし?

 正体を現したわね、悪魔!」


右手を庇いながら女神が見上げたラミの顔には、闇の者である証が浮かんでいた。


「その額の紋章。

 間違いないわ、あなたは古の悪魔サタンの下僕、ガーゴルムね!」


挿絵(By みてみん)



女神が名を呼んだ時、ラミに潜んでいた悪魔が姿を現した。

本性を見破ったミハル。

姪っ子に宿るしかない女神ミハルは考えた。


宿られた2人をも、悪魔と共に殲滅せねばなるまいと。

だが・・・・


次回 蠢く闇 Act5

君は永き時の間に変わってしまった・・・そう、以前の名の通り<殲滅の女神>として!


ミハル「姪っ子ちゃんに諭されるとは・・・女神失格ね・・・」

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