チェンジ!魔砲の少女 Act8
本日もちょっと重いかもしれません。
ええ、Gifの所為です・・・が、何か?
コハルとシキの魔砲が炸裂するようです。
闇の者達が張り巡らせた結界。
古より変わっていないのは、闇の結界には二通りある事。
闇の者達が人間界と隔離して自らの存在を顕わにする場所、
それが暗黒世界である<闇の精神世界>・・・闇の結界、若しくは魔空間。
もう一つが、現実世界に闇を振り撒いただけの結界。
現実世界との狭間とでも云えるか、闇の者達が闘うのに都合の良い空間でもある。
二種類ある結界の違いは、干渉出来る者が限定されるかそうでないか。
そして、外の世界に影響を及ぼすのか及ばさないか。
戦闘区域を区切っただけの結界しか張れないのならば、相手は現実世界の存在に近い者とも言えた。
闇の存在だと言えども、その実力は悪魔には遠く及びもしないのが伺い知れる。
コハルとシキを包み込んでいる結界は後者だった。
精神世界である闇の結界を張らずに迫る者。
いや、張りたくても貼れないのか。
二人を包んでいる結界は、相手が悪魔ではない事を知らせていた。
数に頼んで迫り来る者は、シキが言ったように下僕の力しか持っていないのか。
「コハルっ、いいか。ボクに併せて魔力を放って!
二人同時に放ったら、奴等は一溜りもないだろうからさ!」
周りを囲む闇の者を睨んだシキが、コハルに同時攻撃を頼んで来た。
「うん!タイミングはどうするの?」
黒の魔鋼が伸ばした手に、右手を併せたコハルが訊く。
「それに、さっきは偶々撃てただけで次もちゃんと撃てるかどうか分かんないよ?」
魔砲戦なんて今迄やった事がないから、コハルは正直自信が無かった。
「それは織り込み済み!
その時には、ボクだけで撃つから気にしないで!」
「そんなぁ?!シキ君だけに無茶させれないよ?」
傷を負わされて、回復したと言ってもまだ痛みはあるだろうに。
コハルはシキの顔を観てそう思った。
「アタシにも撃てる筈だから。
宿っている女神様に頼んでみるから。ちょっとだけ待って」
右手に着いた蒼き魔法石に、コハルが訊いてみた。
「どうやったら魔砲が撃てるんですか?
さっきみたいなの、もう一回撃てないんですか?」
あまりに強力過ぎた準女神クラスの魔砲である事も知らずに、コハルが訊ねると。
蒼き魔法石が震えだす。
まるでやめておけと言わんばかりに。
<無茶よ!奴等の狙いはそこなんだから。
さっきみたいな極大魔砲弾を二人で撃てば・・・周り中火の海。
いいえ、下手をすれば自分の魔砲で大火傷しちゃうから!>
結界の中で威力のあり過ぎる魔砲を撃てば、結界を壊せるのは勿論のこと。
下手に撃ち込む場所を間違えば、破壊波が自分達にも襲い掛かってくる。
女神は自滅する事を懼れ、コハルに自粛を促した・・・のだが。
「シキ君!女神様も同意してくれたみたい!
二人で同時に魔砲を撃とうね!」
<・・・え?!>
固まる女神。
「オッケェーっ!それじゃあ、コハルと同時攻撃だ。
間違いなく一撃で闇を斬り祓うんだ!」
コハルの言葉を信じたシキが、左手に魔力を集中させる。
「うん!アタシは上空から迫る闇を狙うから、シキ君は地上に居る奴等をお願い!」
コハルも右手を突き出して標的を指示した。
<待て待て待てっ?!待ちなさいよ姪っ子ぉっ?!>
動揺する女神。
<何言ってるのコハルちゃんっ、撃っちゃ駄目に決まってるでしょぉーっ?!>
混乱する宿りし女神。
魔砲なんて、自在に操れる技量を持ち合わせていないというのに。
コハルはシキと約束してしまったのだ、撃てもしない魔砲の技を。
「ねぇ、魔砲って言っても。空に向けて撃てば、現実世界には影響しないよね?」
コハルは、シキにというより自分に言い聞かせるように言った。
「ああ、そうだけど?コハルの魔砲が屈折しない限り、上空に消えると思うけど?」
自分にかけられた質問だと思ったシキが咄嗟に教える。
<なっ?!もしかして・・・コハルちゃん。
私の言葉を聞いてたの?聞こえていたのに撃つと言って返したというの?>
女神を無視した訳でなく、コハルは自分で考えてから言ったのかと。
まだ、魔砲が何たるかも知らないというのに?
女神を驚きと感動を覚える。
姪っ子は、女神の自分を促したというのか・・・と。
<そっか、コハルちゃんはこの状況を冷静に観れているんだね?
囲まれてしまっているというのに、どうすれば打開出来るか考えたというのね?
魔砲少女として最も必要な、冷静さを持てているというのね>
感心した女神は、コハルの求めに応じる事に決めた。
魔砲を放ち、友達となったシキと共に斬り祓おうと願う心に。
<解った!コハルちゃんに授けたんだから女神の魔砲を撃ってみなさい。
シキ君の力と併せれば、必ずこの結界を破れるからね>
女神は微笑んだ。
且つての自分に備わっていた闇の力を思い出し。
女神となる前、光と闇の力を併せ持っていた頃を懐かしく思い起こして。
<魔王の力と天使の力。
光と闇を抱きし者だったもんね、私は・・・あの頃はまだ・・・>
女神となる前。
懐かしく思える過去に、想いを馳せていた。
自分が女神となり悪魔の機械と刺違えてしまう前。
大切な人達の魂と共に消えて行った男の事が、胸を掠めた。
<ルシちゃん・・・きっと今頃はミハエルさんと逢えているよね?>
二つの力を授けてくれた男女の姿が、脳裏を掠めた。
<今、この二人は同じ力を放とうとしている。
幼い魔砲使いの子が、あの日と同じ力を放とうとしている>
女神は闇の力を行使しようとしているシキと、光の力で闇を斬り祓おうとするコハルに微笑み。
<だったら・・・私は二人に託そう。
且つて私が授かったように、二人に神の祝福を授けなければならないわね>
闇から向けだそうとしている少年シキと。
光の魔砲を宿そうとしている姪っ子コハルへ。
二人が力を併せられれば、どんな障害だろうと越えて行けるようにと。
<理の女神として。
運命に翻弄され続ける子達を護る者として。
あなた達に授けるわ、受け取りなさい・・・私の魔鋼を>
二人が突き出した手に、魔法陣が描かれる。
金色の光となって魔法陣が消え、聖なる力となった。
「嘘だろ?!ボクの魔砲が光り輝くなんて?」
「わぁっ!アタシにも撃てるんだ、光の魔砲が」
驚いた少年と少女は、頷き合うと。
「いくよコハルっ!」
「うん!」
魔砲の力を最大限に引き上げる。
光は徐々に大きく。
光は闇の中でも輝きを放ち続ける。
魔砲の光は呪文を必要としなかった。
願いを心で呟くだけで、解放の時を待っていた。
そう・・・闇を打ち破れと念じるだけで。
(( ギュオオオオオッ ))
猛烈な力が二人の前に出来上がっていた。
シキとコハルの声が被さる。
「闇を斬れ!セイバーオブダークネス」
光と闇を抱く者だけが放てる究極魔砲。
二人の心が合さる事で、放つことの出来た極大魔砲弾。
シキの弾は地に。
コハルの弾は上空に。
空と地を焦がし、闇を討った。
結界はものの見事に敗れ去り、闇の属した者達を消し飛ばした。
有無を言わさぬ異能の弾は、地上を焦がし空を紅蓮に染めた。
「やったぁ!」
シキが小躍りして喜んでいる。
周りの結界が消え、闇の気配も消え去った頃。
コハルがやっと呟いた。
「どうしよう・・・こんなにしちゃって。
怒られちゃうよ・・・きっと・・・お巡りさんにも」
辺り一面の焼け野原状態。
辺りに散らばるコンテナや木立の消し炭。
惨状を造った張本人が、漸く自分がやってしまった事に気が付いた。
「どうしようって・・・どうしようもないけど?」
闇に属しているシキが、肩を竦めてダメ出しすると。
「あああっ?!シキ君逃げよう!誰も観てないなら逃げるしかないよ?!」
犯人は後先考えず、ひたすら逃げの一手を言っているようだ。
公園は破壊され、焦げた木々が惨状を呈している。
二度目の魔砲で、火災だけは消えているようだが。
「シキ君は帰る場所あるの?
無いんだったらさ、ウチに来れば?事情をマモル君に話すから・・・」
逃げる事しか頭にないのか、コハルはシキの手を掴んで引っ張る。
「え?!でも。コハルに悪いから」
自分が何者かも判らないのに、いきなり家まで押しかけても。
話すって言っても、信じて貰える保証も無いから。
躊躇するシキの手を曳いて、コハルが頼むのは。
「シキ君を連れて帰らないと、この状況になったのを信じて貰えないよ逆に!」
つまりは・・・そう言う事らしい。
目の前に広がる惨状が、自分が造ったのだと思い込み。
逃げの一手になっているコハルへ。
「逃げても無駄だ!観念しなさいっ!」
声高に告げて来る女性の声が。
「ひぃっ?!ごめんなさいぃっ!」
誰かに見つかったと思ったコハルが頭を抱えてしゃがみ込んだ。
「犯人は・・・あなたね!」
そういう風に呼ばれてしまえば、最早観念しなければなるまい。
「あああっ?!ごめんんさいっ、まさかこんな事になるなんて思わなかったのぉっ!」
白状したようだ。
犯人コハルが、あっさりと。
「さぁ、認めたのなら。きりきりこっちに来なさい!」
街灯が壊れて、薄暗くなっている公園に現れるのは。
「越権だとは思うけど。
このマーブル少佐に見つかったのが運の尽きだと思うのね、ミハルちゃん!」
黒髪を靡かせ、観た事も無い制服を着ている女性。
見た所、日の本人にしか見えないのに横文字の名を告げて来る女性に。
コハルは呼びかけて来た女性に、目を丸くして驚いていた。
コハル、シキ「「ダブルブレイカー!」」じゃなくて「「バル○!」」
・・・こうして。 連載も終了・・・嘘です忘れて!
今日のポイントは損な処じゃなくて!
最期に現れたおばちゃんが・・・((グリグリ))
・・・痛い。痛すぎる!
次回 チェンジ!魔砲の少女 Act9
あらあらまぁまぁ?!君はもしかして・・・オスマンの損な娘なのか?!
ミハル「来たわねぇ・・・相変わらずのようみたいね、ある意味安心したわ!」




